傾斜はさらに険しくなります。階段はあるもののうっかりすれば果てしなく滑落してしまいそうです。それだけに眺めは素晴らしく、森とそれを貫いて走る館山自動車道、その背後の海岸線とを一望することが出来ます。
拷問とも思えるほどの階段を登り切り、ようやく山頂そばの展望台に出ました。登り始めてからおよそ一時間が経過していました。ここはちょっとした休憩場となっていて、ハイキングの一団が円形に並べられたベンチに腰掛けて昼食を摂っていました。素晴らしい眺望で、ロープウェイ駅を舳先として左右に広がる東京湾が見渡せました。あいにく若干霞がかかっていたのですが、左手にあるのが金谷港、右手に見えるのが保田の街並みです。
展望台から尾根伝いに山頂を目指します。とちゅうテレビ中継所のそばを通って一〇分ほどで山頂に到着しました。さて山頂なのですが、これが驚くほど何の感動もない。観測点が設えてあるのでそれと判るのですが、周囲に木々が茂り過ぎていて見晴らしが悪いのです。せっかくだからとここまで来ましたが、展望台で引き返すというのもアリだったかも知れません。尾根をさらに進んで林道口を経由し保田に出るルートがありますが、日本寺を見ておきたかったので引き返しました。