ブログを更新できなかった期間のこーとー

年が明けて早3ヶ月経過しようとしてますな……。
例年であればもう桜が咲いててもおかしくない時期ですが、今年は寒の戻りで桜の開花が遅れて、珍しく桜の見頃は4月になりそうですね。

去年からもおぉぉぉぉ忙しく、ブログを更新する暇がありませんでした。
特に年始早々が修羅場で、久し振りに徹夜までしましたよ。
残業時間がヤバいっていうのもあったんですが、なにより現場のピリついた雰囲気がいたたまれなかったです。

んで2,3月は悪夢のデスマーチ。平日は深夜残業がデフォルトで3,4時間睡眠の日々でした。
土日は基本的には休めましたが平日の疲れでなぁんにもやる気がせず、ひたすら身体を横たえて体力の回復に努めるという灰色の日々でした…。

不思議なもので、そんなに寝てないと普段眠くてたまらないだろうと思いきや、早起きする必要のない土日でもそんなに寝れなくなりました。
眠くは無いのだけど、頭にモヤッとした不快感がずっと付きまとう感じ。
そして布団に入って寝入ろうとすると、頻繁にこむら返りを起こすのも地味にキツかった。
たぶんこんな生活をずっと続けてたら、いつかとつぜん頭か心臓がプチッ!と逝ってしまうのではないかと思います。

お決まりの腹痛にも悩まされて、朝5錠ずつ飲む正露丸とビオフェルミンがお友達でした。
そして栄養ドリンク。
チオビタ2000とキューピーコーワαをよく飲んでましたね。

キューピーコーワαはほのかにパイナップル味がして好きだった

精神的にもかなり参って来て、出勤時の気の重さといったらなかったですね。
正露丸とビオフェルミンの瓶の隣に、赤ちゃん用の爪やすりが置いてあるのですが、飲む時に毎度目にするので、そのパッケージの愛らしさに癒されてました。

平時では何とも思わないのですが、「こわくないよ」というフレーズもまた心に来るものがありました(うんヤバい)

今になってまじまじと見てみるとちょっと生意気そうな顔をしてるな

「会社…こわくない」「かいしゃこわくないよ…ッ」

確実に病む寸前ですな。
しかし! 幸いなことに忙しさにはピリオドが打たれて、平穏な日々が戻ってきました。
今は3末までの代休・有休の消化中です。
まぁまだ修羅場の真っ最中というメンバーを尻目にですが。
彼らには頭が下がるんですが、私は天使じゃないんで……。

忙しくなる前はラジオを聴きながら悠々自適という感じで仕事をしていたのですが、ちょっとそれどころじゃなかったですね。

そんななか、よく聴いていたニッポン放送「あなたとハッピー!」の準レギュラーである、経済評論家の森永卓郎さんが末期がんを患っているというニュースに触れてビックリ。
森永さんの主張はいつも逆張りチックなので、「う~ん」と思うときが多いですが、特異なキャラクターでリスナーに愛されていたように思います。

やつれた写真が出回っているので、「いよいよか……」と思っていたのですが、つい先日ラジオを聴いてみたところまぁまぁ元気そうでした。(声だけだったからかも知れないけど)
抗がん剤治療が上手くいってるのであれば良いなと思います。

「貧すれば鈍する」じゃないですが、忙しいと本当に視野が狭くなりますな。
視野どころか手足すら短くなったように何もしたくなくなる。ちょっと腰を上げれば済むような用事すら後回しにしてしまいます。

その結果、お風呂場にはピンクカビが蔓延り、換気扇のフィルターは埃でフサフサとなり、トイレの時計は1ヶ月以上も止まったままで放置されていました。(電池切れではなく壊れてた)
ずーっと気になってたのですが、「ちょっと」の手間をかけるのが億劫で手が付けられなかったんです。

コイツらは休暇に入ってすぐに片付けました。
特に時計。
出勤前にトイレに入ると電車の出発時間に間に合うか気を揉むんですよね。会社遠いので家でシッカリ済ませておいた方が良いからなおさら。
時計が止まってると不便でしょうがありませんでした。
止まってた時計は100均でしたが、鬱憤の反動かセイコーのちょっと良いのを買ってしまいましたよ。

