深大寺

この前の日曜日に深大寺を訪れたので、その時の様子をレポートしようと思います。

一時半ごろ調布駅下車。
地下化工事後はじめて降りましたが、あまりの変化にびっくり。
まるでみなとみらい線のようになっていました。

北口ロータリーのパルコ前の14番で、神代植物公園経由、深大寺行を待ちます。
ちょうどバスが出てしまった後だったので15分ほど待ちました。
34番のバスが入ってきたので乗り込みます。
この日は連休中だったこともあるのでしょうが、車内はけっこう混みました。
しかし待ったかいあって窓際席に座れて良かった…。

車窓の景色は多摩…ッ
大学時代を通して八王子に長く住んでたのでこの風景は懐かしくてほっこりします。
途中、深大寺小学校の脇を通ります。
瓦葺の塀がすごい。
なんと開校140周年だそうで、今日は運動会をしていました。

15分ほど乗って、終点の深大寺山門前に到着します。
参道を入ってすぐのところには「鬼太郎茶屋」が。


興味をそそられましたが、まだ昼食を摂っておらず、腹が減っては戦はできぬという訳で寄りませんでした。
山門前の通りを左手に入って、坂を登り、神代植物公園の入口が見える地点まで上がっていきます。
ここにあるのがそば処「玉乃屋」

店内と店外の席があるのですが、今日は気持ちのよいお天気だったので外で頂きました。
頼んだのは「十割そば太打ち田舎」
お値段¥950

(「高いッッ…!」)

と内心叫びましたが、ここでケチるのも寂しいものがあるので、贅沢にいきます。
とは言えこれでも安いほうなんですよね、鴨せいろなんて¥1,850もする。

出てきました。
きしめんのような形の麺です。
十割そばを食べたのは、もしかしてこれが初めてじゃないかな。
歯応えがあって美味しかったです。
そば湯もイケました。

食後、また山門前に降り、土産物店などを見て回ります。
楽焼ができる深大寺窯を見学しましたが、今回はパス。

深大寺の境内を散策します。
これが本堂。

早子地蔵に捧げられた風車が哀れを誘います。

キレイに色付いた境内のシダレカツラ。

とまあ、色々みたのですが、境内も大して広いわけでもなく時間が余ってしまいました。
そこでやっぱり神代植物公園へ行こうということに。
しかし、植物園の入場料は¥500
う〜ん、これ高くはないか?
たかが植物を観るためにそんなに払う人いますか?
と不承不承だったのですが、ばら園を見てそんな不平もすっ飛びました。


折しも秋のバラフェスタの会期中(11/4まで)で、咲き乱れる色とりどりバラに目を奪われました。
そのほんの一部ですが、ここに一挙貼りまくります。
品種はメモしてないので分かりませんが、ご容赦を。

さて、ばら園に隣接して大温室があり、そこもひと通り見て回りました。
入るとむっとする暑さと湿度、そして濃厚な土の匂いがします。
「熱帯の花木室」

バナナに思わず興奮。

さらにカカオに大興奮。
本当に木の幹に直に生えてるんですね。

「熱帯の花木室」を抜けると、温室の右翼と左翼を結ぶブリッジのような場所があり、生花のコンテストを行っていました。
その先が「熱帯スイレン室」

そこを抜けると、「ベゴニア室」となり、たくさんのベゴニアの鉢が並べられていました。

これは美しい!

出口付近ではランの鉢植えが展示されていました。

温室からでると、はや夕刻。
十分堪能し、植物園を後にすることに。

正門側では菊花大会が行われていて、こちらも目を楽しませてくれました。


神代植物公園、想像以上に楽しませてもらいました。
でも今回は回り切れなかったところも沢山あるので、次の機会には隈なく見て回りたいですね。

ドイツのロルちゃん「百夜一夜」

須田一政のトークイベントが終わった後、余韻も冷めやらぬうちに、こんどは新宿に足を運びました。
それというのもこの日(個人的に)大物スターが来日し、新宿でサイン会を行うからです。
その名は「ドイツのロルちゃん」

(「誰だよ…」)

そんなつぶやきが聞こえたような気がしますが、わたしだって本名は知らないんです。
「ロルちゃん」と名乗る、日本通のyoutube投稿者、兼、ブロガーとでも言いましょうか…。
日本人向けにyoutubeブログ記事を投稿されているドイツの方です。
ちなみに男性です(しかも中年)

