最近アマプラで観た映画

「メッセージ」以外で、最近アマプラで観て印象に残った作品を挙げていきます。

■リーマンブラザーズ 最後の四日間
これは「マネーショート」を観て感動したので、もうちょっと知りたくなり、関連作品に出てきたのを観ました。
当時ニュースで、リーマンは破綻したもののなぜかAIGは救済されて、それについてリーマンの社長みたいな人が恨み言を言っていたのを薄っすら覚えていました。
その恨み言を言ってたのが例の「ゴリラ」の異名を持つリチャード・ファルドCEOだったという。
そう言えばこんなゴリラ顔だったような…、気がします。

ほとんど財務長官とウォール街のヘッド達が難しい顔突き合わせて会議するシーンで成り立っていて、絵的にはちょっと地味ですね。
しかし重厚な演技に派手さは無くても引き込まれるものがありました。

当時の財務長官ヘンリー・ポールソンは、早々にリーマンを救済しないと宣言しつつも他のウォール街のヘッド達にはリーマンを買って金融危機を回避するように半ば脅しのように要請します。
で、一時はバンカメに救ってもらえるかな~と希望を持ったものの流れ、最後の頼みの綱の英バークレイズにもフラれて詰みとなりあえなく倒産します。
そんな中、内情は同じく火の車のメリルリンチはまんまとバンカメに身売りを成功させ、CEOのジョン・セインはホクホクとボーナスを貰ってから退職するという…。

重厚なドラマに見えますが、裏には実に浅ましい思惑が渦巻く世界で、まぁウォール街とはやはりロクデモない所なんだなと再認識できる作品でした。

■マジックマネー ビットコイン革命
リーマンから10年以上経って、今はどうなんだ?とホットなトピックである仮想通貨を知るために観てみました。
仮想通貨の概要を知ることができてまぁ面白かったですが、要するにビットコインマンセー番組ですね。
一体何者なんだと言いたくなるような、実に胡散臭い有象無象のビジネスマンが登場して、異口同音にビットコインを褒め称えます。
知らないうちに金融商品にビットコインを始めとした仮想通貨が組み入れられて、バブルが弾けたら「何で「ドージ」は救ったのに「モナコイン」は潰されたんだ?!」みたいな恨み言が報道される未来にならないように願っています。

■デジタル・スーパースター列伝 闇の世界の超人たち
何とも仰々しいタイトルですが―――。
なんかアマプラの作品リストを延々繰っていくと、こういうアングラ臭溢れるのがあるんですよね…。

電話マニアのミスターPBXとファイル共有マニアのなんとかさんの2部構成となっています。
ファイル共有マニアの方はやってることも暮らし振りも本当にどうしようもなく、観る価値を感じませんでしたが、ミスターPBXの方は面白かった! まあ言ってる意味は8割がた理解できませんでしたが――。
いたずらっ子のような表情の輝きが素敵でした。こういう突き抜けた人は、やってることがあまり褒められたことではなくても、ちょっと胸のすくような思いをさせてくれますね。
あと80年代の秋葉原の思い出(マーズマーケティングカンパニー)なども興味深く、なんとも濃い~ぃ読後感のある作品でした。

■運び屋
2018年公開の、クリントイーストウッド監督・主演作品。
すごい傑作という訳ではないと思いますが、アメリカ南部の田舎の雰囲気が伝わる佳作だと思います。

■J・エドガー
これもクリントイーストウッド監督作品。(2011年)
主演はレオ様で、過去の回想で青年役、現在(と言っても60年代)で老人役を演じています。
FBIの初代長官で長らくその座に居座ったフーヴァーが、いかにして現在につながる強力な組織を作り上げて行ったかについて、彼の家族(マザコン)や性的志向なども織り交ぜながら追っていく話です。
FBIの歴史を知るドキュメントとしては非常に面白いと思います。

エドガー・フーヴァー自身については、世間の毀誉褒貶半ばする評価そのままに、善とも悪とも言いようのない、ただただ巨大なエゴがスクリーンに立ち現れてきます。
時系列が頻繁に過去と現在を行き来するので、筋が分かりづらく、どちらかと言うと難解な映画ですねー。

