RE:千葉旅行記 金谷鋸山‐青堀温泉

 まもなくアナウンスがあり、「しらはま号」はゆっくりと動き始めました。その時まるで海岸線のほうがベルトコンベア上を滑るように退いて行くような奇妙な印象を受けました。電車が並走する時に、一体どっちがどっちにに進んでいるのか分からなくなる時がありますが、フェリーは巨体ゆえにその相手が地面のようです。しかし次第に速度を増し、海面に水しぶきの轍を作って進みはじめると船は落ちつきなく小刻みに揺れ始め、デッキには強い風が吹付けてきました。
 風に閉口して船室に入ると軽食や土産屋などが設けられていて、かなり充実した設備でした。
 再びデッキに出ると海原に小石を巻いたように漁船の群れが見えました。およそ海路の中間地点で浦賀水道のど真ん中です。晴天ででしたが空気が烟っていたため、港からはおぼろげにしか見えなかった千葉側の土地も、この辺りから輪郭が現れてきました。
 四〇分弱の短い航海を終え、フェリーは金谷港に着岸しました。センターはレストランと土産屋が入っていて、海産物、乾物、地の野菜、地酒などが売られていました。外に出ると、船着場と魚市場があり活気を感じました。