ネットワークプレーヤーでラジコが聴ける!🤭

このあいだネットワークプレーヤーでインターネットラジオが聴けなくなったが、なんやかんやあって聴けるようになったという記事を投稿しました。
めでたしめでたしなんですが――、実際のところ最近はもっぱらアマゾンミュージックやラジコを聴いてたので、「聴けない!」という掻痒感が無くなっただけでそれほどQOLが上がったわけではありませんでした。

YCASTをセットアップする中で思ったのが、「これを使えばネットワークプレーヤーでラジコも聴けるようになるんじゃないか?」ということ。
持ってるネットワークプレーヤーの後継機種(といってもとっくに生産終了してますがー)のパイオニアのN-50AEではラジコが聴けるので羨ましく思っていたんです。

最初の思い付きは単純に「インターネットラジオもラジコも同じラジオでしょ?」

つまりラジコにも他のインターネットラジオよろしくストリームURLがあり、それをYCASTに登録すれば聴けるようになるのではないかと考えたのです。
でリサーチしたところ、そうは問屋が卸さずでそんな単純な話ではありませんでした。

まず第一の関門はラジコのURLを開くためには認証が必要で、認証せずに開くとエラーとなり音声を聴くことができません。
第二にHLS形式ストリーミングという方式を採用していて、古典的なインターネットラジオのような固定的なストリームURLがあるわけではないということ。

N-50AEにはたぶん機器の中に上記の処理を行うプログラムが入ってるんでしょうが、N-50Aには入っておらず、今後も入ることはありません。(事業撤退しちゃったんで)
なので前回のお話し同様、外部で補ってやる必要があります。

その第一の難題を解決する今回のヒーロー(一人目)は彼ッ!

ヒーローというよりなんかADみたいですが…。
この人が認証を代行して、ラジコのサイトから各ラジオ局のプレイリストを取得してきてくれます。

この認証というのが何をやっているのかちょっと謎なんですが、ラジコはエリアによって聴ける局が変わるので、どのエリアに属しているのかという情報を取り交わしているんじゃないかと思います。

第二の問題を解決するのはこの人!

これはサーバー上で動く音楽プレイヤー(iTunesとかWindows Media Playerみたいな)なんですが、HLS形式ストリーミングの再生ができます。
パソコンと違ってサーバーには必ずしもスピーカーは付いてないので、再生している音楽をストリームURLに再放流するという機能も付いてます(これがミソ)

またサーバーには必ずしもディスプレイが付いてないので、スマホ越しに操作して聴きたい曲を選べるという機能が付いてます。

このRadioRelayServerとMusic Player Daemon、そして前回紹介したYCATを協調させることでN-50Aでもラジコが聴けるようになるんです。

マンガにするとこんな感じですね。
図にしてもサーバーのところがごちゃついてちょっとわかりずらいですが…。

  1. RadioRelayServerがラジコからプレイリストを取得
  2. Music Player Daemonがプレイリストを読込んでラジオを再生し、家のネットワークに再放流
  3. YCASTがネットワークプレーヤーに再放流してるURLを案内

という流れです。

番組の選択はM.A.L.Pというアプリで行えます。

ラジオ局の切替えを行うと数秒音声が途切れますが、まぁまぁ快適な操作感です。
それにしてもこのアプリの感じ、N-50Aの操作アプリに似てますな。
おそらくN-50Aの内部、に限らず各社が出しているネットワークプレーヤーの中身も、Music Player Daemonみたいなオープンソースのサーバー向け音楽プレーヤーを独自にカスタマイズしたものが動いてるんでしょうね。

ネットサービスのメニューを開くと、YCASTに追加したラジコの番組が見えます。
選択するとアプリで指定したラジオ局を聴くことができました😎

これまでパソコンを開いてブラウザを立ち上げ、番組を選択して聴いていたのでだいぶ簡便になりました。
ラジオを聴くためにわざわざパソコンを開けなくていいというのは大きいですね。
ただネットワークプレーヤーの画面上だと”Radiko”としか表示されないので、どの局を聴いてるのか分からないのが難点ですな。
あと、可能であればアートワークに番組画像が出れば良いですね。

以下は、備忘録も兼ねて技術的な内容になります。
自分もRadioRelayServerを入れたいんだよォ、という人には有益かも知れません。
興味のない方はここでお別れですね。

①Music Player Daemonのインストール&設定

下記コマンドでインストールします。
apt-get install mpd

/etc/mpd.conf を編集します。
チマチマ変えるところがありますが、大事なのは家のネットワークに再放流する箇所の設定ですね。
ひな形が載ってるので、必要に応じてコメントを外して設定します。


#
# An example of a httpd output (built-in HTTP streaming server):
#
audio_output {
    type                 "httpd"
    name                 "Radiko"
    encoder              "lame"
    port                 "8000"
    bind_to_address      "0.0.0.0"
    bitrate              "128"
    max_clients          "0"
}


②RadioRelayServerの設定

ZIPでダウンロードして、2か所変更しました。

<start>


#!/bin/bash

nohup python3 manage.py runserver 0.0.0.0:9000 > /dev/null 2>&1 &


これは単にターミナルからRadioRelayServerを起動した後、ターミナルを閉じても動き続けて欲しいので、死なないようにオマジナイですね。

<radiko.py>


186c186
<                 'http://f-radiko.smartstream.ne.jp/'
---
>                 'http://c-radiko.smartstream.ne.jp/'


たった一行の修正(f-radikoをc-radikoに変えただけ)ですが、けっこう大事な修正です。
今年の一月にラジコの仕様変更がありそれに対応したものです。
ラジコは時たまこういう仕様変更を行うそうで、そのたびに受信するアプリはちょくちょく改修しなければいけないみたいです。
ラジコが聴けることを羨ましがっていたN-50AEですが、もうファームウェアアップデートは行われていないと思うので、多分もう聴けなくなってるんじゃないかと思います…。

んで起動ですが、RadioRelayServerはPythonというプログラム言語で書かれていて、DjangoというWebサーバで動きます。
ただ七面倒臭いことに、仮想環境というものを作ってその中で動かすというお作法があります。

その辺りの操作を当時は色々調べてやったのですが、ちょっと時間が空いてしまったので詳らかには思い出せませぬ…。
多分Pythonを動かすうえではごく一般的な話だと思うので割愛します。

ポイントとして、プレイリストは下記に書き込まれるので、あらかじめ空ファイルを作成しておいて書き込み権限を与えておく必要があります。

/var/lib/mpd/playlists/00_radiko.m3u

③YCASTの設定

stations.ymlに下記を追記しました。


Radio:
  Radiko: http://192.168.0.20:8000


以上の設定でネットワークプレーヤーでラジコが聴けるようになりました。
次はAmazonミュージックが聴けるようになると良いなぁ…。

【解決済み】ネットワークプレーヤーでインターネットラジオが聴けなくなった話

8年くらいパイオニアのN-50Aというネットワークプレーヤーを使ってきたのですが、この頃インターネットラジオが聴けなくなってしまいとても困りました。
お気に入りに登録しているインターネットラジオ局を選んでも、↓のように「トラックが見つかりません。」と表示されてしまうんです。

気が付いたのは2月頭くらいですかね。
世間(?)は1月半ばくらいから騒いでいたようですが、近頃はもっぱらアマゾンミュージックを聴いているので気が付きませんでした。
蛇足ですが最近は「夏チルJ-POP」をよく聴いています。季節感無いですね……。

久し振りにインターネットラジオでも聴いてみようかーと選局するとエラーに。
その時はネットワークの一時的な不調かと思って放っておきました。
しかし数日空けて再びトライしても同じ結果となったので、何かがおかしいとググってみました。

すると出るわ…。インターネットラジオにつながらないという悲憤の嵐。
日本人は価格.comのクチコミ掲示板、外国人はHiFiオーディオのフォーラムなどで不満を呈していました。
それらをつぶさに読んでやっと問題の原因がわかりました。