映画「メッセージ」を観て

(すいません。容赦なくネタバレしてます)

最近アマプラで観ました。

2017年公開。
「ばかうけ」みたいな形のUFOに乗って地球にやってきた宇宙人とコミュニケーションしようと四苦八苦する映画です。
UFOを扱った映画は数多くありますが、侵略者だったり「ET」みたいに簡単に意思疎通できてしまうものが大抵だと思いますが(じゃなきゃお話が進まないので……)、現実に地球外生命体と接触したなら、まずはどうやってコミュニケーションをとるのかが大問題となる筈です。

そこに真正面にフォーカスした作品で、知的好奇心を掻き立てられる良質のSF作品です。
17年の公開当時から気になっていて、いつか配信されるんじゃないかと期待していたのですが、やっっと観ることが出来ました!
そして期待通り、いやそれ以上の素晴らしい映画だった!!
そうですね…、私がHULU、アマプラで観てきた映画の中で5本の指に入ると思います。残り4本のうち2本は「300」と「アポカリプト」ですが―――。

そんな斬新な切り口の宇宙人はちょっとステレオタイプな2体のタコ型宇宙人。(アボットとコステロ)
七本足なので、「ヘプタポッド」と呼ばれてます。
宇宙船内に招き入れられた主人公たちは、まずは言葉でやり取りできないか呼びかけてみますがダメ。
ホワイトボードに文字を書いて見せたところ、向こうも墨を吐いて円形に文字らしきものを描き出してみせます。(ほんとタコみたい…)
そのことが端緒となって宇宙人の言語さらには思考様式が次第に明らかになっていくという筋です。

宇宙人の文字は莫山先生がよかいちのCMで書いてた「まる」そのもの……。(古いッ!!)
「絵でしょ?」としか思えませんが、微妙な刷毛捌き(?)が細かな意味を表しており、一筆で複雑な文章を表現しているといいます。
たぶん初めて漢字を見た外国人も同じように感じるんでしょうね…。

その文字から分かったのは、宇宙人の文字は表意文字で、普通の地球上の言語のようにS・V・O的な順次的な語順は持たないこと。
というより宇宙人の思考自体が地球人のように時系列に沿ったものではないことが分かってきます。
つまり原因⇒結果という「アタリマエ」と思われる論理は彼らには無く、原因と結果の関係があらかじめあり、それを時間順に観測するのも逆に観測するのも等価と考えているらしい。(何のこっちゃでしょう?)
(原作小説では因果論的(人類)⇔目的論的(ヘプタポッド)と比されているよう)

しかしながらこのアイディアには、個人的な体験から思わずはっとさせられるものがありました。
ウチの寝室の照明はリモコンで調光できるのですが、ボタンを押すことで明るさがサイクリックに変化します。(点灯⇒常夜灯⇒消灯⇒点灯⇒…)
このごろ子供が起きると自分で部屋の照明のリモコンを操作するようになったのですが、明かりが点いたにもかかわらずボタンを押し続けて再び消してしまうことがよくあります。
「なんで~?」と思っていたのですが、サイクリックな調光というのは良く考えると強度に逐次的な動作と言え、子供はむしろ生得的には目的論的な発想をするのではないかと思います。
つまり「部屋の明かりが点く」と「リモコンのボタンを押す」ということの関係だけが存在し、その順序は問題としていないようなのです。
そこから因果論的発想は実は後天的なもので、成長するにつれ獲得し、常識として理解を深めていくはないかと感じていました。

とは言えヘプタポッドは超光速で宇宙を航行するUFOを作るほどの高度な科学力を持っており、子供の知能にとどまっているわけではありません。
その秘密はまさに目的論的、というか、映画では「非線形的」という言葉で形容されているところの宇宙人の思考様式にあると思います。
この「非線形」というワードは文系の人には馴染みが無いと思いますが、私のような小学校時代に「ニュートン」やら「ブルーバックス」を読んで他の子たちより頭が良くなったような錯覚を楽しんでいた嫌なガキには憧憬すら覚える言葉です。