休日は家族にほっとおいてもらって、ひたすらYoutubeを観てることが多かったです。
横浜、八王子の歴史とか散歩動画、限界ニュータウンの番組をだら~っと見てました。

従来からファンの限界ニュータウン探訪記は、このごろは更新が滞り気味。浮気してドスコイさんという旅系Youtuberの番組をだら~っと流し見してました。(BGM代わりにしているとウトウトしてよく眠れた)

下の動画は私がドスコイさんを知るきっかけになった動画で、限界ニュータウン探訪チックなところもありおすすめです。

あとはブラック企業の体験談みたいなのも、同類相憐れむではないですが、まーまー観てました。
下のは鬼の33連勤を収めたもの。こんなものまでコンテンツ化してしまうのがなんとも逞しい。

投稿者の方、食事をガッツリ食べてるので若い方だと思います。
私は忙しいとかえって食が細くなりましたね。
33連勤というと労基がブッ飛んできそうですが、土日は半ドンぽかったのでやってけたんでしょうね。それでもひどいと思いますが。
最後に休暇が取れて江ノ島に行けたのは良かったー。
「自分もいつかバカンス取るぞ!」と励まされました。

読書家を自認していたんですが、休日でも読書はほとんどしませんでした。
しないというかできない?
これまであまり意識して無かったんですが、本を読むのも意外と疲れるもんですな。
文字の羅列から脳内にイメージを生成している訳ですからね。そう考えると人間の脳ってまんまAIみたいですね。(逆か?)

「食人の形而上学」みたいな哲学書はもってのほかで、普通の小説でもキツイものがあり。
思うに休日でもどこかでずっと仕事のことを考えていて、脳にそのリソースが割かれていたんだと思います。
逆を言えば、良い読書体験って仕事も順調で、何の患いもないことがもらたしてくれる贅沢なことなのかも知れません。

漫画なら読めて、Amazonのプライムリーディングで無料で読めるのを適当に読んでいました。
食わず嫌いだった「ブラックジャックによろしく」とか「Dr.コトー診療所」とか意外と面白かったですね。
あと絵で敬遠してたんですが、「ナニワ金融道」は読むと裏社会の仕組み(?)みたいなのがわかって楽しかったです。

作者が亡くなった後にプロダクションが出した「新ナニワ金融道」も無料になってたんで読んだのですが、限界ニュータウン探訪記でもよく触れられているバブル期の乱脈な土地開発がトピックとして触れられていました。
この当時(07年)にもすでに社会問題化して広く知られてたんですね。
最近知ったので、バブルの負債が今になって表面化してるのかと思ってたのですが、さにあらずのようで。

そうすると限界ニュータウン探訪記の新味というのは、乱脈な土地開発を告発するというより、限界ニュータウンの実地に足を運んで生々しい現状をレポートし、あまつさえ自ら限界ニュータウンに住むというところにあるんだなぁと今更のように思い至りました。

話題転換。
お酒が好きで、このごろはクラフトビールに食指を伸ばしているのですが、年季明け(?)のお祝いにちょっとお高めのビールを開栓してみました。

……?(アレ)
こんなもの? なんかジュースみたい。全然味がしないんだけど。
たまたまハズレかと思い、別の一本を開けてみたのですが、これも空振り。
う~ん、どういうこと??