わたしは五年くらい前からロルちゃんの存在を知って、そのyoutubeの投稿やブログの記事を楽しんできました。
そのロルちゃんが秋の長期休暇を使って日本に来る(去年も来た)、しかもブログの記事をまとめた自費出版本を持ってきて売るというので、この機を逃してはならぬとばかりに会場に足を運びました。

場所はダ・ヴィンチ新宿ビル6Fの、レンタルオフィス・クロスコープ。
最初は新宿駅のサザンテラス口で露天売りしようとしていたらしいですが、この日は雨。
オフィスを借りて正解でした。

駅から10分程歩いて目的のビルに到着します。
エレベーターで6Fに上がると、ロルちゃんのポスターが。

ああ、この奥に本当にロルちゃんがいるんだなぁ、と感慨にふけります。
オフィスに入ると受付が。
(この受付の男性、どこかで見たことがある…。)
そう、youtubeのビデオにも出てきた「23ヶ国語を話す男」アレックスさんではないですか…!!!
しかしミーハーではないのでおくびにも出さず、自費出版本「百夜一夜」の代金を払い、引換券を受け取ります(¥1,500)
さらにロルちゃんがドイツの「海賊党」にインタビューしたDVDを¥500で販売するというので、こちらもお願いし、計二千円を支払いました。

引換券を持って別室へ。
会議室のような部屋で、一番前のテーブルでちょうど前のお客さんにサインをしていました。
で、後ろの席に座って待っていると、わたしの番が来て呼ばれます。
ついにロルちゃん氏と初対面です。

普段youtubeの画面を通じて見ているのを現実に間近に見ると、現実感が無いというか実に妙な感じでした。

そしてこれがロルちゃんの自費出版本、言わば同人誌の「百夜一夜」
101個のコラムを載せているので、「千夜一夜」をもじってこのタイトルにしたんだそうです。

ちゃんとサインも頂きました。

これが目次で

中身はこんな感じです。

普通の本と考えると高いが、同人誌と考えれば安いーーそんな感じです。

天気が良くなかったせいかあまり客足がなかったため(わたしが来たのは開場後40分くらいだったが、それまでに来たお客さんはマダ10人くらいだったとか)、結構お話させて頂きました。
オマケに写真まで一緒に撮ってもらいました。
いい思い出になりそうです。
ロルちゃんどうぞ日本旅行を楽しんで来て下さい。

須田一政『凪の片』トークイベント

東京都写真美術館で展示中の須田一政『凪の片』ですが、11月2日、そのトークイベント第二弾に行ってきました。(前回の記事はコチラ)

前回は昼過ぎに行って整理券10番台が余裕で取れたので、今回も同じくらいの時間で行ったところ、なんと50番台!
ヤバイ、油断してたら入れなかったかも。
この人気の違いは、ゲストの違いかもしれません。
今回のゲストは写真家の鈴木理策さん。
不勉強なもので存じなかったのですが、木村伊兵衛賞を獲った高名な写真家だそう。
坊主頭にヒゲで、ガッチリ系という何かを感じさせずにはいられないルックスです。
お二人の関係は同じ東京綜合写真専門学校出身ということ。
同校で鈴木さんが卒業後、助手として働いていたところ、須田先生の受け持っている授業を手伝うことになり親交が深まったそうです。

さてトークイベントが始まる前に、会場入口そばの本屋で物色していたところ、ななななんと、須田先生降臨!
ジャンパーのような黒ずくめの服に身を包んだ先生は、想像以上に小柄な方でした。
ご自身の作品の並べられたコーナーで写真集を手に取ってご覧になっていました。
そう言えば、「わが東京100」が復刻され、平積みになっていたのですが、そのお値段¥8,400!!!
「高すぎやしませんか?!」
と、とうぜん言えるはずもなく、遠巻きに眺めるしかなかったのでした。

整理券は後のほうだったので、会場に入った時には既にだいぶ席が埋まっていましたが、幸いにも前列の席が開いていました。
で、定刻になって須田先生、ゲストが入ってこられると、先生はほぼ目の前のテーブルに座られました。
ラッキー!
鈴木さんはスクリーンを挟んでちょっと離れたテーブルに座られました。
東京都写真美術館の学芸員の丹羽さん(女性)が司会で、先生と鈴木さんの対談が進んでいきました。