線形というのはここで言うと因果論的ということで、原因に対して結果がはっきりとしているようなケースです。
逆に非線形というとあらかじめ原因と結果がある関係を持つように定められており、その関係を優先するために原因が制限を受けるような、まことに不思議なシチュエーションを示しています。

普通(というと語弊があるけど…)の物理法則は線形の方程式で、だからこそ普段生活しているうえで原因⇒結果という単純な経験則が成り立つのですが、世にも名高い相対性理論は非線形の方程式なんですな。
(光の速度に近づくと時間の進みが遅くなったり、空間が歪んだりするのはその副産物)

で、真の物理法則を名乗るためにはどんな物理の方程式も相対性理論の要請を満たす形にしなければならないとされていて、線形の方程式で記述されるような物理の理論はあくまで真の理論の簡易版に過ぎないと考えられています。
ただこの非線形性の要請はかなり厳しいらしく、超ひも理論とか色々提言されているようですが、21世紀に入ってもまだ決着していないと聞いています。

これはまったく当てずっぽうの放言なのですが――、本質的に目的論的な物理法則を因果論的な形で理解しようとしているために生まれた、もしかしたら不要な苦しみなんじゃないかと思います。
例えば円の方程式を直交座標を使用してy=○○式に記述すると、結構不自然な形になりますが、極座標を使用するとごくシンプルに書けます。
思考の座標変換と言いますか、つまりヘプタポッドよろしく目的論を思考の中心に据えた場合、そもそも線形という概念が無いので「非」線形などという発想は生まれるはずもなく、真の物理法則を我々がニュートンの法則をごく当たり前と感じるように、ごく当たり前に受け入れられるのではないかと思います。

ただ良いことばかりではなく、ヘプタポッドは「いつ地球に到着する」などと言った計画は全く立てられなかったはずです。
また彼らは宿命的に運命論者となるので、滅ぶべき運命にあるとしたら何もせずに滅んでいたはずだし、地球人と交わる運命になければ旅に出なかったでしょう。
ヘプタポッドと地球人はあらかじめ出会うことが定められていたからこそ彼らはやってきたのです。
なので「3000年後に地球人に救ってもらうために来た」という映画のセリフは明らかにおかしいです。
それもそのはずで、やっぱり原作にはそのような説明は存在しないんだそうです。

最近アマプラで観た映画

■怒り
渡辺謙をはじめ有名な俳優が多数出演してる作品ですね。
2016年公開。確か映画館で「君の名は」を観た時に予告編が流れてたような気がします。

リンゼイ・アン・ホーカーさん殺害事件を下敷きにしたストーリー。
家で夫婦が殺害されてしまう状況は、世田谷一家殺害事件を意識してるかも知れません。
あと八王子という場所柄、八王子スーパー強盗殺人事件も頭をよぎりました。(でも現場は橋本に近いよう)

あと、映画の公開後に起きた富田林署逃走事件は、警察から逃げながらも逃走をエンジョイ(?)してるのが沖縄に逃げた男に似てますね。偶然でしょうが。
何か日本の凶悪犯罪のコラージュのように感じる作品でした。

3人の犯人と疑わしい男たちが各地に表れ、並行に物語が進行していきます。
一体どいつが真犯人なのかとミステリーにハラハラさせられます。
ラストはちょっと後味が悪いものでしたね…。

■マネーショート
リーマンショックが起こる前に世の中の流れに逆らって猛然とサブプライム証券を売り(ショート)、巨万の富をGETした抜け目ない連中の活躍を描いた作品です。
知ってる役者はブラットピットくらい。ウソ、ライアンゴズリングも出てた。
ブラピが出るからってことで製作費の融資を受けられたのかな? それくらいブラピである必要を感じない役柄だった。

ウォール街とかウルフオブウォールストリートとか、ウォール街もの(?)は結構好きですね。
これも楽しめる作品でした。

「あの株買っときゃ良かった~」とか「Sしとくべきだった…」とか「過去に戻ってビットコ買うよう自分を説得したい」とか、人は後になって色々言います。
リーマンが弾ける前は、サブプライムが焦げ付くこと自体は確信していてもそれが『いつ』なのかは分からず、そうしている間にもショートの保証金がダラダラと垂れ流されて、かなり精神削られる状況だったみたいで興味深いですね。