上はネットワークプレーヤーがインターネットラジオを聴く仕組みをマンガにしたものです。
インターネット上にはラジオを配信している局が山のようにあるのですが、ネットワークプレーヤーから聴くときには最初に案内サイトにアクセスし、そこから聴きたいラジオ局を教えてもらってストリームを開きます。
案内サイトはいくつかありvTuner、TuneIn、airable radioなどがあります。
パイオニアのネットワークプレーヤーはvTunerを使っていたのですが、この度vTunerがパイオニア製品のサポートを打ち切ったのが原因のようです。

「何を勝手に打ち切りやがって?!」とブチ切れたくなりますが、実は地殻変動ははるか2020年頃から始まっていました――。
2010年代、パイオニアのみならずSONY、Denon、マランツ、ヤマハなど各社がネットワークプレーヤーを競って出荷していました。
それらの機器のインターネットラジオ再生はvTunerがサポートしてたのですが、2020年頃から順次サポートの打ち切りや有料化が行われてきていたようです。

見切りを付けたSONYはファームウェアを更新してvTunerからTuneInに、同じくヤマハもairable radioに乗り換え。
マランツは年間6ドル、Denonは4ドル(この差は何…)払うことで継続利用できることになりました。
そう言えば、BOSEのHomeSpeaker500はTuneInでしたね。

で、パイオニアはなぜかお目こぼしを受けてこれまで無料で聴けてきたのですが、この度サポート停止の止むなきに至ったようです。

わき道にそれますが、これ本当にダメ―――と思いますね…。
年間4~6ドルって、日本円にしたら600~900円で全然払える額だと思います。
なんですが、最初から徴収してたなら納得できるんですよ。
でも元々タダだったのに今になって払えというのが本当に気持ち悪くて受け付けられない。
お金払って聴くくらいならむしろ聴けなくて良いやと思ってしまいます。

パイオニアはオンキョーに吸収されて、そのオンキョーも2022年に倒産してしまったんですよね。
ブランド自体は外資に買われて生き残っているみたいですが、恐らく旧製品のサポートは望めないと思います。
それではN-50Aはどこかの外人が言っていた「クールな外観のゴミ」になってしまうのでしょうか……?

しかし! そこに一人のヒーローがッ!!

外人が盛り上がっているフォーラムで見つけました。貴重な情報をありがとう!

その名はYCAST!
またの名をインターネットラジオの自家案内サイト!!

つまりはこういうことですね。
死んでしまったvTunerの代わりに自分で案内サイトを立ち上げてインターネットラジオ局につながれるようにするんです。

前置きが長くなりましたが、今回はYCASTを家のサーバーにインストールして再びインターネットラジオが聴けるようになるまでの顛末を語ります。
ただここから技術的な内容が濃くなるので、興味ない人は「へぇ~YCASTを使えば聴けるんだ」くらいの話で了解いただいて良いかと思います。

まずはここでYCASTのソースをGETします。
う~ん、全部英語だなぁ(アタリマエ…)
今となってはけっこう親切に書いてあることが分かるのですが、最初はなんのこっちゃ全然わかりませんでした。

ごく大雑把に言うと、YCASTのインストール&起動とDNSの変更をせよということです。
しかしウチのサーバーはすでにWebサービスが動いてるのでYCASTと共存するためにちょっと工夫をする必要があります。
個人的に悩んだところを軸に解説して行こうと思います。
悩まなかったところはあまり触れないと思うので、「そこを詳しく聞きたいんだよォ――ッ!!」という方いらっしゃったらごめんなさい。

①YCASTのインストールとサービス登録

ダウンロードしたTARボールをサーバー上の適当な場所に展開。
インストールは、python3 setup.py installとやるだけですな。
途中ビルドがSegmentation faultで落ちたので焦りましたが、もう一度やり直してみたら上手くいきました。

サービス登録は、examplesフォルダにあるycast.service.exampleを/etc/systemd/system/ycast.serviceにコピー。
UserとGroupの行を既存のユーザー名に書き換えて、下記コマンドを実行でOKです。

systemctl enable ycast.service
systemctl start ycast.service

②Webサービスの設定変更

ウチはWebサービスにApacheを使っています。
これがNginxを使ってたら、examplesフォルダにNginxの設定サンプルがあるので楽だったのですが……。
Apacheの設定が今回一番苦しんだところですね。
昔はWebサービスと言ったらApacheがデファクトスタンダードだったんですが、時代は変わったんですね。

Apacheのリバースプロキシ機能を使って、HTTPリクエストをYCASTに転送するのでproxyモジュールを読み込みます。
/etc/apache2/mods-enabledフォルダに下記コマンドでシンボリックリンクを張ります。

ln -s ../mods-available/proxy.load .
ln -s ../mods-available/proxy_http.load .

/etc/apache2/sites-available配下にある、既存のコンフィグに下記の設定を追記します。


<VirtualHost *:80>
    ServerName pioneer.vtuner.com
    ProxyRequests Off
    ProxyPass / http://127.0.0.1:8010/
    ProxyPassReverse / http://127.0.0.1:8010/
    ProxyPreserveHost On
</VirtualHost>


さらっと書いてますが最初は上手く動かず、試行錯誤がありました。
Nginxの設定にあるproxy_set_headerの行をApacheでどう書くのかが分からなかった…。
色々調べて”ProxyPreserveHost On”で良いことが分かりました。

で、サービス再起動。

③DNSの変更

これは2枚目のマンガにあるように「vTunerはこちら⇒」という看板をぐいっと下に向ける作業ですね。
ネットワークプレーヤーはpioneer.vtuner.comというアドレスを頼りにインターネット上を探そうとします。
それを「pioneer.vtuner.comは家のネットワークにあるよ」とダマすんです。
これを犯罪に悪用したのがDNSポイズニング攻撃と言われますが、家の中でやる分には問題ありません。

家庭用のDNSサーバーを立てるため、bind9をインストールします。
それから/etc/bind/named.conf.default-zonesに以下を追加。


zone "vtuner.com" {
    type master;
    file "/etc/bind/db.vtuner.com";
};
zone "0.168.192.in-addr.arpa" {
    type master;
    file "/etc/bind/db.0.168.192";
};


db.vtuner.comとdb.0.168.192の2つのファイルを/etc/bind配下に追加します。

<db.vtuner.com>


$TTL    604800
@    IN    SOA    vtuner.com. root.localhost. (
             5        ; Serial
             604800        ; Refresh
             86400        ; Retry
            2419200        ; Expire
             604800 )    ; Negative Cache TTL
;
@    IN    NS    localhost.
pioneer    IN    A    192.168.0.20


<db.0.168.192>


$TTL    604800
@    IN    SOA    vtunner.com. root.localhost. (
             4        ; Serial
             604800        ; Refresh
             86400        ; Retry
            2419200        ; Expire
             604800 )    ; Negative Cache TTL
;
@    IN    NS    localhost.
20    IN    PTR    pioneer.vtuner.com


ちなみに家のサーバーアドレスは192.168.0.20の設定です。

それにしてもなんですが、どうしてこう各種サービスの設定ファイルの文法は千差万別で脈絡が無いんでしょう……。
bind9の設定ファイルは数あるサービスの中でも輪をかけて複雑に感じます。

最後にN-50A本体のネットワーク設定を変更します。
DHCPをOFFにして、プライマリDNSのアドレスに家のサーバー(192.168.0.20)、セカンダリDNSのアドレスにブロードバンドルーターを設定します。
これで「vTunerはこちら⇒」の看板が家のサーバーに向きました。

祈りつつ再起動…。

ーーーキタッ!!
「サーバーがありません。」となっていたネットサービスのメニューにRadiobrowserとMy Stationsの二つが出現しました。

まずRadiobrowserの方を開いてみます。

Genres配下を見てみると、前はRockとかJazz、Hip Hopという感じのジャンルで並んでたのですが、特に整頓されていないカオスなタグが膨大にエントリーされています。
これでは使いづらくてしょうがありません。
Most Popularも前はジャンル毎だったと思うのですが、今はすべてのジャンルが一緒くたにされていて、訳の分からない順番で並んでるのですごく残念な感じです。
たぶんこのメニューを今後使うことは無いでしょう。