そこでリファレンスにしている激ウマ保証の「インドの青鬼」を開栓。
圧倒的なフレッシュ感と焼けつくようなニガミを期待して喉に流し込む―――ッ、が!
(……全然味がしない)

ここに来て、ビールがマズイのではなく自分の味覚がおかしくなってることに気が付きました。
コロナにかかった時みたいに、味や香りが全くしない、ということは無いのですが、どうも繊細な風味を感じ取ることができなくなってるみたいです。
肉体労働者は味付けの濃いものを好むみたいなことを耳にしますが、慢性疲労が味覚に影響を及ぼしている、とかでしょうかね…。

休暇に入ってすぐ健康診断を受けたのですが、高血圧気味だったのでそこに関係するのか気になっています。

前にソルジェニーツィンの「収容所群島」を読んで、酷いなぁ、こいつは人類史上に残る悲惨なことだとシミジミ思ったものです。
しかしある意味ではその稀有な経験が踏み台となり、ソルジェニーツィンをノーベル賞に届かせたのでは?と不敬なことも考えたりしていました。

ワナビ気質な私は、そんな経験を乗り越えれば自分も世界中の人に響くような文学作品が書けるのではないかと不遜にも想像したものですが、労使協定(特別条項付きw)ギリギリくらいの残業で本も読めなくなる程度の文章能力ではムリムリムリムリカタツムリですね。

逆(?)に、もちろんソ連の強制収容所には比肩しませんが、日本のブラック労働も時に自殺者が出るほど過酷さがあるので、これを文学作品に昇華する人がいずれ出てくるのではないかという予感がしています。

(昔話)CROSS FMの思い出

つい数日前に、ホリエモンこと堀江貴文氏が北九州のFMラジオ局「CROSS FM」の代表取締役会長に就いたというニュースを耳にしました。
ホリエモンとラジオと聞けばニッポン放送を思い出しますが、今となっては大昔の話で普通の人には「フ~ン」という感じだったと思います。
そもそもCROSS FMなんていうラジオ局、聞いたことないんじゃないかと……。

しかし、北九州に住んでいた私にとっては実に懐かしい名前でした。実に青春の一ページと呼ぶべきラジオ局でした。
もう四半世紀以上前のことになります。

CROSS FMは1993年に開局したFMラジオ局で、最初は米軍放送よろしく洋楽しか流さないような硬派な局だったようです。
しかし急速に社会に迎合して(?)、私が聴き始めた95年当時はふつーにJ-POPもガンガン流していました。

当時私は高校受験を控えていて、少なくとも机に向かっているフリはしなくてはならなかったのですが、机上の友は誕生日プレゼントに買ってもらったAIWAのラジカセCS−P5でした。
それで勉強の傍らラジオを聴いていたのですが、当時北九州に住んでいたので一番よく入ったのがCROSS FMでした。

その頃人気を博していたDJは「JK」こと北野順一氏で、カッコイイ英語と兄貴分の様な親しみやすいトークで中高生のハートを鷲掴みにしていました。
冠番組「北野CLUB」はラジオのゴールデンタイムと言える平日の21:00~24:00枠でかじりつくように聴いていました。
とは言え大昔の話なので、ウィキペディアを参考に思い出しつつ印象に残ったコーナーをお話しすると――。

「CROSS COUNTER」のコーナー
これは似たような二組のアーティストを取り上げて、番組内で双方のヒット曲をかけながら気分を盛り上げ、人気投票で雌雄を決するというものです。
確か「ボンジョビvsヴァンヘイレン」「マイケルジャクソンvsプリンス」「アラニスモリセットvsジョーンオズボーン」とかがあった気がします。
必ず洋楽対決で「オフコースvs安全地帯」みたいなことにならないのが、オシャレであり適度な温度感で良かったです。
私は判官びいきで大抵負ける方を応援してましたね。

「ダブルブッキング」のコーナー
これは要するにラジオ内お見合いですねー。
面識のない男女を番組内で電話を繋いで会話させるというもの。
メインリスナーである中高生同士がたどたどしいやり取りをするのが、聴いているこっちまでムズ痒くなりますが、野次馬根性で聞かずにはいられないです。

当時全国区で人気のあった「赤坂泰彦のミリオンナイツ」と放送時間がぶつかっており(FM福岡でネットされていた)、北野も意識するような発言を繰り返していたので、双方のファンの間に軋轢を生んでいたようでした。
「ダブルブッキング」のコーナーに応募してきてると見せかけて、「ミリオンナイツ聴けー!」と一言叫んでガチャ切りされるという事件(?)があったのを記憶しています。