ゴールドマンサックスのやせ我慢というか、買い支え攻撃にも耐えて、金融市場の崩壊に立ち会った時はめちゃめちゃ脳汁出たでしょうね~。
これがウルフオブウォールストリートのレオ様だったら昇天の顔芸キメてるところでしょうが、あまりに不謹慎すぎると憂慮したのか抑制気味の演技でした。
一生に一度でもこんな体験出来たらたまらないだろーなとひそかに憧れを感じます。

ステイホームで観た映画

今年のGWはほとんど外出できませんでしたね~。
もっぱら家でテレビを観ていましたが、各局もロケが出来ず大変そうですね。
あとHULUで映画を観て時間を潰していたので、いくつか紹介したいと思います。

AKIRA
SFアニメの傑作ですね~。
昔観てえらく感激した思い出があります。
その当時はレンタルビデオ屋でVHSを借りて14インチのブラウン管テレビで観ていました。
今は動画配信サービスで40インチ液晶テレビで観ているので隔世の感がありますね。
しかし当時のように感激が無いのはまさに自分がその分歳を取ったからでしょうね。

こんな夜更けにバナナかよ
一昨年くらいに公開されて、「おっ!」となった作品。
インパクトのあるタイトルながら傑作ノンフィクションだった本作を、どう映画化したのと興味がありました。
大泉洋の鹿野は「ホントにこんな感じだったんだろうなー」と思わせるものがあります。
大学生の恋愛話は元々は無いのでやっぱり邪魔に感じました。
映画として成立させるためにやむを得ないんだと思いますが。

オール・ユー・ニード・イズ・キル
SF好きの知り合いが熱心に推してきた作品。トムクルーズ主演。
まあ面白いっちゃ面白かったですがそれほどの傑作と言えるかな~?

ギャング・オブ・ニューヨーク
レオ様主演。
南北戦争時代のNYの北斗の拳ぶりが楽しめる作品。

コンテイジョン
今回のコロナ騒動を予言したようだと噂の作品。
最後にDAY1を持ってくるのが心憎い演出でしたね。ただちょっと退屈だった。

白鯨との闘い
もっとゴジラ並みに闘うのかと思ってたのでちょっと退屈だった。

ブラック・スキャンダル
ジョニーデップが禿げ上がった前頭部さらしてひたすら犯罪道を往く作品。
自分、こういうクライム物好きっす…。

スティーブ・ジョブズ
たぶん私の仕事がIT系だからでしょうが、最近観た映画の中では一番良かったですね。
ジョブズの畜生ぶりを描きつつも、基本的にはジョブズサイドの内容です(そりゃ自伝映画だから当たり前か…)
実際に上司や同僚がこんな人だったら嫌でしょうねー。ミスターナイスガイでは世界は変えられないと言うことでしょうか。

私はスティーブ・ジョブズの偉さがイマイチ良く分からず、共同創業者のウォズや自身も天才的なプログラマーだったビルゲイツの方がよっぽど好きですね。
ただアップルを首になった後取り組んだNEXTSTEPは、ほんのちょっとしか出てきませんでしたが、当時としては先進的で素晴らしい功績だったと思います。
そこで培ったテクノロジーがアップルにカムバックした際にMac OSXとして結実するのが胸熱なのですが、マニアックすぎるからか触れられなかったのがちょっと残念です。

Hulu

う~ん、だいぶ長いこと更新をサボっていました…。
前回が須田先生の逝去に触れたまだ寒い3月の投稿。それから5カ月経て元号も変わり、いまは灼熱の8月です。
仕事(が80%)、家庭ともに忙しく、ブログを更新する余裕がありませんでした。
特に6、7月は目が回るほどの忙しさだった…。
写真もあんまり撮ってないですねー。悲しい。
この頃やっと落ち着いてきたので、ちょっとずつペースを戻していけたらと思います。

とは言え、忙しい忙しいでやってきたので特に書くべきネタも無い。
たまの休日は疲れて外出したくなかったです。
もっぱら家でHuluを観て過ごしてました。
なので、観た映画の中で面白かったもの、印象に残ったものを記しておこうかと思います。