次にMy Stationsの方を見てみます。
こちらはYCASTの設定ファイルに自前で登録したインターネットラジオ局を表示します。

Jazzのジャンルにお気に入りの1.FM – Bay Smooth Jazzを入れています。
ポチッと選択すると――。

やったッ! 再生できた!!
なんか苦労した甲斐があってのことか、音が一音一音粒だって聞こえましたね😎

お気に入りに入れていた他のラジオ局も登録し直して、以前のライブラリを復元しました。
アートワークが表示されないなど、以前に比べてデグレードしていますが、音楽再生自体はこれまで通り聴けるようになったので満足しています。

最近のオーディオ事情(2024年)

久し振りのオーディオ記事ですわ。
テレワークしてるので、ヒマなときにチョコチョコとシステムをいじっております。
去年一年間で色々とやったことをまとめました。

①自作スピーカーの端子交換

この記事で作ってるところを紹介した、Fostexの自作スピーカーの端子を交換してみました。

もともとは安いスピーカーによくあるプッシュ式でしたが、アンプを取り換える際の取り回しが面倒なのでバナナプラグが挿さるやつに変更しようかと。
買ったのはアマゾンで売ってたこれ。

最初は1コ千円もし躊躇してたんですが、タイムセールで1コ¥600にまで下がったのでポチりました。
で交換~なんですが、その前にスピーカーのコーンキャップが子供にベコベコにされてたのでその修復から行います。

これをどう直すのかというと、掃除機で吸い出すんです。

こんな感じにキレイに戻りました。よく見ると左のコーンにちょっと皺がよっちゃってますね…。
余ってたベルデンのスピーカーケーブルの切れ端をハンダ付けします。

で、スピーカーボックスに取り付けるとこんな感じです。


バナナプラグを差し込んだところです。

音は特に変わりませんが、見た目がスッキリして気持ちが良いですな。


②ラインセレクター導入

ふだんはもっぱらネットワークプレーヤーから聴いてるのですが、たまにCDプレーヤーから聴きたくなることもあります。
またアンプも真空管プリとマランツのパワーアンプのセットと、モックの付録のデジタルアンプとがあり、気分で切り替えたくなることもあります。

そこで白羽の矢が立ったのが、TENEALAYオーディオという謎の中華メーカーのラインセレクターRC32
アマゾンで税込み¥3,199でした。


こいつは3系統の入力(CDプレーヤーとネットワークプレーヤーとパソコンとか)と2系統のアンプの組合せを切り替えることができます。
逆(?)に2系統の入力を3系統のアンプへの切り替えに使うこともできます。

難点と言えば、やはり音がちょっと悪くなります。
謎のメーカーだし、値段も(オーディオアクセサリーとしては)安価なので、しょうがないかなという感じですね。
気になって外した時期もありますが、今は利便性を取ってまた付けています。


③CDプレーヤーにスパイクインシュレーターを付ける

もう20年来使っている、KENWOODのDPF-7002
CDを読み込めなくなってもピックアップを交換して(この記事)使い続けているほど愛用しているのですが、実は中古で入手したものです。

CDプレーヤーの底部にはネジ穴があり、純正品にはそこに嵌めるピンスパイクが付属するのですが、買った時には欠品していました。
完全に飾りで、あっても無くても音は変わらないので気にしてなかったのですが、「長いことご苦労さま」というねぎらい(?)の意味で取り付けたくなってきました。

純正品のピンスパイクは今でもヤフオクとかで¥1,800くらいで出品されてます。
しかしそれを買うのはなんかシャクなので、ねじ径を調べて、入るハズのスピーカー用のスパイクインシュレーターを購入しました。
アマゾンで税込み¥1,998也。


受け皿まで付いてお得じゃないですか。
ところが……。
ネジ穴と合ってなかった―――。
8mm径が入る穴かと思っていたら、スカスカでした。
10mm径が正しかったようです。

しかし使わず無駄にするのも勿体ないので、ナットをセメダインでネジ穴の先に接着して装着しました。

お皿の上に乗せるとこんな感じです。
おぉ、ワディアみたいでかっこいいじゃん?


④えっ!! 六角ナットをインシュレーターに?!

できらぁ!
という感じで、六角ナットをインシュレーターに使うというプアオーディオ道にチャレンジしました。

買ったのはコレ。
M10(直径1cmのボルト用)六角ナット。8個入りで¥191でした。


こんな感じでスピーカー1本あたり4個で支えます。

自作スピーカーの方に穿かせてみました。
穿かせた結果はどうかというと…。
特に変化を感じませんねw
超小型スピーカーなので、そもそもそんなに振動してなかったのかも知れません。

スペンドールS3/5に穿かせてみたところ、振動がラックに伝わってしまって使い物になりませんでした。
高い投資ではないんで「そんなもんか」という感じです。
ラックにポン置きよりは締まって見えるのが一番の効能かも知れませんな。


⑤イヤーパッド交換

久し振りにMS-PROで聴いてみたら、耳に黒い粉が付いてびっくり!
イヤーパッドが加水分解してボロボロになってました。
ウレタンなのでほっとくとこうなっちゃうんですよね~。

MS-PROを買ったのはちょうど12年前で、3回交換しています。
なのでイヤーパッドの寿命は3,4年といったところですね。
割と頻繁なので四千円以上する純正品なんてとんでもない!
いつも安い互換品を買っています。

今回買ったのはこれ。またしてもアマゾン。税込み¥760のやーつーです。

やったッ、純正品の五分の一以下ッ!
でも原価で言ったらたぶん数十円くらいなんでしょうね。

取り換えたところ。
新品に戻ったようで気持ちがいいですね~。
でもこの頃はヘッドホンで聴くことは滅多になくなりましたね。

加齢によるものなのか…、距離感なく直接耳にぶち込まれるのがしんどく感じます。
昔は何時間も聴いていられたものなんですがね…。


⑥ジャンパーケーブル導入

この記事で色々遊びましたが、スペンドールS3/5には高音用と低音用の2対のスピーカー端子が付いてます。
それぞれ別のアンプでドライブするといった富豪の遊びが可能なのですが、富豪では無いので普通に一台のアンプで駆動してます。
その際は高音側と低音側の端子は真鍮(なのかな?)のジャンパーでショートしています。

んで、オーディオマニアの間でよく言われるのが「付属のジャンパープレートは音が悪い」
代わりにスピーカーケーブルでショートする絵をよく目にします。
しかしホンマかいなと思います。
厚い金属板であるジャンパープレートの方が電気をよく流しそうじゃないですか?
なのでこれまで気にせずやってきたのですが、お正月にアマゾンをぼうっと眺めていたら安価で見た目も格好良いジャンパーケーブルを見つけたのでついポチってしまいました。

それがこれ。
「UCINNOVATE」という聞いたこともない謎のメーカーの製品です。税込み¥2,052也。

これは一方の端子がYラグで、もう片方がバナナですね。
バナナの方をスピーカー端子に差し込もうとすると…、あれ?入らない。

ちょっと焦りましたが、けっこう強く押すと紙が丸まるように径が小さくなりすっぽり収まりました。
Yラグの方は普通にネジ止めします。けっこう厚みがあるのですが、ジャンパープレートと変わらないくらいなので問題なしでした。

効果は怪しいですが、よくオーディオマニアがやってるたすき掛けで結線します。
音はプラシーボ効果かも知れないんですが、少し良くなったような気がします。
(とは言え、目隠しして当ててみろと言われたら絶対無理ですがー)

少なくとも悪くなることは無いと思います。
オーディオの投資としては安いので、悪い買い物ではなかったかなぁと思います。


⑦デジアンのプッシュ式スピーカー端子にバナナプラグ変換端子を噛ませてみる

いま音楽を聴くときはもっぱらこの記事で紹介した、デジタルアンプLXA-OT4を使っています。
サラサラとした高音の質感が気持ち良いですね。
あと、何時間聴いても筐体がまったく暖かくならないのもエコでGood

