RE:写真集感想

 次は、内藤正敏の「東京」 初版は1985年。
 これは凄いです。ヤバイです。
 第一に、写真・文・構成・題字・装丁の一切を自分でこなす「オレオレ」ぶりが凄い。
 
 肝心の写真。これがまた輪をかけて凄い。
 酔っ払い、ケンカ、ゴミ溜め、火災現場、交通事故、商売女、よく分からない品の悪そうな人々、そしてホームレス、ホームレス、ホームレス。
 エイ!ヤア!これでもかこれでもかと東京の暗部恥部を画面いっぱいにナスリ付けて来ます。
 そして、フィルムはやっぱりトライXなのか、砂のようなノイズが凄い。
 モチーフの持つドロドロとした妖しげな雰囲気に実にマッチしています。
 わたしはどちらかと言うと、つやつや、スベスベ、まったりスムーズな絵が好きなのですが、「こういうのもアリなのか」と頭が下がりました。
 
 巻末の「東京論ノート」 しつこいようですが、これも凄い。
 内藤先生は民俗学者でもあらせられるので、東京という街の成立についても民俗学的なアプローチで攻めます。
 曰く、「徳川マンダラ」と……。
 
 それはオカルトではないのか?と訝しんでしまいました。
 しかし先生の筆致は、「反論なんて許さねぇ」と言わんばかりの、稠密、各方向の知識総動員な論調で突っ走ってゆきます。
 まさに「オレオレ」
 
 何か、褒めてるのかクサしてるのか分からない評になりましたが、まとめて言うと、本作は、良い方にも悪いほうにも噴出し続ける東京パワーと、内藤先生の旺盛な創作意欲とがぶつかり合って生まれた奇書だと思います。