300(スリーハンドレッド)
前々から見たいと思っていて、Huluで最初に見た映画です。
スパルタとペルシアとのテルモピュライの戦いを描いた作品ですが、公開当時も物議を醸した過剰な演出が大変楽しめました。
自分の中では一番面白い作品かも。
ただ続編はイマイチでした。

アポカリプト
舞台は古代マヤで、生贄の儀式を中心にしたストーリーです。
私は古代の中央アメリカの文明に興味があるので楽しかったですが、これも超バイオレンスな演出で観る人を選びそうです。
私の中では裏No.1

ゴッドファーザーⅠ・Ⅱ・Ⅲ
シリーズ全部見ました。どれも長いです。
結構クライムムービーは好きですねー。
ゴッドファーザーシリーズは独特な重厚感を感じます。
ヴィトー・コルレオーネの存在感がスゴイ…。

エスコバル 楽園の掟
堅気のカナダ人から麻薬王エスコバルの横顔を捉えた作品。
怖い人には近づかないのが一番ですね…。

プラトーン
戦争物は、フルメタルジャケットとかプライベートライアンとか有名どころを観ましたが、これが一番気に入りました。

ビューティフルマインド
色々と考えさせられた作品。
統合失調症って怖いね…。

イミテーション・ゲーム
第二次世界大戦中に、「エニグマ」というナチスの暗号を解読するために尽力した人たちを描いた作品。
アラン・チューリング(超偉人)のサイコパスぶりを演じるベネディクト・カンバーバッチが実に良いと思います。

プロメテウス
エイリアンやプレデターシリーズは大好物で良く観ていたのですが、その中でNo.1
だた、シガニー・ウィーバーの出ていないエイリアンは気の抜けたコーラのようで、決して映画として素晴らしいという訳ではないです。
公開当時の「人類の起源」という誇大広告なコピーが頭に引っかかっており、肩透かしっぷりがスゴイな、と。

アバター
ストーリー、映像ともに素晴らしい。現代の古典では?
でも何よりシガニーが記憶に残りますね。ナヴィ化してもなお「シガニー」なのはスゴイ。本物のスターの持つ個性ですね。

インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア
レスタトを演じるトム・クルーズはめちゃ美形ですね…。
なんか最後元気になっちゃって、良く分からないハッピーエンド感が好き。

レインメーカー
プロレスファンの私には別の意味を持つ「レインメーカー」
主演はジョン・シナ――、じゃなかった。マット・デイモン
せっかくだからと観てみましたが素晴らしい映画でした。
監督コッポラなんですね。

ウルフ・オブ・ウォールストリート
マーティン・スコセッシ監督作品。
「沈黙」の監督なので、渋いのかなと思っていたらそんなことはなく、ひたすら常軌を逸する馬鹿騒ぎを描きウォール街のヤバさを教えてくれます。
Huluでは同監督の「ディパーテッド」も観れますが、こちらも方向性が違って見えるので私にとっては掴みどころのない監督です。

映画ビューティフルマインドを観て

2001年公開なので、かなり古い映画ですが、Huluでやってたのでなんとなく観てしまいました。

ラッセル・クロウ演じる変人の数学者が国家の陰謀に巻き込まれて~、みたいな内容なのですが途中から何か変だな…という感じになる。
ネタバレになりますが、実は統合失調症を患っていて、陰謀云々は妄想だったことが明らかになります。
これは実話で、ノーベル賞を獲ったジョン・ナッシュの半生が下敷きとなっています。

つまり、天才と○○は紙一重…。

雑誌からソ連のスパイの暗号を探し出そうと、部屋中を理解不能なメモでいっぱいにするシーンは、観客に思わず「アカン…、終わっとる…」と唾を飲ますものでしょう。
しかしその情熱や恐ろしいもので、これほどの熱量がまともな研究に向けられていたら人類の進歩にどれだけ貢献したことだろうと思われます。