前回のトークイベントで、須田先生あまり話しておらず「寡黙な方なのかな」と思ってたのですが、今回はけっこう話され、しかもたくさん笑いをとっていました。
どうも前回はゲストの鈴木一誌さん(この人も「鈴木」だわ…)が喋りまくってたので聞き手に回ってしまったようです。
対談は1時間半で、色々な話題を、しかも長く話されたので、お話自体は大変興味深く面白かったのですが、メモしていなかったので大分忘れてしまいました。
覚えている印象深いエピソードを思いつくまま書き出してみます。

恐山

『凪の片』でも最初期のシリーズとして恐山の写真が展示されていますが、その当時は恐山を撮るのが流行ったそうです。
内藤正敏なんかも撮っていますね。
で、須田先生は東松照明の撮ったものが最もその場所の雰囲気が出ていて良いと考えているそうです。
でも東松照明の様に撮ろうと思っても、それは東松氏の空間感覚のなせる技なので、ダメだったとか。

須田先生と鈴木理策さんは一緒に恐山に行ったことがあるそうです。
(それが「Piles of time」という写真集にまとめられて鈴木さんは木村伊兵衛賞を獲った)
途中の道中で色々と写真論を交わしたそうですが、先生はすっかり忘れたとか。
鈴木さんは、須田先生の写真を撮る早さに舌を巻いたそうです。
逆に先生は、鈴木さんの手水舎の柄杓から滴っている水滴に何度もシャッターを切る姿に、作家独特の視点を見て感心したとか。

変わりたい?

須田先生は、かなり初期から「須田調」と言われる黒っぽい画面を完成していたのですが、お世話になった写真評論家の方に「黒焼きに頼りすぎてる」と言われ、画風を変えようと苦心した時期があったそうです。
先生はカメラへの執着はほとんどなく、個展が終わると機材を売却してしまうそうです。
そんな風にカメラを次々と代えて新たな方向性を模索したそうですが、結局何も変わらなかったと仰っていました。
先の東松照明の話とあわせて考えると、写真家というのは持って生まれた固有の空間感覚、色彩感覚、トーンの感覚を表現するものなのかなと思います。

写真と妄想

以前はそうでもなかったそうですが、この頃「妄想」に突き動かされて写真を撮ることが多いそうです。
「妄想」というのは、まあイマジネーションのことなのでしょうが、先生が「妄想」と仰っているので「妄想」とします。
よく写真を撮るルートの途中に廃屋があるそうです。
どこにでもありそうな廃屋なのですが、非常に妄想を掻き立てられるそうです。
廃屋の軒先にひょうたんがいくつかぶら下がっていて、そのひょうたんに水が溜まっていて、そのせいで不規則に揺れるのだとか。
夜にその場所を訪れると、近くの自販機の灯りがフットライト気味にそのひょうたんにに当って、この世のものとは思えない不気味さを醸し出しているのだそうです。
そんな風に、一見つまらない風景からいろいろと観想して撮ることが多いとか。

ショートスリーパー

先生はまともに布団で寝ることは無いそうです。
いつもカウチなんかで3時間くらいしか寝ないとか。
夜中にフト目覚めて、車に乗って写真を撮りに出掛ける事も多いそうです。

ホーム

生まれも育ちも下町、神田の須田先生。
写真学校の授業や、以前やっていた「須田塾」なんかでは神田から出発してその周辺でスナップ写真を撮ることが多かったとか。
地域の旨い料理屋や居酒屋などにも精通しているそうで、時間が終わりに近づくと一杯やりたくてウズウズしてくるそうです。
「旨いものを食べたり、旨い酒を飲むのを第一にしてきた」と仰っていました。
その態度、見習いたいです。
しかし新宿、渋谷なんかはアウェー。
どうにも落ち着かず「早くお家に帰りたい」と思うそうです。

写真を見られる興奮

今回の写真展のタイトルでもあり、最新シリーズでもある「凪の片」は学芸員の丹羽さんがセレクトしたそうです。
しかも、須田先生の目の前で選ぶことになり、たいへん緊張したとか。
で、先生の方は作品を選ばれることに高揚感を覚えたそうです。
そう言えば前回の対談でも、他人の目を通して自分の作品がどう見られるのかということに興味を覚えると仰っていました。

「変態」と言われて興奮

鈴木理策さんからのタレコミ。
街中で撮影していると上記のような心ない言葉を浴びせられることがあるそうな。
許可も取らず、盗み撮りのような真似をしている方が悪いという意見もありますが、そこはひとまず置いておいて。
で、そう言われたその晩、先生は興奮して眠れなかったそうです。
何故…?