当時同じくラジオリスナーだった友人と、自転車で浅香通りにあった旧本社スタジオに行ったのもこの頃ですね。
日曜だったので、たしか「ホットワンハンドレッド」という流行曲のランキング番組をやっている最中だったと思います。
オープンスタジオの中から手を振ってくれたのを覚えています。ステッカーも二枚貰っちゃいました。

北野CLUBの前の放送枠で、16:00~21:00でやっていた「POWER STATION」も良く聴いてましたね。
こちらは日替わりのパーソナリティーでした。木曜担当の田中リエさんがキャラ立っていてよく覚えています。
プリンスの大ファンで、必ずプリンスの曲をかけていました。
96年に最初の妻のマイテと結婚した時はショックを受けてましたね。(「どうせすぐ離婚するさ」とやけくその台詞)

その頃、新人アーティストが担当する「ミュージックヴォイス」という深夜番組があったのですが、平井堅とか及川光博、川本真琴なんかがナビゲーターを務めていました。
その縁で及川光博と交流があったみたいで、プリンスのCDを貸したと話していましたね。

POWER STATIONはほどなく終了してしまうのですが、最後に涙声になりながらオンエアした曲はやっぱりプリンスで、当時リリースされたばかりの「イマンシペイション」だったことを覚えています。

「JK」と並んで、当時私たち中高生リスナーを虜にしたDJ
それは福岡吉本の芸人「おたこぷー」
今では全国区となった「博多華丸・大吉」とともに福岡ローカルのTV番組「とことんサンデー」に出演し、「おタコ体操」などシュールな芸風で好評を博していました。
「ハイパーサンデースーパーリクエスト」というリクエスト番組を担当していましたが、ラジオでもその独特な喋りとネタで、北野CLUBのようなオシャレさは無いですが、大人気でしたねー。
でもこちらは勉強しながらBGMとして聴こうと思っても、笑ってしまってそれどころではありませんでした。

博多華丸・大吉は今や全国的に人気者となりましたが、おたこぷーはどうしてるんでしょうか?
おたこぷーに限らず、JK、田中リエさん、その他のパーソナリティーのその後が気になります。

CROSS FMも大学入学とともに上京して以来とんと聴いていませんが、ウィキペディアによると経営母体が何度か変わっているようで、厳しい感じなのかなと思います。
北九州自体が斜陽ですからね……。
ホリエモンがどう考えてるのかは知る由もありませんが、CROSS FMにも北九州にも元気を与えるような経営をしてもらえると嬉しいですね。

Radiko

ラジオを聴く坊や

この頃はテレワのお供にラジオを聴いています。
前に制作過程をご紹介した真空管ラジオで聴いてたのですが、どうもこの頃電波の入りが悪くなり、もっぱらRadikoで聴いています。
パソコンでRadikoのWebサイトを開いて聴いてるのですが、Radikoはさすがデジタルなので、真空管ラジオに比べてノイズも無く綺麗な音ですね…。

それで気が付いたのですが、真空管ラジオで聴く場合(つまり電波を受信する場合)とRadikoで聴く場合とで、Radikoの方が1分くらい放送が遅れます。
スマホにもRadikoのアプリを入れて聴けるようにしたのですが、パソコンで聴く場合に比べてスマホの方がさらに放送が遅れているようです。
この時間差は何なんでしょうね…?

番組は朝は良くニッポン放送の「垣花正 あなたとハッピー!」を聴いてます。
東京MXの「5時に夢中!」のMCですね。

午後の時間帯は同じくニッポン放送の「ナイツ ザ・ラジオショー」を聴いてることが多いですね。
(DJのナイツは漫才師コンビ(塙 宣之、土屋 伸之))
先週、今週と相方が入れ替わりでコロナで自宅療養となり、片輪走行で進行をしてます。毎日ゲスト芸人が助っ人で参加してヘルプしてて、大変ですな。
先週はサンドイッチマンがゲストでしたが、面白かった!
腹を抱えて笑ってしまって、仕事どころではない。やっぱり腕がありますね~。