しかし不満な点もあり、それはスピーカー端子がプッシュ式であるところ。
ネットでバナナ端子に換装している猛者もいるようですが、わたしがやると壊しそうなので別の方法を模索します。

で、やはりアマゾンで調べていると――、ある! プッシュ式→バナナへの変換プラグが。

それがこれ。¥1,680(税込み)でした。
ノーブランド品で、何の味も素っ気もないパッケージが武骨でいいですね。


仕組みはごく単純で、撚線の先端がバナナになっており、撚線をプッシュ式端子に噛ませるというものです。

音はまったく変化を感じませんね~。
ただ抜き差しの利便性が向上したというだけのことです。

最近のオーディオ事情 その参「CDプレーヤーのピックアップ交換」

最近のオーディオ事情の最後の記事です。

KENWOODのDPF-7002というCDプレーヤーを20年来使ってるのですが、最近CDを読み込まなくなって来てしまいました。
その予兆は3月にノラジョーンズのCDを買った記事を書いた頃からあり、実は1STアルバムの「Come Away with Me」が全然再生できなくて難儀していたのです……。
CDトレーを何度か開閉していると、たまに読み込むことがあり(10回に一回くらい)それでやり過ごしていたのです。
CDによってもムラがあり、2NDの「Feels Like Home」はなぜか普通に聴けるときの方が多く、スガシカオの「労働なんかしないで光合成だけで生きたい」も良好でした。
なので、たまたま「ハズレ」の盤を掴んでしまったのかなと、深く考えずにいました。(中古盤だったし)
またCDもすぐにリッピングしてパソコンに取り込んでしまうので、CDプレーヤーで聴く機会というのもまれでした。

ところが、このあいだ久し振りにCDを聴いてみようとしたら聴けない。
難あり盤だと思ってたノラジョーンズのだけでなく、スガシカオのも、とにかく何にも再生できなくなってしまっていました……。
長年使ってる(しかも元々中古で手に入れていた)し、聴けなくなっても無理はないというか、むしろ長年お疲れ様でしたという感じなのですが、さりとて愛着があり捨てるのは惜しいと思いました。
色々インターネットの記事を見てみて、恐らくピックアップ(CDを読み取るレンズの部分)の劣化が原因であろうという感触を得たので、ピックアップの交換に及んでみようと決意しました。

んで、Amazonから取り寄せたのがこれです。

SONYのKSS-213C
もともとCDプレーヤーに付いてたのはKSS-213Bというやつで、その後継種だと思います。
メーカーはKENWOODですが、ピックアップまで自前で作ってるわけではなかったんですね~。

CDプレーヤーの上蓋を外したところ。
このままだとトレー部は基盤の下にあって見えないですね。

基盤を外せるように、出ているバス配線を外します。
パソコンのマザーボードでよく見るバス配線と似てますが、パソコンが配線の先にコネクタが付いていて、基盤側がピンになっているケースが多いのに対して、コネクタが基盤側についていて、配線の先をそのまま差し込むようになっています。
外すときにはコネクタの両端のストッパーをマイナスドライバーなどで持ち上げてロックを解除して引き抜く形ですね。

基盤を取り外すと、トレーが入っている黒いボックス部分が見えてきました。

ボックスカバーを外すとやっとトレーとピックアップが出てきます。
しかしトレーが収納された状態だとピックアップの上に載ってるので交換作業ができません。
なのでトレーの隙間からちょっとだけ見えている歯車をドライバーの先でちょっとずつ回してトレーを動かします。(思えばここが一番難しかったかも……)

ピックアップは棒の部分がストッパーで固定されているだけですね。プラスドライバーでアタマを回すとストッパーは外せます。
あとピックアップの下の方から、紙みたいに頼りないバス配線が出ているのでスポッと抜いてやれば取り外せます。

新旧ピックアップ(←KSS-213C(新)|KSS-212B(旧)→)
グリスが汚いですが、意外とレンズはそんなに汚れてる感じじゃないですね。

交換する前に「ショートランド除去」を行います。
これは回路が静電気で破損するのを避けるため、ハンダで回路をショートさせているんですが、それを取り除く作業です。

熱した半田ごてに下にハンダ吸い取り線を重ねて溶かしてチュッっと。(赤丸部分)
後は元通り組立てて修理完了~。

さて、ドキドキの動作確認ですが……。
オー!! ちゃんとCDが再生できます。
難あり盤だと思ってたノラも、10年以上前に焼いたCD-Rも問題なく聴けました。

が、これでメデタシメデタシかと言うとそうはいかず……。
CDプレーヤーからの光デジタル出力をパイオニアN-50Aに入れてるのですが、そちらの出力を確認してみたところ「無信号」に。
どこで間違えたのかと、閉じた筐体を再び開け、配線を点検していきます。
案の定、コネクタに入れるバス配線が間違っていて、一つの穴に二つの線を入れてる箇所がありました……。
バス配線の端子は長いので、コネクタに挿す際にピッチがずれないように気を付けてたのですが、それでもミスしてたんですね。

再度動作確認を行うと、今度はOK!
元々のCDプレーヤーの機能を完全に回復しました。

もはやレガシーな機器と言えるCDプレーヤー。
たぶん今後買い替えることは無いので、なるべくリペアしながらまだまだ使っていきたいですね。

最近のオーディオ事情 その弐「無垢スプルース材ウッドケース」

以前この記事で、ムック本の付録でデジタルアンプを手に入れた話を書きました。
本の表紙にも載ってますが、50名に特製ケースのプレゼントの懸賞が付いてました。
こういう懸賞って当たった試しが無く、「どうせ当たらないだろうな~」と思いながら送ったのですが、ななななんと当たってしまいました!!
えー、すごいすごい!

実にいい感じです。
さりげさく上面にある「stereo」の刻印がチャーミングですな。
これONTOMOショップで見たら¥14,000もする品だそうでとてもそうは見えない結構なものを貰ったと感謝しております。

最近のオーディオ事情 その壱「バナナプラグ」

この頃は朝晩すっかり冷え込むようになり、冬の訪れを感じます。
今年もはや年末か……と、時の流れの速さに驚かされますね。

仕事で忙しい現場に配属されてしまい、最近はあまり趣味の時間を持てず気が滅入ります。
しかしオーディオ趣味は細々と続けているので、最近のトピックを載せておこうと思います。

まず一つ目は「バナナプラグ」について。
アンプとスピーカーを接続する際には、言うまでもなくスピーカーケーブルで繋ぐのですが、家庭用のアンプやスピーカーはスピーカーケーブルの端のビニール被膜を剥いて、裸の銅線を端子に挟むことが多いです。(下の写真のような感じ)

これで普通に音は出るので特段問題ないのですが、しいて言うなら脱着する時にいちいち端子(ねじ式で挟む場合が多い)を回すのが面倒だったり、裸の銅線を手で触れることで汚れたりする不都合があります。
バナナプラグはスピーカーケーブルの末端をプラグに処理するもので、脱着しやすくなり利便性が向上します。

前々から気になってたのですが、いったんアンプとスピーカーを接続するとそうそう繋ぎ変えないので手を出していませんでした。
しかしこのあいだバイアンプ接続の記事を書いたときに、何度も繋ぎ替えた際に「やっぱり不便だな~」と感じました。
んで巷にはどんな商品が出てるのか調べてみたところ、愛するAmazonベーシックのラインナップにバナナプラグを見つけ、リーズナブルなお値段だったので試してみることにしました。

それがこれ。

12ペア入りで¥1,092(税込み)也~
ちなみに家のオーディオのスピーカーケーブルも、RCAケーブルも光デジタルケーブルもみ~んなAmazonベーシックです。

軸の部分にビニール被膜を剥いた銅線を通し、傘のように広げます。

コネクター部分を被せて、ねじ込めば完成です。

これをスピーカーケーブルの両端に対して行います。
つまり方チャンネル辺り2ペア4本、ステレオだと4ペア8本ですね。
なので12ペア入りでいっぱい入っているようですが、アンプ・スピーカーを複数所有していたら、結構足りなくなることもあるんじゃないかと思います。