マネキンを撮って興奮

前回もちょっと話してらっしゃいましたが、先生のマイブームはマネキンを撮ることだそう。
早朝四時に、千葉から銀座まで出てきて、ショーウィンドウのマネキンを撮るそうです。
朝、掃除などをしている人たちの間では「また変なオヤジが来た!」と囁かれているとか…。
近頃では慣れたもので、15分くらいで撮影ルートを回れるようになったと仰っていました。
何故マネキンなのかというと、先生はもともと人体の一部分にフェチズムを覚えるタチだったそうです。
それで、最近のマネキンは筋肉の付け方など、かなりリアルになってきていて、生身の人間以上にすら感じられるそうです。
更にマネキンの足首には固定するために留め金がついているそうですが、それが「美しき囚われ人」というSM的な妄想を掻き立てられるそうです。
そう言えば先生の近著に「RUBBER」というSM的な作品があり、ちょっと自分には意外に思われたのですが、SM嗜好は先生の中では以前から持っていたもののようですね。

一連の対談を聴いて、「ああ先生まだまだ元気だなァ」と変に(?)安心しました。
ひょうたんとマネキンの写真、是非とも見てみたいです。
さらなるご活躍を期待しています。

最後にこの日の恵比寿ガーデンプレイスの風景を。
もうクリスマスツリーとは気が早い。

梅酒完成&梅ジャム作り

以前の投稿(「梅酒作り」「梅酒作りの経過」)でお伝えしていた梅酒が、4ヶ月の熟成期間を経てついに完成しました!
完成した梅酒と、引き揚げた梅を使ったジャム作りをお目にかけたいと思います。

こんないい色になりました。
梅もすべて沈んで、シワシワになっています。
とてもいい匂いです。

梅の実をすべて引き揚げます。

実はジャムにするため、種から剥がしやすいようにいっぺん水から煮ます。

15分ほど茹でたあと、ザルに揚げて冷まします。
手で握り潰して実と種を分け、実の方はさらに鍋にかけて煮詰めます。

オタマの底で実がペースト状になるまで潰しました。
それからレモン汁と砂糖を加えて、とろみがつくまで煮ます。
とろみがついたら冷まして完成です。

2瓶分出来ました。
これで一ヶ月くらいは持つでしょうか。
味は、たぶん市販の品に比べたら落ちると思いますが、手作りの思い入れもあり、結構美味しく頂いています。

それから梅酒の方も、一部をミニチュアボトルに入れてみました。

う〜ん、美しい!
味もジンベースのおかげか、あれだけ砂糖を入れたにもかかわらずストレートでも美味しく飲めます。
ちなみに壜の中に浮いているのは梅の種の「仁」です。

秋の写真

ここ数日間はスッキリしない天気が続いていますが、10月に入ってから「ヤッホー!」と快哉を叫びたいほどの快晴に恵まれ、写真の趣味が捗りました。
その一部をお目にかけたいと思います。

まずはこれ。
近所の善徳寺の金木犀。

次も金木犀です。
なんともモコモコと生えていて可愛らしかった。
金木犀はこの時期に、短い間しか咲かないので、見かけたらパシャパシャ撮りました。

次は世田谷の住宅街をぶらぶらして撮ったシリーズ。
この日は目に染みるほどの青空でした。
民家の間から鉄塔がニョッキリと顔を出して、対比が面白い絵。

台風にやられたのか、崩れかけている家。
家並みの中に忽然と現れたので、ギョットさせられました。
空の青さがなんとも無常を感じさせると思います。

しかしそんな中でもほっこりタイム。
小春日和に誘われたのかヒョウモンチョウが植え込みに舞っていました。

世田谷シリーズの締めは墓場。
手前に黄色い棒(コレなんて言うんだろう)を置いたことでちょっと面白くなったような気がします。
壁にかかった陰が怪しい感じで、結構気に入っています。

再び舞台は地元へ。
これは台風26号が通過したすぐ後に撮った空の写真。
雲の表情が非常に美しく、えも言われぬ感動を味わいました。
この日は何枚も撮りましたが、ベストテイクと思われるこれを載せます。

同じ日の晩に撮った空。
この日は満月で、雲間から時折顔をのぞかせる銀色の月が美しすぎました。
夜なので画質的には苦しいですが、雰囲気を感じていただければと思います。

須田一政写真展『凪の片』

さる十月五日、恵比寿にある東京都写真美術館に須田一政の写真展『凪の片(なぎのひら)』を観に出かけました。
タイトルの『凪の片』とはパンフレットによれば、

「凪(なぎ)」という風が止まる時間特有の感触に似た、日常と非日常を往還するような作家の視線が、一片(ひとひら)の写真となって降り積もっているかのような展覧会です。