それにしても司法書士法人の過払い金のCMと、弁護士法人のB型肝炎とアスベストのCMが怖い…。
何度も何度も流れるし。

佐久間式アンプの思い出

真空管アンプの世界で有名な、佐久間駿さんが去年の12月13日にお亡くなりになっていたそうですね。
何気なくググってみて知りました。

おととしあたり、真空管ラジオを作ったりして、真空管アンプ作りに関心を寄せていた時期がありました。
Youtubeなんかで自作動画をみて研究をしたりして。

そんな中で出会ったのが、2010年に放送されたNHKの熱中人という番組で取り上げられた佐久間駿さんの動画でした。
千葉の館山で「コンコルド」というレストランを営みながら、自作の真空管アンプを作って聴かせる趣味人。
真空管アンプ会では伝説の人物とのこと。

その仙人のようなルックスにびっくりするとともに、回路図もなんもなしにアンプをバチバチと作っていく姿にも衝撃を受けました。
しかしそれでいて音は絶品だという…。

真空管アンプ作りの元になる、子供時代に鉱石ラジオを作ったエピソードを語りながら、「1010ミリバールっていう島があると思ってた」語る佐久間さんは人間的な魅力にも満ち溢れた方だったのでしょうね~。
私にとっては真空管アンプのロマンを濃く伝えて下さったお方です。

真空管ラジオ製作

こないだの投稿から間が空いてしまいましたね…。
GWが終わってから急に忙しくなり、真空管ラジオ製作の進捗を報告できてませんでした。
実はとっくに完成しています。
その一部始終を記していこうかと思います。

その日(5月5日こどもの日)決意とともに目を覚ましました。
遅めの朝食を済ませた後、作業机に腰を据えます。
右手にハンダごて、左手にニッパー、右耳の上にドライバー、左耳に六角レンチ、鼻と上唇のあいだにテスターの端子を挟みます。
で、気合を込めて回路図を凝視してみたのですが、う~んサッパリわからん(!)
とりあえず完成イメージを掴むために主要なパーツをシャーシ上に配置してみました。

最初は作例の写真や実体図を極力見ないで作ろうと思ってたのですが、こりゃムリだわ~と諦めました。
むしろそれらを見てもよくワカラン部分が多々あり、持てる情報のすべてを駆使しなければ完成はおぼつかないことが明らかになりました。

作成は以下の順に従います。

  1. アース母線の張り回し
  2. 真空管のセンターピンのアース
  3. ヒーターの配線
  4. 電源回路の配線
  5. 低周波増幅回路の配線
  6. 中間周波増幅回路の配線
  7. 周波数変換回路の配線

なんのコッチャでしょうが、ボリュームを上にしてシャーシをひっくり返した時に、左から右に配線していく感じです。
なのでまずはアース母線張りから着手します。
これは余分な電気を逃がす線で、強い電圧はかからないので腕慣らしにぴったりなイージー作業なのですが、緊張で腕が震える…。
続いてアース線を真空管のセンターピンに通し、3番のピンにハンダづけする。
ちなみにここまでで3時間半くらいかかりました。

ヒーターの配線。これでやっと電圧のかかる配線です。
とは言えもっともイージーなので1時間ほどで完了。
ここからが本番です。
トランスで昇圧した電流をダイオードと電解コンデンサで整流する部分を作ります。

ここが最初のチェックポイントで、電気を入れてちゃんと電圧が出てるかテストします。
ダイオードと電解コンデンサにはプラス・マイナスがあり、間違えて配線していると最悪破裂する恐れがあります。
祈るような想いで恐る恐る電源を入れました。
「……」
どうやら間違ってはいないようです。

しかし、テスターで電圧を測るとどうもオカシイ。
ヒーターには6.3V、プレート(5番ピン)には260Vくらい掛かっているはずが、どちらも半分ほどしか出ていませんでした。
テスターが悪いのではないかとすら疑ったのですが、無論悪いのは私。
トランスの配線を間違えていました。
なので一度つけたハンダを溶かして再び付け直しました。
果せるかな…、もう一度測ってみると。
おー! ちゃんと設計通りの電圧が出ていました。
やはり機械は嘘をつかない、間違えるのはニンゲン。素直に間違いを認める姿勢を大事にしたいものです。
などと反省しているうちに、上記のロスもあり、作業開始から6時間ほど経過していました。

