東京都写真美術館

 十九日に新横浜に出張してきました。
 
 要件は午前中にあっさりと終わったのですが、現場には休むと行ってきたので、久しぶりに東京を満喫することにしました。
 
 訪れたのは、恵比寿にある東京都写真美術館。恵比寿ガーデンプレイスの中にあります。
 
 さてその前に昼食です。
 周りにはいっぱい高級そうな店が立ち並んでいますが、やはり入ったのはマックです。
 
 しかし印象的だったのは、黒いスーツを着たOLが窓際の席にずらりと並んで食事をとっていたことです。たぶんガーデンプレイスの従業員たちなのでしょう。
 彼女たちは周りに良い店もなく、毎日こんなところでお腹を満たしているのでしょうか?
 なんだか可哀想な気がしました。
 
 
 それでは館内。
 入った瞬間、いきなり異様な雰囲気。なにか演説が聞こえます。入口の上部に巨大なスクリーンが据えられていて、三島由紀夫の演説が流されていたのです。
 しかし、ちょっと違和感が……。その違和感の訳は後になって分かります。
 
 チケットカウンターで「森村泰昌 なにものかへのレクイエム」と「APAアワード2010」を購入しました。
 特にこの展示を目的にしていた訳ではなく、これがたまたまやっていたのです。
 意外だったのですが、東京都写真美術館には常設展示というのがないのですね。
 ちょっとあてが外れました。
 
 先に観て回ったのは、「森村泰昌 なにものかへのレクイエム」です。
 森村泰昌のことを知らない人に彼のことを説明する大変かもしれません。
 わたしもずっと昔に「新日曜美術館」で観たことがあることを微かに覚えているくらいで、知識はほとんどないのですが。
 
 チケットを見てください。これはライフ誌の表紙を飾ったこともある有名な写真だそうですが、実は森村氏による扮装です。誰にって、ほらエビ反りをしている白い女性……。
 
 写真家であり、アーティストであり、パフォーマーなのです。もしかしたら、コスプレーヤー?
 
 ゴッホやフリーダ・カーロに扮した作品で有名になりましたが(「新日曜美術館」で観たのもそれ)、今回は二十世紀を彩った有名人たちに扮しています。
 ヒトラー、レーニン、毛沢東、アインシュタイン、ピカソ、ウォーホル、そして三島。
 そうです、入口の上の巨大スクリーンに映し出されていたのは三島本人ではなく、森村氏によるパフォーマンスだったのです。
 それに一体何の意味が……? 何か最もらしい解説がパネルに書いてあった気がしますが忘れました。
 
 しかしなにより衝撃的なのは、マリリン・モンローに扮したパフォーマンスでしょう。嫌な予感は的中しました。これは動画です(「海の幸・戦場の頂上の旗」)
 
 付けバスト(こういうものが売ってるんでしょうか? それとも先生謹製?)に、背中まる出しの白ドレスを着て、「七年目の浮気」の、アノあまりにも有名なシーンを再現してくれます。
 これははっきり言ってキモイ。先生は本当に女装がお好きなようです。今回はこれでも少ないみたいです。
 映像作品は何か良い話ふうに終わるのですが、わたしの脳裏にはマリリンのあまりに太すぎる腕が刻みついて離れませんでした。
 
 
 疲弊した頭脳を抱えて、地下へ移動します。「APAアワード2010」です。
 これは日本広告写真家協会が公募する「写真作品部門」と「広告作品部門」からなる展覧会です。
 「高レベル」と評されていた通り、上手い作品ばかりでした。特に入選作の「記憶写真(青木宰)」という作品が幻想的で気に入りました。
 ただ、全体的にパンチに欠ける気もしました。先に観た方が刺激的すぎたせいかも知れません。