なのだそうです。

今回の展示は、代表作「風姿花伝」シリーズを含む80年代くらいまでの作品群に加えて、最新未発表作品シリーズ「凪の片」を展示しちゃおうという、コンピレーションアルバムのような構成。
これさえ観ておけば須田一政のことはだいたい分かっちゃうという、便利な展覧会です。
しかし、わたしのような須田フリークにもおやと思わせる作品も展示されており侮れません。

構成

『赤い花』(展示数40点)

1968年から1975年の初期作品群。
2000年に同名の写真集にまとめられて出版された。
写真展としては初お披露目となるそうだ。
しかも写真集に収録されていない作品も見られ、興味深かった。

『恐山へ』(展示数25点)

1963年発表。
これは全く初めて観るシリーズだった。
最初期の作品ということもあり、非常に興味が掻きたてられた。
しかし、プリントが小さかったのがちょっと残念。
そしてかなり内藤正敏っぽかった。

『風姿花伝』(展示数25点)

代表的なシリーズ。
1978年に同名の写真集にまとめられて出版された。
何度も展示されていて、写真集でも見慣れていることもあり、特に感動はなし。
BLDギャラリーで50インチの特大プリントを見たあとでは尚更か。

『物草拾遺』(展示数50点)

1982年発表。
一部は『人間の記憶』に載っているが、これも初めて観たシリーズ。
被写体を単体で切り取った作品が多い。
パンフでは「即物的」と表現されている。

『東京景』(展示数60点)

今回一番展示点数が多かったシリーズ。
70年台に撮りためた膨大な東京の写真をまとめたもの。
全て初見で、これも面白かった。
しかしどういう訳か展示のされ方が他に比べて若干ぞんざいだった。
首都としての東京ではなく、生まれ育った場所としての東京が写し出されている。

『凪の片』(展示数20点)

未発表の最新作。
現在の住所のある千葉の風景をメインに収めている。
他の作品群とは急に30年も離れてしまうわけだが、特に違和感なく見れた。
しかし、人物をメインに撮ったものは一点だけ(しかも細君)
あれほど人物を撮っていたことを考えると、嗜好に変化が生じたのかなと思う。

その他

『人間の記憶』にたくさん載っていた、ミノックスで撮った写真のプリントがケースにて展示。
それからかなりの年代物と思われるカラープリントもケースで展示されていた。

展示自体でもかなり見応えがあったのですが、それだけのために600円を払うわたしではありません。
今日は、作家とゲストによる対談が予定されていたのです。
ゲストはブックデザイナーの鈴木一誌氏。
『人間の記憶』を手がけられた方と聞き、興奮します。

そこで正午ごろに受付に行き、整理券を受け取りました。
番号10番。
ヨッシャ!と思うのと同時に、70人のキャパが埋まるのか心配になりました。
しかしそれは杞憂、15時からの開場15分前になり1Fの会場前に行くと、ズラズラと並んでいます。
10番なのですぐに案内されましたが、どこに座ろうか悩みました。
対談席の真ん前が空いていましたが、それは憚って、中央の後方よりに座りました。
定刻になると会場はぎゅうぎゅうのスシ詰め状態となり、先生の人気ぶりが実感出来ました。
やはり年配の方が多かったですが、若い人もチラホラ見ました。
女性よりは男性が多かったです。
現在ドキュメンタリーを撮っているそうで、ビデオカメラも入っていました。
そのドキュメンタリー、出来たらぜひ観てみたい。わたし写ってるかな?

須田先生と、鈴木さんが入ってきます。
なんか数年前に見かけたより元気に見えました。
御年70を超えていらっしゃるはずですが、頭も黒黒としています。

対談は鈴木氏がインタビュアーとなる形で、『人間の記憶』編集当時のことや、雑誌連載を振り返りながら進められました。
対談中、鈴木氏が色々と須田一政の作家性について定義しようとしているのに対し、先生の方はそれを否定はしないものの、「ただ撮っているだけ〜」というクールな立場のように見え、そこが面白かったです。
アレヤコレヤ考えながら撮るのではなく、ガーっと撮って意味はあとから考える(あるいは評論家に任せる)というのが実際のところのようです。
今でも一週間に100カートリッジくらい撮られるそうで、意欲に衰えは見られません。

