写真集

 最近購入した写真集を紹介します。「偽景 1998‐2006(菊池一郎)」と「多摩景(田中昭史)」です。
 
 いずれも店頭で見つけてパラパラ眺め、一旦は「フーン」、しばらく放っておいたのですが、後日ムラムラと欲しくなり手に入れたというパターンです。
 まずは「偽景」のほうから。これはなんともいいタイトルです。
 このタイトルと表紙から中身がなんとなく想像つき、かつその通りだというのがこの本の良いところです。
 有り体に言えば、作家が九年間に渡って日本各地で撮りためた「変な風景」をまとめたものです。
 とはいえ「VOW」であるとかトマソンのような「日本珍奇景」に堕していないところが素晴らしい。絵に緊張感があるのです。
 単純に変な風景を写しているだけのカットもままありますが、多くの写真で主題となっているのは自然と人工物との鋭い対立です。
 本作ではそれをよくある人間疎外と絡める立場ではなく、むしろ楽しみ、肯定的に取り扱っているのが分かります。
 それを端的に言い表したのがタイトルの「偽景」なのではないかと思います。