う〜ん、またすこし更新に間があいてしまいました。
ここ何週間かは、土曜に休出していて、時間に余裕が無いのです。
12月に製品の出荷が予定されていて、いまは忙しさのピークです。
その忙しさの合間に読んだ写真集を紹介します。
「牛腸茂雄作品集成」
牛腸(ごちょう)茂雄は83年に36歳の若さで早逝した写真家です。幼い頃に胸椎カリエスを患ったせいで、子供くらいの背丈しかなかったそうです。
この作家の存在は、まえに紹介した「日本写真集史」で知ったのですが、その写真を見たときには驚きを覚えました。
というのも、代表作「SELF AND OTHERS」に収められた写真のほぼすべてが、「日の丸」と言われる人物を画面中央に置く構図をとっていたからです。
「日の丸」は素人が陥りやすい陳腐な構図とふつうはみなされていて、避けるものなのですが、あえてそれをしている。
それでつまらない写真なのかというと、決してそんなことはないのです。むしろ率直な態度が胸を打ちます。陳腐の代表とされている「日の丸」を武器にしてしまっているのです。
巻末にはセルフポートレートが。しかしその写真のなかで彼は微妙に画面の中央からは逸れているように見えます。
牛腸は死後しばらく忘れられたそうですが、90年代に再評価がはじまり、2000年に「SELF AND OTHERS」を題材にした映画が作られ、04年に回顧展とこの「牛腸茂雄作品集成」の出版によって決算がおこなわれたようです。
「牛腸茂雄作品集成」には「SELF AND OTHERS」の他にも、生前に刊行された「日々」、「見慣れた街の中で」の二作品、それから遺作を集めた「幼年の『時間』」、ロールシャッハ、マーブリング作品を集めた「扉をあけると」などが収められ、生涯の活動を網羅的にまとめたものになっています。
とはいえ表紙からして「SELF AND OTHERS」を意識したものになっていて、子供の写真家というイメージが押し出されていますが、わたしはささやかに異議申立てたい。大人の女性もよく撮れています。とくに「見慣れた街の中で」
これ、図書館で借りたのですが、借りたは良いものの、あまりに時間がなかったものでいちど延長し、それでも読む時間がなかったので結局は通勤の電車内で目を通したのです。もっと紅茶でも飲みながらゆっくり観たかった……。