内藤正敏先生と飲んだというこぼれ話が出て、はっとします。
須田先生と内藤先生。どちらも好きなのですが、ふたりともモチーフや表現に共通点が感じられ、影響しあっているのではと睨んでいたのです。
内藤先生は機関銃のように話されるタイプだそうで、饒舌な写真集のあとがきから受ける印象とピッタリで、思わず笑ってしまいました。
須田先生は寡黙なタイプなので、そこは対照的ですね。

スライドを使って、最新作『凪の片』の解説がありました。
須田先生はユーモアのある方で、一作一作解説するたびに聴衆から笑い声が漏れていました。
最近ハマっているのは、「踏切」と「マネキン」らしく、「千葉のマネキンは東京のとは一味違う」というコメントに爆笑。

最後に質疑応答。
何度も聞き返しておられる場面があり、お耳が遠いなという印象。
質問も要領を得ないものが多かったです。
その中で、「人物を撮影する際に許可を得ているのか」という質問におおきな関心を覚えました。
答えは「取ってない」
やっぱり!
というのも、写真集を見ていると立小便しているところを後ろから撮ったものが結構あり、絶対許可取ってるわけないよなァと以前から思ってたのです。
クレームを言われた場合は耳が遠い振りをしてやり過ごすのだとか…。
往年の疑問が氷解したので、さらに立小便姿を撮る意図を質問しようかとも思いましたが、あまりにも悪目立ちしそうなので止めました。

2時間のプログラムでしたが、あっという間に過ぎていきました。
良かったです。

1Fのミュージアムショップ。
ここには大量の写真集が販売されているので、東京都写真美術館を訪れた際に立ち寄るのが大きな楽しみとなっています。
早速Getしました、『凪の片』のカタログ

お値段¥2,800+税
これは良心的な価格だと思います。
しかもサイン入りを手に入れられてホクホクです。

さて、たぶん展示会に合わせて須田先生の写真集が取り揃えられており、目を楽しませてくれました。
『角の煙草屋までの旅』は喉から手が出かかったのですが、今回は見送り。
¥5,040
(出せなくはないが…。いや無理だ)

目を惹いたのは、アキオナガサワパブリッシングから出ている『Early Works 1970-1975』
風姿花伝以前の作品を集めたもので、レア度の高いもの。
しかも5種類のイメージカバー、サイン&ナンバー入、ハードカバー、スリップケース入と至れり尽くせりの豪華本です。
お値段、¥21,000
高ーーーいッ! 高すぎます。
アキオナガサワパブリッシングからは他にも、『1975 三浦三崎』という『風姿花伝』に収録された、あの有名な蛇の写真とそのバリエーションを収めた大型本が置いてあったのですが、こちらもお値段、¥18,900
高いッ!!!
『Early Works 1970-1975』の方はまだ、250Pもあり、高いといえど納得出来ないこともないです。
しかし『1975 三浦三崎』はたったの6P
1P当たり¥3,150ですか?!

ファンとしてはどんな形でも世の中に出ることを歓迎しないわけにはいきませんが、これでは一部のコレクターのみにしか手が届きません。
ライトな層とはますますかけ離れていって、一部のマニアの趣味になっていってしまうような気がします。
かと言って、普通の値段で売って何万部も売れるかといえばそうではない。
まさにブートレッグCDと似たような構図。
なので批判することは出来ませんが、もっと庶民に手の届きやすい値段で売って欲しいというのが偽らざる本心です。

その他に気になった本は、牛腸茂雄の『こども』と『見慣れた街の中で』の新装版。
鈴木清の『流れの歌』の新装版。
それから洋書で、Bernd & Hilla Becherの“Stonework and Lime Kilns”という本が気になりました。
訳せば「石造物と石灰窯」となりましょうか。コンクリ工場やコンビナートの写真を集めた作品です。
作者は、あとから調べたところ、ドイツ人の夫妻のようでした。
しかしこれも一万円以上したので手が出ず。

カタログから、展覧会で印象に残った作品を引用させてもらいたいと思います。

まずは、今回初めて観た、最初期のシリーズである「恐山へ」

シリーズの中では、この着物の女の子たちが何故かジュースを捨てている作品が特に気に入っています。

イタコを撮った写真も黒黒として凄い。
この時の話として、当時夫人を亡くされたばかりだった写真評論家の田中雅夫氏が同行し、イタコに夫人の霊を降ろしてもらったそうです。
しかし、イタコの口から語られた夫人の言葉は何故か津軽弁で、まったく聞き取れなかったそうです。
笑っていいのか悩むエピソード。

