ソルジェニーツィンの古本探し

今日は関東は大雪に見舞われています。
昼過ぎから強く降りだし、オフィスの窓の外の空が真っ白になるほどの勢いでした。
交通機関の渋滞が予想されたので、私の会社でも3時くらいから帰宅を促すアナウンスが出され、渡りに船とばかりに社屋を後にしたのでした。
台風を喜ぶ小学生と何らか変わりありませんね。
仕事はまだたっぷり残ってるのですがー。

年が明けてから良い天気が続いていたので何かその反動がやってきたような気もします。
しかし忘れもしない1月5日。この日は夕暮れ時に冷たい雨が降りました。
私はその雨を頭に、肩に受けながら店から店へせわしなく立ち回っていました。
神保町の空の下で。

去年は読書的には島崎藤村イヤーでした。
しかし特に藤村が好きなわけでも、作品が気に入ったのでもなく、単にキンドルでタダで読めるからというセコい理由です。
言うなれば、肉が食いたいけど高いからモヤシを食べて凌いでいた…、みたいな。
「今年はそれじゃイカン!」
ということで、キンドルを投げ捨て、正月から文学の肉汁滴る部分をガブリとやる決意に満たされていたのです。

「肉」とは何か…。
それはロシアの文豪、アレクサンドル・ソルジェニーツィンの文学です。
三年くらい前に読んだ「イワン・デニーソヴィチの一日」 ――良かった。
一昨年読んだ「ガン病棟」 ――最高だった。
しばらくキンドルというおもちゃに夢中になって触れられずにいましたが、ようやくこの鉱脈にズバーッと切り込んでいきたいと思っています。

そもそもキンドルで読めれば何の問題も無いのですが、ナシー。
というか、「イワン・デニーソヴィチの一日」以外絶版状態で新書で手に入れることは叶いません。
で、自然に古書を探すことになります。

Amazonあたりで調べると一冊一円から安価で叩き売られています。
それを知った時に、やったー、とばかりに上の二冊に加えて、「煉獄のなかで(上・下)」、「収容所群島(1~4)」、「マトリョーナの家」をカートにブチ込みました。
これだけ入れて2千円くらいでした。
意気揚々と決済に向かうと、衝撃の事実に愕然とします。
なんと一冊に着き送料が¥257かかる!
10冊分なので、むしろ送料の方が高くついてしまいます。

いや、送料がかかることは分かっていますよ。でもわざわざ同じ出品者からの商品に揃えてピックアップしてるんですよ。
まさか一冊一冊別々に送るってことは無いでしょう?
一個のダンボールにまとめて宅配に出すハズでしょう?
Amazonには注文をなるべく一つの配送にまとめて送料を最小限に抑えるオプションがあるんですから、それが適用されてしかるべきでしょう?
送料と言いながら、そこからしっかり利益を叩き出そうという魂胆ミエミエではないですか?!
貧乏人ナメんな!
ということですっかりヘソを曲げた私はEコマースに頼るのは辞めることにしました。

…ついでにです、もうひとつ古書の闇(?)を開陳しましょう。
新潮文庫から出ていた「収容所群島」は6巻まであります。
う~ん、大長編ですね。
で、絶版なのでいずれも古書で手に入れるしかないのですが、1月22日現在のそれぞれの巻の値付けがヤバい。

  • 第1巻:245円
  • 第2巻:200円
  • 第3巻:800円
  • 第4巻:750円
  • 第5巻:1,500円
  • 第6巻:10,136円

5巻目で、んんー?
6巻目で、なんじゃこりゃ?! です。
「ここまで読んだら最後まで読まなきゃ気持ち悪いよね?ちょっと高いけど、はいポチー!!」
というメッセージが透けてみえます。
なんと狡猾、かつ浅ましい魂胆でしょう。
桑原桑原…。

だいぶ前置きが長くなりましたが、そういう訳で現物を足で探そうと神保町に足を運んだわけです。
昨年の3月に真空管ラジオ作成の教材を探しに行って以来です。
その時も荒天でしたが、この日もぐずついた空模様でした。

本格的に振り出す前にと、靖国通り沿いの店を物色します。
とちゅう写真集を豊富に扱っている小宮山書店などで道草を食いますが、基本は文庫本の背表紙を追います。
なかなか見つからなかったのですが、厳松堂ビルの澤口書店の店先で100円で叩き売られている「イワン・デニーソヴッチの一日」を発見(カバーなし)
店内に入ると「ガン病棟(上・下)」を¥800で見つけたので購入しました。

こっちはちゃんとカバーあり。こんな感じで丁寧にビニールにラップされていました。
で、ちょっと離れたところにある別の澤口書店の店舗で「収容所群島(1~6巻)」を発見!

