RE:草津温泉

 京浜東北で赤羽を目指します。そこから高崎線に乗り換え、熊谷を経由して終点の高崎まで揺られます。記憶通りならば高崎線に乗るのはこれが初めてだった筈です。車内はGWの行楽客で混んでいて、私たちは吊革にぶら下がりながら窓の向こうを通り過ぎる埼玉の街を眺めていました。
 たっぷり二時間かけて高崎に到着です。ここはもう“GUNMA” 興奮を隠せません。決してディスるつもりは無いのですが、けっこう立派な駅でした。しかし時刻表は強烈なローカル臭を主張してきます。次の上越線、渋川行きの到着までには三〇分以の間がありました。時刻はおよそ正午。そこで待ち時間の間に東京駅で買った駅弁を胃に収めることにしました。
 しかし鱒寿司というのは、好物ではあるのですが、およそ駅弁には相応しくない。笹を剥くのが面倒、押し固められた飯は容易にはがれず非常に食べづらいのです。プラスチック製の小さなナイフでピザのように切り分けるのですが、これはテーブルが無ければ困難な作業です。悩んだ末ベンチをテーブル替わりにしました。
 上越線の車窓の景色はさほど群馬群馬しておらず、「相鉄線沿線みたいだな」などと軽口を叩いたものでした。それから渋川で吾妻線に乗り換え、長野原草津口を目指します。
 吾妻線に乗り換えると、車窓からは高層建築物は拭い取られ、代わりに広がるものは、田、畑、山となります。座席もローカル線に相応しく対面式の四人掛となり実にのんびりとして良い感じです。それにしても驚きました。東京ではもう一ヶ月も前に見どころを過ぎた桜が今咲いているのです。これには興奮しました。品種はソメイヨシノとは違うのか、目に沁みるようなやけに鮮やかなピンクでした。