ちょっと興味が沸いてウィキペディアで調べてみると、統合失調症の原因は未だによく分かっておらず、百家争鳴、仮説の域を出ない様々な説が唱えられている状態のようです。
そこで気になったのは遺伝説。
誤解があったら申し訳ないですが、以下のような内容(だと思います)
健常者の脳の容積は思春期以降に減少する。でもこれは脳を成熟させるために必要なこと。
その証拠に知能の高い人の脳は大きく減っていることが多いらしい。
で、統合失調症の患者の脳も委縮しているケースが多い。
つまり、脳の容積を減らす遺伝子が誤って動作して病気の原因になる。

この説が面白い、というか個人的に腑に落ちた点は、知能が高いほど実は脳が小さいという点。
知能が高い、というのは合理的な思考ができるということですよね。
それができるのはズバリ! 合理的な思考をする以外の脳が無くなっているから――(えーッ??!)

確かに10代の頃は多感な時期と言って、色んなことに興味があったり、詰まらないことでクヨクヨ悩んでみたりと、脳の合理的な部分も、非合理な部分も同時に活動していた感がありました。
大人になるにつれて非合理的な部分は無くなっていき、人生の様々な問題にあまり悩まずに回答が見つけられるようになる。
と同時に、新しいことへの興味が無くなり、音楽も聴かなくなり、パターン化された生活にも抵抗がなくなって行く――、と書くとサビシイですね。

多くの大人が辿るように脳の非合理的な部分が縮小していけば、良いんでしょうが、それがあべこべになると非合理的な思考が強化されて、統合失調症のような症状を生み出すのかなぁと勝手に想像しています。

前に、統合失調症を患った人の手記「ボクには世界がこう見えていた(小林和彦著)」を読んでとても共感を感じたことがありました。
何だか、自分にも統失の気があるんじゃないかとも思ったのですが、そう考えた人は意外と多いんじゃないかな?

ビューティフルマインドの中のジョン・ナッシュが恋人(後の奥さん)とデートしているシーンで、星空から「傘」の星座を見つけ出す(作り出す?)というとてもロマンチックな場面があるのですが、象徴的、というか後の展開を知っているとむしろ薄寒くなるシーンです。
それは無意味な星の分布から「傘」という意味ある形を取り出している訳で、のちの妄想のはしりのようにも受け取れます。

そこでふと思い出したのは、むかし父親の本棚のカメラ誌に載っていた川面の写真を見て、その水の反射が文字のように見えたこと。
もちろんそれは不規則な光の線の集まりでしかなかったのですが、その文字が読めてしまったら、わたしはアッチの世界に旅立ってしまってたかも知れませんねー。

そんなことを思いめぐらしながら、ふとトイレの天井を眺めていたら虫食いのような吸音ボードの穴が目に入りました。
そこには次の戦争が起こる日、震災が起きる場所、恐慌を引き起こす証券のコードが埋め込まれている可能性があります。
ですが、しばらく見つめていましたが、やはり虫食い穴にしか見えませんでした。

その虫食い穴のような模様は、ググったところ「トラバーチン模様」と言うそうでした。

最近のトピックス

身辺慌ただしく、前回の更新からだいぶ間が空いてしまいました。
忙しいのは相変わらずですが、いくつか心に残ったトピックスを書いておきたいと思います。

■”SHOGUN 将軍”を観る
あのドイツのロルちゃんも幼少期に観て、日本へのあこがれを育てたという「SHOGUN 将軍」(映画版)を観ました。
権利者には申し訳ないですが、動画サイトで…。

う〜ん、これはどうなのだろう。かなり歪んだ日本観を植え付けたような気がします。
ニンジャ!ハラキリ!!
とくにまり子の切腹シーンはどうなのーーーッ?!
女性は切腹しないでしょッ!

あと映画版はダイジェストだそうなので、筋がアッチコッチに飛んでいます。
しかしセットはかなり忠実に見え、予算を掛けて真面目に作ってる感じはしました。
なので日本人の目からだと、チョット変だけど、許容範囲かな? 一応フィクションだし。

それから宣教師(イエズス会)が悪役として描かれているのがかなり意外な気がしました。
制作がアメリカでプロテスタントの国だったからかな?