次は、「物草拾遺」から。

左下のお嬢さん。
まさかこの日の奇天烈な格好が永く写真史に残るハメになるとは思ってなかったろうなぁ。

右の写真。
一見、樹の枝が邪魔なようですが、無ければ相当単純な写真になっていたはずです。
須田先生のバランス感覚の真髄を見たような気がする作品。

「東京景」から。
右の写真の少女たちの爽やかな表情が素晴らしい。
左に老婆を持ってきたのは狙ってのことでしょうか…。

最新作「凪の片」から。

画面の下に小さく少女の姿が写っていますが、撮った時には気が付かなかったそうです。
え〜、スゴイ。ホントですか?
空と海の大きさを表すうえで劇的な効果をもたらしています。

そして今ハマっているという踏切。
まるでこの世とあの世の境のような、異様な雰囲気を作り出すことに成功していると言えないでしょうか。

最近のフィルム写真(7、8月)

夏の間に撮ったフィルム写真を現像したので、UPしていきたいと思います。
7〜8月の間に撮った、36枚入りフィルム2カートリッジ分(=72枚)の写真からピックアップします。
2カートリッジずつ現像することが多いですが、これは現像タンクに最大2つ入り、薬液の節約になるからです。
そのせいでいつも現像の間隔が数ヶ月ごとになってしまいますが。

まずは暑い盛りに出かけた御徒町。
ここはいつも活気に溢れて賑わっています。

最近とみに国際色が豊かになってきたようで、シシカバブーを売る中東系のお兄さんや、ブラザー系お兄さんがとっても怖いです。
ここに来るとよく、「みなとや食品」という露天店で海鮮丼を食べるのですが、食中毒など意に介さずこの日も食べました、小柱とサーモン丼。
衛生という言葉を嘲笑うかのような店内なので、だれにでもは勧められませんが、安さと旨さに裏切られたことはありません。
ここはたこ焼き屋も併設しています。
下の一枚は、丼が届くのを待ちながらその行列を撮ったもの。

ダミ後が飛び交うアメ横の店先を眺めるのも楽しみの一つです。
ひと際目を惹いたロブスター。
そういえば昔「レッドロブスター」っていうCMがやっていたのを思い出しました。

次は水元公園。
ワンシーズンに一回は出かけています。
今回も超暑い中、涼を求めて足を運びました。

ざわわ~ざわわ~、サトウキビ畑ではありませんが、この日は風があって助かった。
そんな一枚。

そして蓮の葉が繁茂していました。
花はだいたい散っていましたが、それでもところどころ咲いていました。

印象的な木立。

小合溜を回って、対岸のみさと公園に行きます。
普段は子どもたちで賑わうアスレチックも、今日は流石に暑すぎたのか閑散としていました。

水元公園の北側には大場川が、小合溜と狭い「洲」を隔てて流れています。
(↓の写真では、左が小合溜、右が大場川)
洲は東は国道298号線のあたりから始まっていて、1kmほどもあり、西の水のふれあいルームまで続きます。

足元が危ういので途中で引き返してしまいましたが、貫走してみたかった。
小合溜には蓮の葉がびっしりと生い茂っていて見ものでした。

埼玉県八潮市を通って、公園の西側に周りました。
県境をわたると急に田舎になったように感じられたのが興味深かったです。

水のふれあいルームのあたりから撮った小合溜。

そろそろ夕刻に近づいていたので、この後、水本グリーンプラザにちょっと寄って帰りました。
水本グリーンプラザではこの時期、水元公園の写真展示が行われてました。
空調が聞いていて助かりました。まさに天国。

帰り道に、中川から水元方面を望んで撮った一枚。
それにしてもこの日はよく歩いたなあ。

マヤ・アステカ本紹介

久しぶりに感動的な書物との出会いを果たしたので紹介させて頂きます。
柴崎みゆき『古代マヤ・アステカ不可思議大全』&『マヤ・アステカ遺跡へっぴり紀行―メキシコ・グアテマラ・ホンジュラス・ベリーズの旅』の二冊。

↓裏表紙

わたしは定期的にマヤとかアステカとかの中央アメリカの神話や歴史にハマるのですが、今回コレにより猛烈に燃料を投下されています。
ケチな自分には珍しく、新品でGetしました。
(ちなみに前回のピークは、07年に国立科学博物館でやった「インカ・マヤ・アステカ展」でした)

『古代マヤ・アステカ不可思議大全』は、マヤ・アステカの歴史と神話を解説したものです。
『マヤ・アステカ遺跡へっぴり紀行』の方はその姉妹本という位置づけで、柴崎先生が07年に行った遺跡巡りの旅をまとめたものです。