ここから作業はぐっと難易度が高くなります。
真空管6AK6と6AV6のソケットピンの配線を行います。
狭いソケットの上を跨ぐように配線するので、じつに細かい作業で神経を使いました。
6AK6はスピーカーを駆動する電力増幅を行う球。6AV6はその一つ手前の「検波」という、搬送波を取り除いて信号波を得る球です。

配線を終えてソケットに真空管を差し込み電源を入れます。
スピーカーから「ブーン」という雑音が聞こえてきます。
ボリュームをひねってその音が大きくなればとりあえず成功なのですが、どうか?
ーーOK!
先の失敗もあり慎重に作業したおかげで、このポイントは無事パスしました。
しかし4時間ほどかかりました。朝からだと10時間経過しています。
何も口にしていなかったので、ここでブレイク。

さて、今日はここまでにしようか、それともこのまま続行しようかと迷います。
進捗は6割ほどなので、続ければ日を跨ぐこと間違いなしです。
止めようかな…、とも思いましたが、まだ気力充分、何より一刻も早くラジオから音が出るのを聞きたかったので続けることにしました。

中間周波増幅回路(6BA6、IFT-B)の配線に着手。
ここからは本気モード(?)なので、写真を全然撮っていません。
ここは2時間くらい掛けたかな?

最後の球、6BE6とIFT-A、局部発振器まわりを配線します。
6BE6は何と7極管!
アンテナから入った信号を局部発振器の信号と混合し、低い周波数に変換するという複雑なことを行う球です。
しかし作業も大詰めといったここで大トラブル発生!
20kΩの抵抗が見つからない。
よくよく回路を眺めたところ、50kΩの抵抗と間違えて低周波増幅回路に使ってしまっていた~。
やはり長時間の作業で集中力が低下していたか…。
しかしどうしようもない、一度配線した20kΩの抵抗のハンダを溶かして50kΩのに付け替えました。
タコ足のように他の線も繋いでいたので、冷や汗ものの作業でした。
しかしどうにかやり遂げ、シャーシ下の配線を終えます。

これで終わりーー、かというとそうではなく、最後にコイルアンテナとエアーバリコンの配線が残っています。
要するに信号の出口(スピーカー)から、入口(アンテナ)という向きに配線を行っていたのですね。
だがこれが最後の難関であった。
というのも、コイルアンテナやエアーバリコンはシャーシの上に付いています。
ところが写真や実体図はシャーシの裏側のものしかないので、回路図を頼りにするしかないのです。
しかし実力がないので全く自信が持てず、ネットで同じキットを色々な角度から撮った写真を色々と収集してやっと配線を決めました。

遂に配線完了!
時計の針は午前2時を回っていました。
途中ブレイクしたものの、朝から16時間もの作業となりました。
もうフラフラです。

とは言え、実際にラジオが受信できなければ完成とは言えません。
「どうか…」という祈るような気持ちで電源を入れます。

真空管に灯が点るとスピーカーからかすかな雑音が聞こえ出します。注意深くチューナーのダイアルを少しずつ回します。
12時あたりに来たところで大きく、鮮明な音声が再生されました。TBSが入りました!
さらに1時方向に回したところ文化放送を受信!
やったー!!