うおー!と手に取ると、値札を見てまたビックリ!
―――¥10,000也

Eコマースばかりでなく、現実も魑魅魍魎ではないか!
と絶望し出口に踵を転じかけますが…、さりとて横浜からばるばる出て来て買わずに帰るのもひどく寂しいような気もする…。
だが、もともと定価で¥2,720のものを一諭吉で売りますか?
貧乏人なーめーんーなー。

店外に出ると雨がぱらつき、往来の人の足を速めています。
店先の本をビニールで覆う店員の姿が目に付きます。

しばし足を棒にして他店も探してみたのですが、けっきょく同じものを置いている店は見つかりませんでした。
それで、これはお正月だけの大盤振る舞い!と自分の良心を誤魔化して購入したのでした。
澤口書店では1万円以上購入するとタダで配送してくれるというサービスもあったので、それが背中を押したという面もありました。
さらにどうせならーと、トルストイの「アンナ・カレーニナ」も滑り込ませてしまいましたー。
どうした?良心?

これが釣果ですね。
「ソルジェニーツィン短編集」は後日、伊勢崎町の古本屋を探して見つけたものです(¥250)

昔の岩波文庫ってカバーは無かったんですね。
てっきりなくなったものを売ってるのかと思いましたよ。

どやー!とばかりに並べてみました。
う~ん、しかしこうやって揃ってるとカッコいいなぁ…。
頑張って読んでいきたいです。

こちらも長編。
¥1,200でした。やはり市場に出回ってるものは安い。
訳者は収容所群島と同じ木村浩なんですね。
こちらも読みたい。

真空管ラジオ製作(してみようかな?)

東京ではこのあいだ桜の開花宣言が出ましたが、まだまだ寒いですな。
今日も雨がしと降る憂鬱な冬の天気でしたが、ダウンを羽織って東京の街をウロウロとしていました。
このごろまた悪い虫が…。オーディオ欲しい病が再発して物欲に身もだえしてるところです。
「小人閑居して不善をなす」とはまことにその通り!
年度末でプロジェクトが終わったので、出社してもヒマでしょうがないのです。
なので自然と頭が「不善」に向かうーという始末です。

とはいえ先立つものもなく、また仮に高級オーディオを手に入れたとしても現在の住環境で本気視聴したら隣人が包丁を持って飛び出してくること請け合いですので、もちょっと違うアプローチで攻めてみようかと思っているところです。
それは自作、DIYですね。
サスガにCDプレーヤーを自作したというのは聞いたことありませんが、アンプとかスピーカーの自作はかなりポピュラーで、ネットを見るとDIYの記事がたくさん見つかります。

思うにオーディオというのはエレクトロニクス製品としては極めて単純なのでしょう。
それがアマチュアが参入する余地を生み、結果濃い趣味性につながってるんじゃないかと想像します。
だって薄型テレビの画質に煩いカスタマーは多いですが、裏に貼って画質を上げるアクセサリーなんて売ってないですよね(多分)
それはテクノロジーが高度過ぎてそんなことをしても何の役にも立たないことが自明だからですが、オーディオはそうじゃないんだなぁ~ッ。

ちょっと脇道にそれましたが、高級レストランに行くよりも自炊をした方が安く、自分好みの味に仕上がる(かも知れない)そんな風に考えてDIYを志したのでした。
将来的には自作でアンプとスピーカーを揃えたいのですが、まだ経験が足りないのでちょっと別なもので腕を磨いてからにしようと考え思いついたのがラジオ製作です。
大学時代に技術の講義でトランジスタラジオを作ったことがあるので、恐らくいけるだろうと踏みました。
しかし、いずれは真空管アンプを作りたいので、足がかりを得るべく真空管ラジオにトライします。

ネットには真空管ラジオ製作の記事もまたいっぱいあるのですが、やはりリタイアした年配の方が昔を懐かしんで作ってるケースが多いですね。
私の子供の頃にはすでに真空管は姿を消し、ラジオはラジカセやウォークマンに付属するものになっていたので、懐かしさはないのですが、なぜかその音は懐かしさを誘うものとなるような気がします。

ネットの作例は豊富なのですが、やっぱり手元にガイドが欲しいので、いくつか書籍をピックアップしてみました。
寒風吹きすさぶ中、最初にむかったのは新宿のブックファースト。
理工のコーナーにけっこうたくさん自作オーディオの本が置いてあります。
真空管アンプの本が目立ちますが、そこに混じって真空管ラジオの本もチラホラと…。
見つけました! お目当ての「真空管ラジオ製作ガイド」(初歩のラジオ編集部編)
パラパラとめくってみて、写真や図も多く、初心者にも分かりやすそうだったので購入することに決めレジへ。
¥2,376でした。

この本とは別に、新書サイズの「手作りラジオ工作入門」という本も見てみたかったのですがブックファーストにはなかったので、雨のなか神保町に向かうことに。
古本で安く手に入ればもうけものと、古書店を何軒か覗いてみましたが空振りに終わります。
須田一政の写真集を物色したりと、ちょっと道草をしましたが、今回はパスでー。
けっきょく三省堂書店で新品を手に入れました。¥864なり。

それにしてもブルーバックスの本を買うなんてウン十年ぶりじゃないかしら。
小中学生のころよく読んだものです。都筑卓司先生の本とか。懐かしいな。
これは持ち運びやすいサイズなので通勤時間に読もうかと思います。

4月いっぱいで下調べや材料の手配をして、いざ製作するのはGWかな?