この本の何がスゴイかと言うと、全てが手書き!
イラストのみならず、文章も全て手書きなのです。
その労力たるや……。

そして漫画もいっぱいなので、とにかく分かりやすい。
実は今までマヤやアステカの本を読んできても、イマイチよく分からなかった…。
地理が曖昧なうえ、人物名(とか神の名前)が読みずら過ぎて頭に入らなかったのです。
先の展示会でも、「スゲー!(けど何だっけコレ…?)」という感じでした。
しかし今回初めて系統立てて理解できた気がします。

Amazonでもクリック!なか見検索でサワリが見れますが、雰囲気が分かるようにちょっとだけ引用させて頂きたいと思います。

これは『古代マヤ・アステカ不可思議大全』の漫画のパートの一部。
マヤの神話「ポポル・ヴフ」を解説しています。
マヤ神話にここまで親近感を感じて接することが出来たのは史上初めてではないでしょうか。
(しかしそれでもストーリーが余りに理不尽過ぎて、マヤ人と現代日本人との隔絶を感じずにはいられないのですが−−)

これは、イラストと文章からなるパート。
全体的にはこっちが基調で、要所要所に漫画が挿入されるという感じです。
先にも述べましたが、これみな手書き。
300ページほどもあるこの本、スゴイです。

『マヤ・アステカ遺跡へっぴり紀行』の方も同様の構成ですが、↓のように各遺跡のガイドが載っています。
これには実地を踏んだ生のアドバイスが満載(転びやすいとか)で、旅行前の予習としても有益なんじゃないかと思いますね。

それから旅先での生々しい人間模様がたまらない。
傲慢な白人ツアー客が出てくる場面では、柴崎先生の鬱憤に首を痛くなるほど縦に振りたい気分でした。

あと、ヤクザに憧れる変なお兄ちゃんが出てきたり、物売り攻撃はあるものの、想像していたよりメキシコの治安が良さそうだったのが意外でした。
柴崎先生も遺書を書いて出発したそうですが、わたしの印象も「北斗の拳」並だったので。
いっぱいある親切エピソードに、メキシコに対するイメージがだいぶ変わりました。
おかげでメキシコへの憧憬がふつふつと湧いてきましたよ。

柴崎先生ほかに、エジプトとギリシア神話本を出しているらしいので、見つけたら即入手したいです。

余った餃子の皮でピザを作る

こないだ餃子を作ったのですが、タネが思ったより少なかったようで、皮が大量に余ってしまいました(30枚くらい)
ふだん余った時には中華スープに刻んで入れたりしてたのですが、これはちょっと多すぎなのでどうにかならないかとネットで調べてみると、あるわあるわ。
同じ悩みを抱えた主婦の皆さんが、様々なレシピをネットにアップしていました。
中でも目を惹いたのが、ピザにするというもの。
お手軽そうで、皮も大量に消費できそうなので早速トライしてみました。

まずは材料。

ケチャップ(これは家にあった)
サラミ(『肉のハナマサ』で¥390)
オリーブの実(同じく、¥198)
シェレッダーチーズ(¥490だけど、30%OFFで¥343)
玉ねぎ(6個入りで、¥298)
ピーマン(5個入りで、¥128)
計 ¥1,357

(こう勘定してみると、あんまり安上がりでもないような…。)

フライパンにオリーブオイルを塗って、その上に餃子の皮を12,3枚並べます。
それから上の具材を載せたのが↓の写真。

これに水を少量入れて蓋をし、しばらく蒸し焼きにして全体に火を通します。
頃合いを見て蓋を取り、水気が無くなるまで焼いたら完成です。

食べてみると、生地が極薄なのでパリパリとクリスピーな食感です。
簡単ですが、美味しいピザのレシピを紹介しました。

梅酒作りの経過

二ヶ月前に梅酒作りの記事を投稿しましたが、その途中経過を報告します。

↓が二ヶ月前の状態。

これが、こんな感じになりました。

梅が真ん中に帯状に浮いていて、それを境に色が変わっています。
氷砂糖は一ヶ月ほどで全て溶け切りました。

上澄みをすくって飲んでみました。
まだ青いというか、尖った味がしますが、美味しいです。
氷砂糖の量が多すぎたかと思ってましたが、ちょうどいい塩梅でした。

混ぜてふたをするとこんな感じに。

梅が沈みきったら飲み頃かと思います。