ボリュームを上げてさらに綿密に確認したところ、NHK(第一か第二かは分からず)、英語の放送(たぶん横須賀米軍の)が確認できました。
しかしどちらも感度は低く、日中だとまったく聞こえません。
実用になるのはTBSと文化放送の2局だけですねー。ちょっと寂しい。

音はデジタルオーディオと比較するとノイズが多いですが、人の声なんかはわりかし自然な感じで聴けると思います。
音楽も低音とかは全然出てませんが、意外と聴けるなと思うこともあります。
自分で作ったので贔屓目の塊りですがー。
つぎは他局も聴けるように感度を向上させるべくアンテナとか自作したいなと思っています。

真空管ラジオ製作(前哨戦)

このあいだGWに真空管ラジオを作りたいと書いてたわけですがー。
本とかも読んでみて、材料を一から集めるのはちょっと無理そうと思われたので、キットを注文することにしました。
札幌に「ラジオ少年」というNPO法人があって、学校教材としてラジオのキットを製作してます。
そこで出してる4球スーパーラジオ「4S-STD」を取り寄せました。

「スーパーラジオ」は「スーパーヘテロダインラジオ」の略です。
なにやらやたらといかつい名前ですが、「スーパー」も「ダイン」もあまり深い意味はなく、「周波数混合(ヘテロ)」するラジオという意味です。
4球というのは真空管を4つ使ってること指します。
本当はこの方式では5つ使うそうですが、このキットは整流管をダイオードに置き換えてコストカットしています。

さて気になるおプライスですが、定価2万円です。
が、秋葉原のショップに卸しているものを注文したので、プレミアムなのか一割五分ほどプラスされてました。まぁ送料と考えて…、も高いか。
これが5球スーパーラジオだと2万5千円となります。
う~ん、学校教材としてはかなり良い値段だなァ。

真空管とご対面!!
パッケージが古色蒼然としていて、もうスゴイ。
一体どのくらい前に作られたものなんでしょうか?
そして本当に動くのか不安です。

いかにも教材らしく抵抗やコンデンサーが厚紙に貼ってあって分かりやすい!
本当はカラーコードとか読めるようにならなきゃいけないんだろうけど。

さて、早速取り掛かりたいところですが、GW前半はちょっと立て込んでいるので、ぐっと我慢でちょっと置いておきます。
たっぷり二日は掛かるのではと踏んでいます。
そこで前哨戦としてスピーカーを先に作ることにしました。

このラジオキットにはスピーカーユニットが付属しています。
ダイトーボイスの“F120C85-1”というもの(上の写真の真ん中)
いかにもラジオ用という感じの安っぽい代物(販売価格は二千円弱くらい)ですが、意外やネットでの評判は良いようです。
しかし箱は付属していない。
裸のまま使う訳には行かないので、けっきょく秋葉原に足を伸ばしてスピーカーBOXをGETしてきました。
同じくダイトーボイスの“SV-7S(12cm用)”(上の写真の右)

入らない~~~ンッッ!!!!
そうなんである。
入らないんである。
同じダイトーボイスなのに! 12cm用と謳ってるのに!!
これは裏切りでしょう。

とは言えゴミにするわけにもいかない。
まさしくD.I.Y(己でなんとかする)時が訪れたのです。
気を取り直して「島忠」に向かい、穴を広げるための引廻し鋸をGETしました。
そして風呂場でギコギコと穴を5mm程外に広げます。
材質はパーチクルボードなので、切るというより砕くという感じです。
恐ろしいほど埃が出るので風呂場以外での作業はあり得ないでしょうね…。
最後は紙ヤスリで滑らかに仕上げました。

う~ん、多少デコボコしているがどうかーー。

入ったッッ!!

ユニットを木ねじで固定して、内部の配線を行います。
久しぶりにハンダ付けをしたので緊張しました。
出来栄えは、ウ~ン。
まぁ見えない場所だしいいか。

中には吸音材をいっぱいに詰めます。
スピーカーBOXに付属していたのは黄色いグラスウールだけですが、足りないと見て、別の吸音材も島忠で手に入れました。
この白いの何だと思いますか?
アクアリウムのコーナーにあった、水槽の濾過フィルターです。

後ろの蓋を閉じて完成。早速音出ししてみます。
アンプに繋いで、ボリュームをひねる。ドキドキの瞬間です。

おー!
出ました。やった!
しかもちゃんとした音。フルレンジらしい素直な音です。
低音はほとんど出ませんが、ラジオ用としては充分でしょう。

いや~、いきなり大変でしたが、手のかかる子ほど可愛いではないですが、やはり愛着を覚えますね。
とは言え本戦のラジオ作成はトラブル無く行って欲しいと切に願うばかりです。

真空管ラジオ製作(してみようかな?)

