映画ビューティフルマインドを観て

2001年公開なので、かなり古い映画ですが、Huluでやってたのでなんとなく観てしまいました。

ラッセル・クロウ演じる変人の数学者が国家の陰謀に巻き込まれて~、みたいな内容なのですが途中から何か変だな…という感じになる。
ネタバレになりますが、実は統合失調症を患っていて、陰謀云々は妄想だったことが明らかになります。
これは実話で、ノーベル賞を獲ったジョン・ナッシュの半生が下敷きとなっています。

つまり、天才と○○は紙一重…。

雑誌からソ連のスパイの暗号を探し出そうと、部屋中を理解不能なメモでいっぱいにするシーンは、観客に思わず「アカン…、終わっとる…」と唾を飲ますものでしょう。
しかしその情熱や恐ろしいもので、これほどの熱量がまともな研究に向けられていたら人類の進歩にどれだけ貢献したことだろうと思われます。

ちょっと興味が沸いてウィキペディアで調べてみると、統合失調症の原因は未だによく分かっておらず、百家争鳴、仮説の域を出ない様々な説が唱えられている状態のようです。
そこで気になったのは遺伝説。
誤解があったら申し訳ないですが、以下のような内容(だと思います)
健常者の脳の容積は思春期以降に減少する。でもこれは脳を成熟させるために必要なこと。
その証拠に知能の高い人の脳は大きく減っていることが多いらしい。
で、統合失調症の患者の脳も委縮しているケースが多い。
つまり、脳の容積を減らす遺伝子が誤って動作して病気の原因になる。

この説が面白い、というか個人的に腑に落ちた点は、知能が高いほど実は脳が小さいという点。
知能が高い、というのは合理的な思考ができるということですよね。
それができるのはズバリ! 合理的な思考をする以外の脳が無くなっているから――(えーッ??!)

確かに10代の頃は多感な時期と言って、色んなことに興味があったり、詰まらないことでクヨクヨ悩んでみたりと、脳の合理的な部分も、非合理な部分も同時に活動していた感がありました。
大人になるにつれて非合理的な部分は無くなっていき、人生の様々な問題にあまり悩まずに回答が見つけられるようになる。
と同時に、新しいことへの興味が無くなり、音楽も聴かなくなり、パターン化された生活にも抵抗がなくなって行く――、と書くとサビシイですね。

多くの大人が辿るように脳の非合理的な部分が縮小していけば、良いんでしょうが、それがあべこべになると非合理的な思考が強化されて、統合失調症のような症状を生み出すのかなぁと勝手に想像しています。

前に、統合失調症を患った人の手記「ボクには世界がこう見えていた(小林和彦著)」を読んでとても共感を感じたことがありました。
何だか、自分にも統失の気があるんじゃないかとも思ったのですが、そう考えた人は意外と多いんじゃないかな?

ビューティフルマインドの中のジョン・ナッシュが恋人(後の奥さん)とデートしているシーンで、星空から「傘」の星座を見つけ出す(作り出す?)というとてもロマンチックな場面があるのですが、象徴的、というか後の展開を知っているとむしろ薄寒くなるシーンです。
それは無意味な星の分布から「傘」という意味ある形を取り出している訳で、のちの妄想のはしりのようにも受け取れます。

そこでふと思い出したのは、むかし父親の本棚のカメラ誌に載っていた川面の写真を見て、その水の反射が文字のように見えたこと。
もちろんそれは不規則な光の線の集まりでしかなかったのですが、その文字が読めてしまったら、わたしはアッチの世界に旅立ってしまってたかも知れませんねー。

そんなことを思いめぐらしながら、ふとトイレの天井を眺めていたら虫食いのような吸音ボードの穴が目に入りました。
そこには次の戦争が起こる日、震災が起きる場所、恐慌を引き起こす証券のコードが埋め込まれている可能性があります。
ですが、しばらく見つめていましたが、やはり虫食い穴にしか見えませんでした。

その虫食い穴のような模様は、ググったところ「トラバーチン模様」と言うそうでした。