雑誌の付録でデジタルアンプをGETした話

いやぁ~久し振りにやっちまったなァ……!
久し振りにオーディオに散財である。

「ステレオ」という老舗のオーディオ月刊誌があるのですが、近年では出版不況で紙の本が売れないためか、こういう特別付録の付いたモックをしばしば出しているようです。
オーディオなんていうかさばるものを、雑誌サイズに収めるのはなかなか苦労があるんじゃないかと思うのですが、今回の付録は「デジタルアンプ」です。

“LXA-OT4”という型番で、なんか名義貸し臭い気もしますが、ラックスマンという高級アンプメーカーが設計したものだそうな。
完成品ではなくキットなので、ドライバーとラジオペンチで組立てる必要があるのですが、簡単そうなのでちょっとした電子工作気分で楽しめそうです。

フォローしているオーディオ系のブロガーさんがいるのですが、その方が記事に取り上げているのを見て衝動的にGETしてしまいました。
そのブロガーさんは昔は金満系のシステムで派手に楽しんでいたのですが、今では簡素なシステムに落ち着いている方。
その枯れていく過程に興味があり、記事を読んでいます。

私のなかにもいずれは三桁万円のオーディオをガツン!と買うてやりたいナァ……、という埋火のような仄暗い情念があります。
とは言え、家のローンもまだたんまりある。
一体そんなものをどこに置くの? いつ聴くの??という現実により、実現は程遠いです。

ちょっと脇道に逸れますが、ステレオ誌は大学生の頃よく立ち読みしてました。(20年くらい前)
紙面で紹介されているような高級機はとうぜん貧乏学生の手に届くような代物ではなく、一体どんな音がするんだろうと想像を膨らませていました。

「渡辺篤史の建もの探訪」のオーディオ版みたいな、マニアのお宅を訪ねて自慢のシステムを見せてもらうコーナーがあって、毎回けっこう楽しみにしていました。
主役はオーディオ機器なんですが、そこにステータス全降りして部屋は六畳の和室なんです……、みたいな恥ずかしい姿を開陳するはずもなく、住環境からして隙なく整えていたように思います。
当時はあまり気にしてなかったのですが、並大抵の財力じゃないと成立しないでしょうね。
みんな経営者とか医者、弁護士みたいな高給取りだったのかな……?

しかし時には心に巣食うケモノに餌を投げてやらないといけないので、こういったモックは格好のアイテムになりますな。
さてお値段は¥27,500(税込み)
アレ……、結構お高い。

お高いんですがー、デジタルアンプにはかねてより関心を抱いていました。
マッキントッシュとかの超重い高級アンプと、弁当箱くらいの中華デジタルアンプを目隠しで比較して、遜色ない結果だったみたいな動画がYoutubeに良くあるのですが、見るにつけ「デジタル」カメラが従来のフィルムカメラを葬り去ったように、「デジタル」アンプは旧来の真空管とかトランジスタのアンプを葬り去るポテンシャルがあるのでは?と思います。

ただ実際のところ、遜色ない結果となったのは、聴覚というのが絶対評価を下すことができないイイカゲンな感覚だからだと思います。
もし目隠しでなければ視覚に引っ張られて高級アンプの方が絶対良い音だと感じたハズ……。
イイカゲンである以上、個人の好みの世界なので旧来のアンプも新しいデジアンも市場に混在したまま残っていくでしょうね。

デジタルアンプの大きな美点は消費電力の少なさ。
旧来のピュアオーディオのアンプはたかだか音を鳴らすためだけにアホ程電力を食い、暖房器具のように発熱してきました。
しかもハイエンド製品に関しては消費電力を減らそうなどという殊勝な考えは露ほども無く、熱ければ熱いほどエライと言わんばかりです。
そんな頭ジュラ期のエレクトロニクス製品はサスティナブルとか気取って言っちゃうこの時代にそぐいません!(机を叩く)

ちょっと電卓を弾いてみたところ、今のシステムをこのデジアンで置換すれば、291Wから114Wに約60%消費電力がダウンすることがわかりました。
フルパワーの大音量で聴いてる訳ではないので実際はここまでの消費電力は無いと思うのですが、アンプって結構電気を食いますね……。

キットはこんな感じでパックされてます。

全部出してみたところ。

基盤をアップで

<組立ての様子>

やはり特に難しいところは無く、説明書に従って30分くらいで完成しました。
――ドキドキのスイッチ・オン!

おお! ちゃんと音が出てる。
ボリュームは9時くらいで充分な音量が出ています。

ノラジョーンズとかスガシカオの曲を数曲聴いてみます。
う~ん、高音がキンつく感じがする。

ちなみに従来のシステム

が、こうなりました。

従来のシステムは、なんでこんなに取り回しているんだという感じですが、色々なソース(ラジコ/アマゾンミュージック(パソコン)、インターネットラジオ/サーバに置いた音楽ファイル(ネットワークプレーヤー)、CD)を聴きたいという願望を取り込んでいくとこんな形になっていました……。

何と言うか、今までのシステムの音が芋焼酎だとすると、キンミヤ焼酎のような味も素っ気もないような音ですな。
試しにプリアンプをデジアンの前に噛ませると音が太くなり従来の音にかなり近づきました。
それってさあ、音のキャラクターはプリアンプで作られるってコト……?!(ちいかわ構文)

しかしプリアンプは真空管アンプなので夏場はカンカンに熱くなるためどうしても外したい。
なので外してしばらく聴いているとー、次第に慣れてきて高音のキツさも気にならなくなり、むしろクリアな音で心地良いと思えてきました(単純)
長く聴いていても箱を触ってもぜんぜん熱くなりません。
また聴きたいときにスイッチを入れるだけで聴ける簡便さも良いですね。

そう言えばこれまでは音楽を聴く分には気にならなかったのですが、ラジオを聴いていると男性DJの声が太すぎて聞き苦しいと感じることがしばしばありました。
それが気にならなくなった。
たぶん、というか間違いなく、こっちの方が元々の音に忠実なのでしょうな。

ネットで同じような経験談を探してみるとー、真空管アンプで聴くとコンプレッサーをかけたように音が太く、密度が増して聞こえるという意見を見つけました。
いまに始まったことではないですが、ポピュラー音楽ってラジカセとか(もしかしたら最近はスマホも)で聴くことを想定して、収録している音の大小の差が小さくなるように仕上げているんですよね。
「海苔音源」と揶揄されるんですが、音圧が上がって一聴したところ迫力のあるいい音のように聴こえます。
真空管アンプ特有の音の歪みによって、そういった圧縮効果が意図せず生まれてたんじゃないかと思います。

まぁちょっとこれまで真空管信仰みたいなところがあったのでー、そこを相対的に見れるようになったのは良いことだったんじゃないかと思います。