バナナケーブルとスピーカーの接続なんですが、実はこれまでバナナプラグが挿せることを知らなかったんですよね。

このようにスピーカー端子の頭をマイナスドライバーで回すと蓋が取れて挿し込み口になるという。
このスピーカーを使い始めて15年近く経ちますが初めて知りましたよ。

接続して音出ししてみます。
ちゃんと良い音で聴こえました。

音質がすごく改善された~とか言うことは無いんですが、接続がスッキリして精神衛生上よいですな。

バイアンプ接続を試してみる

デジタルアンプを手に入れた機会にある実験をやってみたいと思っていました。
それはスピーカーの「バイアンプ接続」

これは私の持ってるスペンドールのS3/5という小型スピーカーなのですが、ポピュラーな「2Wayスピーカー」というやつで、高音を鳴らす2cmのツイーターと低音を鳴らす14cmのウーファーが付いています。
大型のスピーカーだとさらに3Way、4Wayとスピーカー数が増えていく傾向がありますね。

普及帯のスピーカーだと、アンプから出た一対の信号線をプラスマイナスの端子に挟んで音を出すのですが、高級機だとツイーター用、ウーファー用それぞれの端子が用意されていたりします。
それって、スピーカーを鳴らすのに2台アンプが必要ってコト……?!(ちいかわ構文)

「でも一台しかアンプ無いようッ……」って言う人が多数かと思います。
「安心してください、履いてますよ」
って感じで普段はツイーター用とウーファー用の端子の間は銅板(ジャンパー)を渡してショートしてあるので、一台のアンプで問題なく音を出すことができます。

「じゃ何でわざわざツイーター用、ウーファー用に分けて用意しているのッッ?!」
当然の疑問です。
それはアンプを奢って二台で駆動したいというマニアが居るからなんですな……。
いや、二台なんて序の口ジョージで、左右のチャンネルを独立したアンプを使って四台で駆動するなどという狂気すら存在します。

さすがにS3/5のごとき小型スピーカーでそんなことをする人はいませんが、大型フロア型スピーカーなら普通に考えられます。
JBLの5Wayの大型スピーカーを、各ユニットごとかつ左右独立に10台のアンプで鳴らすというキチガイじみた事例も聞いたことがあります。
まさに贅沢の極み。システムの総額は家が買えるほどの値段になるでしょうね。

スピーカーを鳴らした時にピストン運動によって逆起電力が生じ、ジャンパーで端子をショートさせているとそれが他のユニットに伝わって音が濁る。
バイアンプにすることで高音、低音それぞれからの影響の伝播を排除することができる――。

――的な説明をネットで良く目にしますが、恐らく皆さんの眉毛は唾でしとどに濡れていることかと思います。

しかしやらずに否定するのはよろしくない。
もしかしたら意外に目覚ましい効果があり、新しい世界が開けるかも知れません。
前々から機会があったら試してみたいと思っていたのですが、このたび余分なアンプが手に入ったので念願叶って試してみました。

その実験のためにアマゾンで手に入れたのは、AmazonベーシックのRCAケーブル(¥890×2)

アンド、2分岐アダプター(2個で¥629)

これを使って、一対しかないCDプレーヤーのライン出力を2分岐させ、一方は真空管アンプ、もう一方はデジタルアンプに送ります。

今まで製品のおまけに付いてきたようなRCAケーブルしか使ってきませんでしたが、AmazonベーシックのRCAケーブルは太いし端子もシッカリしてて良いですね。
スピーカーケーブルもAmazonベーシックを使ってるし、私にはAmazonベーシックが必要にして十分ですな。

役割分担ですが、デジタルアンプの高音はキツさがあるように思えたので低音側を担当してもらい、真空管アンプは高音側に割り当てました。

デジアンの出力は一対のウーファー用端子(下)に繋がっています。この写真では見えてませんが、真空管アンプからの出力がツイーター用端子(上)に来ています

適当にアマゾンミュージックの曲をかけて、最初は高音側のボリュームを絞って聴いてみました。
この状態だとウーファーからしか音が出ていないはずですが、けっこう普通に聴こえます。

ちょっと調べてみたところ、このスピーカーのクロスオーバー周波数(ツイーターとウーファーの役割分担の切れ目)は4.5キロヘルツということでした。
シンバルとかオルガンとかは例外ですが、大抵の楽器の音域は最高でも4キロヘルツくらいです。
ウーファーの担当音域でカバーできていることになりますね。
この大きなウーファーでも意外と高い音まで出せていることに驚きを感じます。

しかし、古いラジオのようなナローな音です。
この状態から少しずつ高音側のボリュームを上げていくと次第に音が潤い、弾むような生気がみなぎってくるのを感じます。
ただ、最も好ましいバランスを超えて高音のボリュームを上げるとヒステリックで神経質な音になります。

次に低音側のボリュームを完全に絞ってみました。
そうすると、シンバルの音やサ行のボーカルだけがツイーターから小さく出ています。
小さな音とはいえ侮るなかれ、音楽全体の印象を大きく変える作用をするんですね。

音の土台を作るのはウーファーですが、ツイーターは音の質を決める大事な役割を果たしていることが分かりました。
よくオーディオマニアのシステムで、大きなスピーカーの上にチョンとツイーターが追加されて置いてあるのを見るのですが、なんとなくその理由が分かったような気がします。

そんな興味深い実験をしつつ、色々な曲をとっかえひっかえしばらく聴いてみたのですが……。
「バイアンプにしても音は変わらない!」という結論に達しました。
少なくとも私の耳では分かりませんでした。

そして高音と低音のバランスが大事であることを学びましたが、ツイーター端子とウーファー端子をジャンパーでショートさせた時が最良のバランスになるようにできてるんだなと感じました。
なので二台もアンプを繋いでアレコレ腐心するのは、はっきり言って不要かと思います。
まあ、全てのスピーカーについてそうであると強弁することはしないのですが、私のなかではそういう結論ですね。

雑誌の付録でデジタルアンプをGETした話

いやぁ~久し振りにやっちまったなァ……!
久し振りにオーディオに散財である。

「ステレオ」という老舗のオーディオ月刊誌があるのですが、近年では出版不況で紙の本が売れないためか、こういう特別付録の付いたモックをしばしば出しているようです。
オーディオなんていうかさばるものを、雑誌サイズに収めるのはなかなか苦労があるんじゃないかと思うのですが、今回の付録は「デジタルアンプ」です。

“LXA-OT4”という型番で、なんか名義貸し臭い気もしますが、ラックスマンという高級アンプメーカーが設計したものだそうな。
完成品ではなくキットなので、ドライバーとラジオペンチで組立てる必要があるのですが、簡単そうなのでちょっとした電子工作気分で楽しめそうです。

フォローしているオーディオ系のブロガーさんがいるのですが、その方が記事に取り上げているのを見て衝動的にGETしてしまいました。
そのブロガーさんは昔は金満系のシステムで派手に楽しんでいたのですが、今では簡素なシステムに落ち着いている方。
その枯れていく過程に興味があり、記事を読んでいます。

私のなかにもいずれは三桁万円のオーディオをガツン!と買うてやりたいナァ……、という埋火のような仄暗い情念があります。
とは言え、家のローンもまだたんまりある。
一体そんなものをどこに置くの? いつ聴くの??という現実により、実現は程遠いです。

ちょっと脇道に逸れますが、ステレオ誌は大学生の頃よく立ち読みしてました。(20年くらい前)
紙面で紹介されているような高級機はとうぜん貧乏学生の手に届くような代物ではなく、一体どんな音がするんだろうと想像を膨らませていました。

「渡辺篤史の建もの探訪」のオーディオ版みたいな、マニアのお宅を訪ねて自慢のシステムを見せてもらうコーナーがあって、毎回けっこう楽しみにしていました。
主役はオーディオ機器なんですが、そこにステータス全降りして部屋は六畳の和室なんです……、みたいな恥ずかしい姿を開陳するはずもなく、住環境からして隙なく整えていたように思います。
当時はあまり気にしてなかったのですが、並大抵の財力じゃないと成立しないでしょうね。
みんな経営者とか医者、弁護士みたいな高給取りだったのかな……?