■銭湯値上げ
東京都の公衆浴場入浴料金が、7/1から460円に値上げされました。
まぁ元々450円だったから、10円上がるだけですがね…。
6月末に久し振りに銭湯に行ったら、張り紙されていて知りました。
貧乏人のわたしは値上がりする前に入れてラッキーと指を鳴らしたのでした。

■ゴールデンウィークの思い出
今年は千葉に行ってきました。
房総半島横断の旅。
内房の五井から、小湊鉄道といすみ鉄道を乗り継いで、外房の大原に抜ける。
途中、養老渓谷で自然を楽しみました。

その晩は太東埼そばのホテルに投宿。
翌日、外房の海岸をブラブラ歩いて、漁港などを見物しました。

帰りは船橋で途中下車して、温泉銭湯「紅梅湯」に寄る。
やはり旅は温泉がないと締まりませんよね。

■ジェーソン昭島店閉店
「???」
何何何?と疑問符が浮かんだことと思います。
一体「ジェーソン」とは?
あるいは「ジェーソン」がディスカウントストアであることをご存知でも、それが閉店したから何だって言うの?

ごもっとも。
これはあまりに個人的な感傷なのですが、10年以上も前にわたしがまだ学生で八王子に住んでいた頃です。
サイクリングが趣味だったので、よく多摩川沿いを走っていました。
定番のコースは聖蹟桜ヶ丘の側の四谷橋から、上流に向かって走り、立川球場、浄水場を経由して拝島橋に抜けるというものです。
で、その浄水場のあたりにあったのがジェーソン昭島店でした。

当時でも「おぉ…」と後退りしたくなるほどの粗末な店舗(倉庫みたいだった)
そして激安の商品や、他所では見たことの無いようなパッケージが山積みされていて、痛く心を動かされた思い出があります。
なにぶん貧乏学生だったもので、家から遠いですが、ここでよくリュックサック一杯に食材を買い込んで帰ったものでした。

そんな懐かしい思い出のあるジェーソン昭島店が今年の1月に閉店していたそう。
ジェーソンのHPによると昭和60年に開店し、29年の歴史だったとか。
当時の思い出の場所が、またひとつ消えて寂しい感じがします。
何か虫が知らせると思って検索してみたらこれですよ。
(と言うのには半年も遅いか…。)

ブラック会社

 先週の「アンヴィル」に引き続いて、今日も映画を見てきました。優待券は二枚あったのです。
 今日観たのは、「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」です。あまり興味はなかったのですが、これしかやっていなかったので。
 主人公役は、小池徹平。ブラック会社の社長役として森本レオが出ています。
 同じ名前の本が先に出ていて、それはインターネットの掲示板の書き込みを元にしたものです。要するに「電車男」と同じパターンですね。
 実は書き込みのほうは以前にまとめサイトで少し読んだことがあるのですが、殺伐とした話だなあと思っていました。
 ただ映画のほうはかなり良い話風になっていて、潤色かと思って見返してみたら、そのまんまでした。
 映像の力は大きいですね。

RE:夢を諦めきれない男たち

 ちょっと気になったことを補足します。
 リップスもロブもユダヤ人です。
 特にリップスの両親は息子を厳格に育て、彼の夢には理解を示さなかったそうです。
 リップスはステージ上では非常にクレイジーなキャラクターなのですが、実際はとても真面目な性格で、映画の中でアルバムの制作費を稼ぐためにヤクザな電話勧誘事務所でアルバイトをするシーンがあるのですが、彼にはつまらない商品を騙して売りつけるような真似はできず、結局辞めてしまいます。
 夢がロックスターなので奇妙に見えますが、彼らが三十年も諦めずにやってきたのも、この真面目さゆえではないでしょうか?
 それはユダヤ人特有のものなのかも知れませんね。

夢を諦めきれない男たち

 以前知人から映画の株主優待券を貰い、しばらく忘れていたのですが、その期限が今月末に迫っていました。
 しかしこの映画館、一日に二タイトルくらいしかやらない(しかもマイナーな作品ばかり)ので、わざわざ街まで出る気にはなれないでいました。
 そもそもわたしは映画というものをほとんど観ないのです。
 しかしふと上映スケジュールを見てみると、興味を引くタイトルが。
 「アンヴィル! 夢を諦めきれない男たち」
 なんだこりゃ……?
 興味をそそられて、ようやく重い腰を上げ、何年ぶりかに映画館に足を運んだのでした。
 