東京ではこのあいだ桜の開花宣言が出ましたが、まだまだ寒いですな。
今日も雨がしと降る憂鬱な冬の天気でしたが、ダウンを羽織って東京の街をウロウロとしていました。
このごろまた悪い虫が…。オーディオ欲しい病が再発して物欲に身もだえしてるところです。
「小人閑居して不善をなす」とはまことにその通り!
年度末でプロジェクトが終わったので、出社してもヒマでしょうがないのです。
なので自然と頭が「不善」に向かうーという始末です。

とはいえ先立つものもなく、また仮に高級オーディオを手に入れたとしても現在の住環境で本気視聴したら隣人が包丁を持って飛び出してくること請け合いですので、もちょっと違うアプローチで攻めてみようかと思っているところです。
それは自作、DIYですね。
サスガにCDプレーヤーを自作したというのは聞いたことありませんが、アンプとかスピーカーの自作はかなりポピュラーで、ネットを見るとDIYの記事がたくさん見つかります。

思うにオーディオというのはエレクトロニクス製品としては極めて単純なのでしょう。
それがアマチュアが参入する余地を生み、結果濃い趣味性につながってるんじゃないかと想像します。
だって薄型テレビの画質に煩いカスタマーは多いですが、裏に貼って画質を上げるアクセサリーなんて売ってないですよね(多分)
それはテクノロジーが高度過ぎてそんなことをしても何の役にも立たないことが自明だからですが、オーディオはそうじゃないんだなぁ~ッ。

ちょっと脇道にそれましたが、高級レストランに行くよりも自炊をした方が安く、自分好みの味に仕上がる(かも知れない)そんな風に考えてDIYを志したのでした。
将来的には自作でアンプとスピーカーを揃えたいのですが、まだ経験が足りないのでちょっと別なもので腕を磨いてからにしようと考え思いついたのがラジオ製作です。
大学時代に技術の講義でトランジスタラジオを作ったことがあるので、恐らくいけるだろうと踏みました。
しかし、いずれは真空管アンプを作りたいので、足がかりを得るべく真空管ラジオにトライします。

ネットには真空管ラジオ製作の記事もまたいっぱいあるのですが、やはりリタイアした年配の方が昔を懐かしんで作ってるケースが多いですね。
私の子供の頃にはすでに真空管は姿を消し、ラジオはラジカセやウォークマンに付属するものになっていたので、懐かしさはないのですが、なぜかその音は懐かしさを誘うものとなるような気がします。

ネットの作例は豊富なのですが、やっぱり手元にガイドが欲しいので、いくつか書籍をピックアップしてみました。
寒風吹きすさぶ中、最初にむかったのは新宿のブックファースト。
理工のコーナーにけっこうたくさん自作オーディオの本が置いてあります。
真空管アンプの本が目立ちますが、そこに混じって真空管ラジオの本もチラホラと…。
見つけました! お目当ての「真空管ラジオ製作ガイド」(初歩のラジオ編集部編)
パラパラとめくってみて、写真や図も多く、初心者にも分かりやすそうだったので購入することに決めレジへ。
¥2,376でした。

この本とは別に、新書サイズの「手作りラジオ工作入門」という本も見てみたかったのですがブックファーストにはなかったので、雨のなか神保町に向かうことに。
古本で安く手に入ればもうけものと、古書店を何軒か覗いてみましたが空振りに終わります。
須田一政の写真集を物色したりと、ちょっと道草をしましたが、今回はパスでー。
けっきょく三省堂書店で新品を手に入れました。¥864なり。

それにしてもブルーバックスの本を買うなんてウン十年ぶりじゃないかしら。
小中学生のころよく読んだものです。都筑卓司先生の本とか。懐かしいな。
これは持ち運びやすいサイズなので通勤時間に読もうかと思います。

4月いっぱいで下調べや材料の手配をして、いざ製作するのはGWかな?