写真集感想

 先月、県立図書館から借りた写真集の感想を記そうかと思います。
 一度は返却期限が来てしまったのですが、十分目を通していなかったので、延長しました。
 
 まずは植田正治の本。
 長いキャリアをコンパクトにまとめたものなのですが、それでも全体を俯瞰してみて、はっきりと分かるひとつの特徴があります。
 植田の写真は、余分なものを一切画面に入れていません。
 そのため、対象となるものの形が強調されます。とても絵画的だと思います。
 何でも撮れてしまう写真だからこそ、逆に不要なものは写さないということが大切だなと考えさせられました。

RE:植田正治 「小さい伝記」

 新宿にまで足を伸ばして植田正治の写真集を漁って来ました。
 見つけたのがこれ、小学館から出ている「名作写真館」シリーズのひとつです。緑川洋一と合体してるやつですね。
 大判で、写真も美しいです。特にこのカバーを見てください。(上の方)
 これが、植田先生のその後を決定付けた傑作、「少女四態」です。
 また、小学館らしく、年表や作品履歴などが詳細にまとめられており、資料としての価値も高そうです。
 580円でした。薄い本ですが、それを差し引いてもこれは安い。

植田正治 「小さい伝記」

 “fotonoma”というサイトに著名な写真家の作品履歴とインタビュー集があるのですが、これが素晴らしい!
 まだ全部は読んでいないのですが、非常に勉強になります。
 変な話ですが、わたしはこれを見て、須田先生が再婚なさっていたことを知りました。 「わが東京100」の巻末の座談会に出ていらっしゃった美しい奥様。先妻ということになるのですね……。
 横道にそれましたが、紹介されている写真家の中で、「植田正治」という方の作品がとっても気に入りました。
 もう故人ですが、国際的にも有名な方だったそうです。(全然知りませんでした(汗))
 鳥取には彼を記念した、「植田正治写真美術館」があるそうです。
 
 今日はその植田先生の写真集を探しに本屋へと足を向けました。
 お目当ては岩波書店から出ている「日本の写真家」というシリーズのナンバーだったのですが、これが品切れ、重版未定ということでした。
 この「日本の写真家」 須田一政も同じように切らしていて、ほとんど歯の欠けた櫛状態。天下に広く写真芸術を啓蒙するという役割を十全に果たしていません。
 義憤を覚えつつコーナーを眺めていると、「植田正治」を冠した学術書サイズの本が三冊ほど並んでいるのを見つけました。
 その中で、一番紙がしっかりしていたのがこの「小さい伝記」でした。パラパラと捲ってみると、心にとどく写真がいくつもありました。
 
 わたしは植田正治の作品はどこか須田に似ているナアと思います。
 そう考えていたら、なんと「わが東京100」の巻末にほかならぬ植田先生がコメントを寄せいてるのを発見しました。
 『彼の写真は妖怪変化が棲んでいる』
 うむむ……。