最近の湯

 最近訪ねた温泉をいくつかレポートします。
 とその前に、たびたび引き合いに出す「スパミシュラン」を昼休みに眺めながらトリップしていたのですが、以前住んでいた矢向にけっこう色々温泉があることを発見しました。
 「矢向湯」、「富士の湯」、「縄文天然温泉 志楽の湯」
 いずれもよく通る道沿いにあり、チャンスはいくらでもあったというのに、あの頃の自分はどうしてなにも考えずに素通りしてしまっていたのでしょう。
 そしてお隣り尻手の駅そばには「桐の湯」があり、これも腐るほどよく目にしていました。
 「富士の湯」以外はこの辺りには珍しく黒湯ではないそうで、それを知るにつけ「バカ、バカ、とうへんぼく!」と自分を責めたい気分になります。
 
 さて気を取り直してレポートへ。
 嵐の前のというか、大震災がくることなど露にも思っていなかった先週の水曜日。就業後に京急新馬場で途中下車しました。
 目的地は駅から徒歩三分ほどのところにある「天神湯」です。
 すでに夜10時を回っていたのですが、案ずるなかれここは深夜1時まで営業しているので余裕があります。
 着いてみると、そこはマンション。その一、二階部分が銭湯となっています。
 おそらくその立地のせいでしょう、銭湯と言うにはあまりにモダンな作りで、番台もホテルのカウンターのようでした。
 従業員もおばちゃんではなく、バイトと思しき若い女性でした。
 
 浴室はあまり広くなく、普通の浴槽に、ジェットと熱湯がありましたがいずれも白湯です。
 黒湯の温泉はドアで仕切られた場所にあり、そこは露天ではないのですが、天井が吹き抜けとなっていて隣と繋がっており、女性の話し声がよく聞こえました。
 この黒湯がとんでもなく黒い! まるで重油のような湯でした。しかも肌がツルツルとします。この湯は数ある黒湯の中でも「上」に位置づけられるのではないかと思いました。
 お陰で仕事の疲れがかなり解消されました。
 
 次は地震後に訪れた湯です。
 金曜日、わたしは会社から帰れずオフィスで一夜を過ごしました。
 翌日もやっと動き出した電車は殺人的なラッシュで、さんざんに人並みに揉まれて、這うようにして家に辿り着いたのでした。
 心身の疲労を癒すために求めたのが言うまでもなく温泉でした。
 翌日曜、川崎まで出て、多摩川沿いを羽田までジョギングしたあと、第一京浜沿いを歩いて向かったのが、京急雑色駅から10分ほどのところにある「照の湯」です。
 ここは何と言ってもサウナがタダ! ほかの銭湯は追加料金を取るところが大半なのに、なんと良心的な……。
 そして日替わりの薬湯。この日は翌日のホワイトデーにあやかって「チョコレート湯」でした。さいしょは黒湯かと思いましたよ…。
 しかしこれがキワモノかと思いきやかなり良かったです。
 お目当ての温泉は露天風呂でした。お湯はかなり黒いですがまぁよくある黒湯。しかし露天は周囲を竹の柵で覆っているものの、なかなか開放感があります。季節がら梅の花なども窓越しに眺められて、非常に風情あるひと時を過ごせました。
 紋々背負った方が目に付きましたが、そこを目をつむれば雰囲気のよい湯でした。