しかし時には心に巣食うケモノに餌を投げてやらないといけないので、こういったモックは格好のアイテムになりますな。
さてお値段は¥27,500(税込み)
アレ……、結構お高い。

お高いんですがー、デジタルアンプにはかねてより関心を抱いていました。
マッキントッシュとかの超重い高級アンプと、弁当箱くらいの中華デジタルアンプを目隠しで比較して、遜色ない結果だったみたいな動画がYoutubeに良くあるのですが、見るにつけ「デジタル」カメラが従来のフィルムカメラを葬り去ったように、「デジタル」アンプは旧来の真空管とかトランジスタのアンプを葬り去るポテンシャルがあるのでは?と思います。

ただ実際のところ、遜色ない結果となったのは、聴覚というのが絶対評価を下すことができないイイカゲンな感覚だからだと思います。
もし目隠しでなければ視覚に引っ張られて高級アンプの方が絶対良い音だと感じたハズ……。
イイカゲンである以上、個人の好みの世界なので旧来のアンプも新しいデジアンも市場に混在したまま残っていくでしょうね。

デジタルアンプの大きな美点は消費電力の少なさ。
旧来のピュアオーディオのアンプはたかだか音を鳴らすためだけにアホ程電力を食い、暖房器具のように発熱してきました。
しかもハイエンド製品に関しては消費電力を減らそうなどという殊勝な考えは露ほども無く、熱ければ熱いほどエライと言わんばかりです。
そんな頭ジュラ期のエレクトロニクス製品はサスティナブルとか気取って言っちゃうこの時代にそぐいません!(机を叩く)

ちょっと電卓を弾いてみたところ、今のシステムをこのデジアンで置換すれば、291Wから114Wに約60%消費電力がダウンすることがわかりました。
フルパワーの大音量で聴いてる訳ではないので実際はここまでの消費電力は無いと思うのですが、アンプって結構電気を食いますね……。

キットはこんな感じでパックされてます。

全部出してみたところ。

基盤をアップで

<組立ての様子>

やはり特に難しいところは無く、説明書に従って30分くらいで完成しました。
――ドキドキのスイッチ・オン!

おお! ちゃんと音が出てる。
ボリュームは9時くらいで充分な音量が出ています。

ノラジョーンズとかスガシカオの曲を数曲聴いてみます。
う~ん、高音がキンつく感じがする。

ちなみに従来のシステム

が、こうなりました。

従来のシステムは、なんでこんなに取り回しているんだという感じですが、色々なソース(ラジコ/アマゾンミュージック(パソコン)、インターネットラジオ/サーバに置いた音楽ファイル(ネットワークプレーヤー)、CD)を聴きたいという願望を取り込んでいくとこんな形になっていました……。

何と言うか、今までのシステムの音が芋焼酎だとすると、キンミヤ焼酎のような味も素っ気もないような音ですな。
試しにプリアンプをデジアンの前に噛ませると音が太くなり従来の音にかなり近づきました。
それってさあ、音のキャラクターはプリアンプで作られるってコト……?!(ちいかわ構文)

しかしプリアンプは真空管アンプなので夏場はカンカンに熱くなるためどうしても外したい。
なので外してしばらく聴いているとー、次第に慣れてきて高音のキツさも気にならなくなり、むしろクリアな音で心地良いと思えてきました(単純)
長く聴いていても箱を触ってもぜんぜん熱くなりません。
また聴きたいときにスイッチを入れるだけで聴ける簡便さも良いですね。

そう言えばこれまでは音楽を聴く分には気にならなかったのですが、ラジオを聴いていると男性DJの声が太すぎて聞き苦しいと感じることがしばしばありました。
それが気にならなくなった。
たぶん、というか間違いなく、こっちの方が元々の音に忠実なのでしょうな。

ネットで同じような経験談を探してみるとー、真空管アンプで聴くとコンプレッサーをかけたように音が太く、密度が増して聞こえるという意見を見つけました。
いまに始まったことではないですが、ポピュラー音楽ってラジカセとか(もしかしたら最近はスマホも)で聴くことを想定して、収録している音の大小の差が小さくなるように仕上げているんですよね。
「海苔音源」と揶揄されるんですが、音圧が上がって一聴したところ迫力のあるいい音のように聴こえます。
真空管アンプ特有の音の歪みによって、そういった圧縮効果が意図せず生まれてたんじゃないかと思います。

まぁちょっとこれまで真空管信仰みたいなところがあったのでー、そこを相対的に見れるようになったのは良いことだったんじゃないかと思います。

最近のオーディオ遍歴

前回オーディオの記事を書いたのはまだ寒い3月のことであったか…。
いまもまた寒い師走に突入し、何というか時の流れは早いものですね。
その間に実は引越しをし(といっても同じ区内だけど)、テレワークもけっきょく恒常的に続いていますね。

相変わらずテレワの傍らオーディオを弄るということをしております。
この頃はアマゾンミュージックをよく聴いてますね。
「Hot In Japan」を垂れ流して聴いてます。
Official髭男dismは良い曲が多いですね。あとAdoも曲によって当たり外れがありますが、「ギラギラ」「夜のピエロ」「会いたくて」あたりは非常に好きです。

以下本題。

ヘッドホンはもう疲れた! 自作スピーカーで箱庭的オーディオ環境を作る

4月ですねぇ。
MS-Pro(ヘッドホンね)って、悪名高いGRADOの血を引いていて着け心地が悪いんですよ。
なので机上に置ける超小型スピーカーを自作で作ってみようと思い立ちました。
白羽の矢を立てたのは、自作スピーカー界では超有名なブランドFostexの8cmスピーカーユニットP800-Kと、その箱P800-Eです。
それぞれペアで、¥3,510と¥2,964でした。(税込み)

パソコンの自作同様なんちゃってDIYで、ハンダでスピーカーと箱を結線してねじ止めするだけで完成です。
確か30分くらいでできたと思います。

超小型スピーカーなので非力なCayin HA-1Aのスピーカー出力でもちゃんと鳴りました。
スピーカーケーブルもアマゾンで買ったこれ。

30mで¥1,646の激安。なのでトータルで8千円強くらいの投資でした。

机上に置いたところ。

さすがはFostex製で、最初から聴きやすい音が出ます。
フルレンジ一発なのでやはり低音は期待すべくもないですが、Youtubeのスピーカーテスト音源で確認したところ70Hzくらいから出てるようです。
高音は耳の方の限界で14kHz以上は確認できませんでしたが充分あるんじゃないでしょうか。
点音源に近づいたことでステレオ感があり、明確な定位でミニチュアサイズになった演奏家を眺めるような愛らしさがあります。

球転がし第二章 次は二段球を転(や)る

これは6月のことでした。
Cayin HA-1Aの初段球をムラードに替えて「アハハ」と楽しんでた訳ですが、二段球が元々付いてた中華球なのが実は精神衛生上良くなかった…。
で、しばらく市場(アマゾン)をウォッチしてたのですが4千円前後で推移していたのが2千円台に落ちたので脊髄反射でポチり!
税込み¥2,377でGETですじゃ。

早速取り付けたところ。
右の背の低い管です。(ステンレスのセパレータが鏡になって映ってますね)

音に関してはリッチになったという人もあればスッキリしたという人もあり、それぞれなのですがウチはドンシャリ傾向が強まりました。
なのでリッチになるという方に一票ですかね。
HA-1Aには背面に三極管接続とウルトラリニア接続という回路を切り替えるスイッチがあるのですが、ウルトラリニア接続の方が派手というかじゃじゃ馬的サウンドになります。
それが気に入っていて普段はウルトラリニアにしていたのですが、それだとうるさすぎるようになったのでもっぱら三極管接続で聴くようになりました。

