沈黙

 遠藤周作の「沈黙」を読了しました。
 本作は、ポルトガル人司祭を主人公に、江戸時代のキリシタン弾圧を描いた作品です。
 言うまでもないことですが、遠藤周作はカトリック教徒で、キリスト教をテーマにした作品を沢山書いています。
 これまで「海と毒薬」、「白い人・黄色い人」、「深い河」、「わたしが・棄てた・女」といった有名どころは押さえて来ました。
 これらのなかに神を信じて救われたというような話は皆無で、神父なのに下女と寝たり、信者なのに友人の恋人を寝取ったり、信仰を貫いてもロクでもない死に方をしたりという酷い話ばかりです。
 わたしが思うに、遠藤周作の文学とは、良心と現実とのせめぎ合いと葛藤なのだと思います。
 そして「沈黙」です。本作はその板ばさみを極限まで押し進めたもので、全編に緊張感がみなぎっています。
 特にフェレイラ師との再会から、穴吊り刑、そして踏み絵と対峙するクライマックスの盛り上がりは凄まじく、鳥肌が立ちました。まごうことなく、最高傑作です。

妖怪の民俗学

 宮田登の「妖怪の民俗学」を読了しました。この人の著書を読むのは、「民俗学への招待」(ちくま新書)に続いて二冊目です。
 タイトルから鬼や天狗などの妖怪の伝承を取り上げて解説するものと予測したのですが、妖怪が生み出されるプロセスの分析に重きを置いた内容でした。
 近年の怪奇現象についても多くの事例が書かれていて、現代の社会もまだ活発に妖怪を生み出し続けていることを教えてくれます。
 本書によれば、妖怪の発生に関わるキーワードは「境界」と「女性」なんだそうです。
 
 次は、遠藤周作の「沈黙」を読みます。