 映画はカナダの売れないロックバンド「アンヴィル」を二年くらい追ったドキュメンタリーでした。
 売れないロックバンドなんてそれこそ砂の数ほどあるのですが、彼らがそんじょそこらの「売れなさ」とは訳が違うのは、一時はボンジョヴィ(超有名)、ホワイトスネイク(まあまあ有名)などと肩を並べる存在だったということです。
 映画の冒頭で、八十四年に日本で行われた「スーパーロック84」で演奏する彼らの姿が映し出されます。これには当時のメタル少年は頭を掻いたのではないでしょうか。
 ボンジョヴィが栄光の道を進むのとは対照的に、アンヴィルは坂道を転げ落ち、バンドだけでは食っていけずに、給食の配達人や、建築作業員に身を落とすことになります。
 しかし彼らは、冴えない仕事に身をやつしながらも決して夢を諦めていなかった! 五十代になり、頭はハゲかかってもバンド活動を続けていたのです。バンドを結成してから三十年の月日が流れていました。
 そんな彼らに対する家族の反応はさまざまです。主人公の一人、ロブの姉は「とっくに終わってる」
 でも彼の妻は夢を諦められない夫を擁護します。
 
 ところが降ってわいたようなヨーロッパツアーの話が舞い込んで、事態は急変します。一ヶ月以上に渡ってヨーロッパ全土を巡るツアーです。彼らは幸運の予感に胸を震わせ、それぞれ長期休暇を取って、意気揚々海を渡ったのでした。
 しかし、そこで待っていたのは失望の連続でした。少ない客入り、払われないギャラ、マネージメントの悪さ。苦い気持ちでツアーを終えたのでした。
 「だが、今年はなにかがいつもと違う」と、ツアーの勢いを駆って、彼らは新しいアルバムの製作に乗り出します。
 しかしそれに必要な経費が二百万。
 普通の感覚ではそれほど目を剥くほどの大金でもありませんが、ふだんからカッツカツでやってきて、家のローンも残っている彼らにはそれを捻出する余裕はありませんでした。
 それを救ったのが、もう一人の主人公、リップスの姉です。彼女が涙ながらに弟の夢を応援する姿はこの作品のハイライトと言えると思います。
 そんな家族愛に支えられて完成したアルバムが、アンヴィルとして通算十三枚目となる、「This is Thirteen(邦題 夢を諦めきれない男たち)」でした。
 
 リップスとロブはこのアルバムをショップに並べるために渡米し、ほうぼうのレコード会社を回ります。
 しかし完全なる門前払い。話だけは聴いてくれたEMIにも、「時代遅れすぎて売れない」とまで言われてしまいます。
 「こんなにもいい音楽なのになぜなんだ?」と切れた彼らは、ついに自家プレスに及び、手売りを覚悟するのでした。
 ところが海の向こうに救いの神が。
 アルバムを聴き、興味を持った日本のプロモーターが「ラウドパーク」というロックイベントにアンヴィルを招待してくれたのです。
 そして「This is Thirteen」は、日本ではソニーミュージックからメジャーリリースされることになりました。
 アンヴィルはスーパーロック以来に日本の地を踏みました。
 演奏順としてはキャリアにふさわしくない前座扱いでしたが、幕張メッセに詰めかけた二千人のファンの前で熱演を繰り広げたのでした。
 それはあたかも八十四年の再現のよう。熱い余韻ののこるラストでした。
 
 アンヴィルがこの映画によって、再びスターダムに舞い戻れるのか、それとも元の生活に帰っていくのか、わたしには分かりません。
 でも夢を追い続けることの素晴らしさと厳しさを誰の心にも刻み付けたに違いありません。
 わたしにとっては激励のような映画でした。思ってもみなかったようないい内容でした。
 映画、たまには観てみるのも良いものですね。
 
 画像は映画の内容とはまったく関係ない、映画館の近くの風景です。