部屋を暗くするとほんのり灯りが点って安らぎます

オカルト論争に終止符 果たしてインシュで音は変わるのか?
これは引越し後なので、先月ですね。
テレワークに使う部屋が広くなったのでせっかく作ったFostexのスピーカーは片づけて、スペンドールS3/5という元々使っていたブックシェルフ型スピーカーに戻しました。
これは確か2007年頃、ヨドバシカメラアウトレット京急川崎店で7万円くらいで買ったものです。
もう14年くらい使ってることになるのですね…。
幾たびの引越しを経て箱はキズだらけ、一部フローリングの補修材で繕っていますがスピーカーユニット自体は劣化した様子はなく買った当時と変わらない音だと思います。

小型スピーカーとは言えFostexのに比べるとやはり音の迫力に雲泥の差がありますな…。
スチールラックに直置きして聴いていたのですが、曲によっては棚にビリビリが伝わり聞き苦しいものがありました。
クッションを挟むと収まったので、しばらくそれでよしとしていたのですが、やはり見た目が悪く(オーディオは見た目が5割(?!))精神衛生上良くないので、インシュレーターに置いてみることにしました。

オーディオのアクセサリーには科学的根拠が乏しいわりにびっくりするような値段が付けられているものが珍しくなく、それがオカルトと揶揄される一因なのですが、インシュレーターにも多分にそんなところがあります。
そこでオカルト論争に終止符を打つべく、大枚(ヨドバシカメラ横浜で¥2,950)をはたいてインシュレーターを購入しました。

それがオーディオテクニカAT6099ッ!

う~ん、なんというダサイパッケージだろう。オーディオというもの、もっと幻想を大事にしなくてはいけません。
幸いパッケージから出すと結構カッコイイ。

なぜ6個?かとういうと、下の写真のように3角形の形に配置してその上にスピーカーを載せるからです。(決してケチってるからじゃないよね…?)

インシュレーターに載せる前と後で同一音源で聴き比べをしてみました。(アマプラで何曲か)
「何も変わらない…」
だったら面白かったのですが、意外と分かりやすく変化がありました。
低音が締まってベースラインが明瞭に聞き取れるようになります。
音の変化としては良い方向に向かってるのではないでしょうか?
インシュレーターに載せることで高級感が増して感じられるので、3千円弱の投資としては悪くなかったのでは思います。

真空管アンプの球交換

(テレワで鬱憤が溜まってるせいかかなりの放言となっているので、お見苦しいことをご容赦ください。)

ブログの更新が頻繁になるのはテレワークのお陰でしょうか(?)
久し振りにオーディオ系の記事です。

テレワークで仕事している間は、だいたい音楽を聴いてるのですが、大きな音を出すのは肩身が狭いのでイヤホンかヘッドホンで聴いています。
最初は普通にスマホに繋いで聴いていたのですが、次第に物足りなくなり、しばらく使ってなかったヘッドホンアンプ、Cayin HA-1Aを引っ張り出して聴き始めました。
さらにしばらくすると、ソースの音が不満に感じられ、これまたしばらく使ってなかったCDプレーヤー、KENWOOD DPF-7002を出すことに。
ここに、DPF-7002(CDプレーヤ) ⇒ HA-1A(ヘッドホンアンプ) ⇒ MS-Pro(ヘッドホン)という、8年前から使っているラインが久し振りに復活することとなりました。

よほど仕事がヒマなのか、さらに音をグレードアップしたい欲にとりつかれはじめ……。さりとて新しい機器を買うほどのお金の余裕も無いので、手軽に音を変える手段としてヘッドホンアンプに目を付けました。
HA-1Aは真空管アンプなので、真空管をより良いものに交換することでカジュアルに音質向上が図れるのではないかと。
むかーし、タモリ倶楽部で「球転がし」と称して秋葉原のオーディオ店でそんな遊びに興じているのを見た記憶がありますが、それを格段にスケールダウンしてやってみようかと思い立ちました。

ところで唐突にですが「アンプ」って一体何なんでしょうか?
オーディオに半歩足を踏み入れかけた中学生のころ、その存在に大いに疑問を覚えたものです。
無論、CDプレーヤーとかからの信号をスピーカーが鳴らせるレベルまで増幅する装置であることは承知してるのですが、音を鳴らすスピーカー、音の源であるプレーヤーに対してただ信号を増幅するだけってなんと芸のない……。
しかもカタログやオーディオ誌を見る限りだと、増幅する際にノイズやら歪みがやたらと発生するそうで、それを無くすのに涙ぐましい工夫が必要なんだとか。
それが「俺がステレオの中心だ」と言わんばかりに、デンと鎮座してるのを見ると思わず「デクノボー」とでも呼びたくなります。

しかしながらCDプレーヤーから出てる信号をそのままスピーカーに繋いでも、蚊の鳴く音にも及ばないくらいの音しか出ず、音楽を聴くどころではありません。
プレーヤーから直に出力された、ノイズも歪みも無い信号は、スピーカーを繋いだら消えてしまう儚い幻のようなものなのでしょうか?
はい。というかそんなものがあると考えることが幻想でありオカルトの素ですねー。
なので「アンプとは何か」の答えは「必要悪」とでもなりましょうか。

手持ちのHA-1Aしかちゃんと聴き込んだことがないので、真空管アンプの音の特徴というものを自信を持って言うことはできませんが、ギターをボトルネック奏法で弾いたときのようなキラキラした付帯音が付くように感じます。
これが歪みなのかも知れませんが、音がリッチになったように思われむしろ好ましく思われます。
とは言え真空管アンプの最大の魅力はそのビジュアルにあることは間違いありません。
墓石を思わせるトランジスタアンプに対して、ピカピカの真空管が赤熱して真空放電し音を増幅する様が外から見ることができるというのは、言わば築地の寿司職人に目の前で目の前で握ってもらい手掴みで食べている感じ!
一級のエンターテイメントでありロマンと言えるでしょう。
車で例えるなら、テスラに対してクラシックカーを嗜むような…。いや蒸気機関というレベルかも知れません。

この頃はどうなのか、オーディオ誌をとんと読まなくなったので分かりませんが、昔は真空管アンプと言えば「偶数次高周波歪」という謎の専門用語でもっともらしく音の良さの秘密を解説してる記事をよく目にしました。
あまりに突っ込みどころの多すぎる理論なので、たぶんもうそんなことを言う人はいなくなったと思いますが、トランジスタアンプも真空管アンプも言うほど音は変わりません。
むしろ同じくらいHi-Fiに作ろうとしたら真空管アンプの方がコストが掛かるでしょうね。真空管アンプはクラシックカーのごとき、実用度外視の濃厚な趣味の世界です。

あばたもえくぼじゃありませんが、ブーンとハム音がしてても、曲間の無音部分でザッとノイズが乗っても、それは「味」
「おっ!がんばってるな」くらいの大らかな気持ちで許せーー、ないんだなこれが。
置物じゃない!!

縛りプレイじゃないですが、真空管アンプという枠の中で可能な限りよい音で聴きたい。先ほど言ったことと矛盾するようですがこれもオーディオマニアの偽らざる本心でございます。
そもそもそんなに簡単に割り切れるなら世の中には業務用アンプさえあれば事足りてしまいます。
みんな多かれ少なかれストイックになり切れないものがあるので、様々な商品の形態が存在することになるのでありましょう。

特に真空管アンプは、装置の心臓とも言える真空管を交換できるというところにマニアのハートを揺さぶる蠱惑があります。
オーディオマニアとはスピーカーケーブルを替えたり、アンプヒューズを交換して「音が変わったッ!!」とキャッキャと喜んでしまう人種です。
まぁそんなことで何も変わるはずがなく、プラシーボ効果に過ぎないのですが、真空管の交換はそれに比べてなんという説得力。ケーブル交換程度で音の変化を感じるほどに感覚をチューンしていたら、真空管交換したら「頭壊れたァ!」と発狂してアルカイックスマイルを浮かべる可能性すらあります。
「もっとがんばってトランスも交換してみろよ」などという意地悪な声には耳を貸さず、お部屋のアロマを替えるくらいのカジュアルさで音の変化が楽しめるのが球転がしの魅力なのです。

もうちょっと真面目に言うと、ニンゲン不思議なもので、手の掛かる子ほど可愛いまであります。
逆に最初から良くできる完璧超人は「あいつ可愛い気ねぇんだよなー」と裏で罵られてたりして…。
とはいえずっとポンコツではやはり駄目で、少しずつ改善していく様を見せると「やればできる子ッ!」とか「伸びしろがある」とか賞賛の嵐となります。

人というのはどうしても将来を予測しながら生きる習性があるため、動きというものに重きを置く。
例え高い水準でも変化がないと閉塞感を覚えてしまい、逆に今が低い水準でも良い方向に動きがあれば簡単にバラ色の未来を想像してしまうからではないでしょうか。
言うまでもなく前者がトランジスタアンプ、後者が真空管アンプにあたります。

HA-1Aはそんな心憎いチューンを狙ったのか、何も考えてなかったのか分かりませんが元々付属してる球はかなり難ありの球。

ここまで読んでくださった方にはとっくにご存じか、まったく興味ないかの二択でしょうが、ヒマなので真空管アンプの仕組みについて講釈させて頂きたく思います。(そろそろ上司がキレる頃だ…)
真空管アンプのカタログを読んだりしてて、初段管とか出力管などという表現が現れ(プリ管、パワー管とも)、思わず「ふんふん…」と流しそうになりますが、これはCDプレーヤーなどから入ってきた信号を一本の真空管ではスピーカーを鳴らすほどの電力に増幅しきれないので、山のてっぺんまで複数のポンプで水を汲み上げるよろしく、複数の真空管で分担して昇圧することを示しています。
だいたい初段⇒二段⇒出力段という構成になることが多いようです。
これはトランジスタアンプでも同じようで、初段は真空管だけど出力段はトランジスタというハイブリッド構成のアンプも実際にあります。

素直な疑問として増幅のステージ毎に信号に歪みが乗るのではないかと思いますが、たぶん初段⇒出力段みたいにステージを減らすとそれだけ一本の真空管に負荷をかけることになりかえって歪むためやむを得ずこういうことになってるのだと思います。

真空管の型番を書いてもたぶん電車に興味がない人に「キハ」だの「モハ」だの言うようにチンプンカンプンでしょうが、一応HA-1Aの初段は12AX7、二段は12AU7、出力管はEL84(2本)という管が使われています。

下の写真だと右から、12AX7、12AXU7、EL84ですね。
いずれもミニチュア管という小さい種類で、一番大きいEL84でも7cmくらいですね。

で、銘が消えかかっていますが元々付属してた12AX7と12AU7は”Cayin”とプリントされてますが多分中国製。
EL84はエレクトロハーモニクス(エレハモ)のロシア産球です。

これもとっくにご存じか興味が無い系だと思いますが、真空管を未だに生産してるのは、中国、ロシア、スロバキアの3国。
昔はアメリカ、ヨーロッパ、日本でももちろん作られていて、何十年も前に作られた松下、東芝、NEC製の真空管が高価で取引されたりしています。
今でもオーディオ用とかギターアンプ用に需要があり細々と作り続けられているようですね。

現行品の品質としては、中国<ロシア<スロバキアと囁かれてますね。
HA-1Aを買ってしばらくした後、付属管がどうにも気に入らず秋葉原のアムトランスまで足を運んでJJエレクトロニクスのスロバキア管に総取り換えしたことを覚えています。(もう12、3年前のこと)

アムトランスの店舗は今はもう移転したみたいですが、当時は高架下のぐちゃっとパーツ店がひしめき合っている一角に収まっていました。
買い物したら店のおじさんにお土産としてどら焼きを貰いました。懐かしいな。

JJに替えてからは耳障りなハム音や時折ザラッと入るノイズが無くなり、高音のカサつきが大分低減されたように思われ、それからは安定して聴けるようになりました。
ただ先述の優等生はつまらないの法則の通り次第に飽き、そもそもオーディオ自体あまり聴かなくなり放置される運命を辿ったのでしたー。
で、冒頭に戻るのですが、テレワをするようになり久し振りに引っ張り出してきて、実はまだ伸びしろが残ってるのではないかと考えるようになった次第です。

いったん全部を付属球に戻して聴いてみます。
やはりノイズが乗り、荒削りな印象ですが、元気の良い音でこれはこれで悪くはないなと思います。なんかアホの子という音です。
この元気よさを生かしたままノイズが減ればより良い音になるのではと考えます。
で、恐らく中華管が悪さをしてるのだろうと推測し初段と二段の変更を思いついたのですが、お予算の関係で初段のみの交換とすることにしました。

白羽の矢が当たったはムラードの12AX7リイシュー(復刻管)

またしてもムラードなんて知ってるよ/興味なしでしょうが、言いたいッ! 言わせてッッ!!
ムラードはイギリスの真空管ブランドで当然とっくに生産を終了してますが、ビンテージ品が市場で高値で取引される人気球です。
偽物も出回ってる程だとか……。すごい世界だ。
その意匠を現代に復刻したものです。生産国はロシア。
アマゾンで買ったのですが、¥4,280(税込み)でした。う~ん、ラフロイグかボウモアが一本買えますな。

中華管はハブって、初段ムラード - 二段JJ - 出力段エレハモ という構成にしドキドキの電源ON!

……なんかやたらと固いな。
なんかアホの子が無理やり正座させられているような。
しかも曲間の無音区間でノイズが出る症状は直ってない。
これは見立てが間違ってて、ノイズの原因は出力管のエレハモだったか……?

エレハモを外して、初段ムラード - 二段JJ - 出力段JJ という構成にしてみます。
うん、これは綺麗な音だ! ノイズが消えました。
しかし、元々のオールJJと比べて何が違うのかと言われると答えに窮します。
やはり元気の良さと粗さは切っても切れない関係にあるのかー。

中華管をひとつまみのスパイスと加えるべく、初段ムラード - 二段中華 - 出力段JJ にしてみます。
おお、ノリが蘇った。綺麗さもあり良い音です。

これもしかして中華が悪いんじゃなくてエレハモが悪かった……?
試しに、初段・二段中華 - 出力段JJ にしてみると、オオー?! 低音がズムズムと良いノリを保ちながらも荒れてない!
一番好きな音です。
なんと、これが正解だったか。盲点。
これまでこの組み合わせは試してこなかったなー。
とすると、ムラードは不要……?

とは言え、折角買ったムラードであるし、しばらく聴いているうちに音が変化してくるかも知れませんので、伸びしろを期待してしばらくは、初段ムラード - 二段中華 - 出力段JJ で行こうかなと思います。

<蛇足>
10年以上前、まだ名古屋に赴任してたころ大須で買ったUSBサウンドアダプタ、AUDIOTRAK MAYA EX5 QEがこの頃地味に大活躍しています。

手持ちのヘッドセットの端子がマイクとイヤホンが二股に分かれてるやつなのですが、会社から配られたシンクライアント端末にはイヤホン・マイク兼用の4極ジャックかUSBしか端子がありません。
しかしこいつを間に挟むことでUSB⇔二股端子のブリッジが可能となります。

あと、この頃はもっぱらアマゾンミュージックを聴いてるのですが(スマホにUSBのCタイプとAタイプを変換するアダプタを繋げば)音声をデジタル出力でき、KENWOOD DPF-7002に繋いで高音質のデジタル-アナログ変換をすることが出来ます。

何度も引っ越しをしたけれど、こんな活躍の機会が回ってくるとはー。捨てなくて良かった。