限界ニュータウン -荒廃する超郊外の分譲地-

YouTubeに「資産価値ZERO -限界ニュータウン探訪記-」というチャンネルがあるのですが、非常に面白いです。
おもに千葉県北東部に存在する「限界ニュータウン」を散策し、放棄されて荒れ果てるがままとなった分譲地を訪ね歩くものですが、地味な風景の裏に渦巻く欲望や不動産業界の闇が見え隠れして実に引き込まれる内容です。

この度、その動画の作者(吉川祐介氏)が、YouTubeで紹介している内容を本にして出版されました。
それがこの本「限界ニュータウン -荒廃する超郊外の分譲地-」です。
Amazonで予約し、首を長くして待っていたのですが10月に入って届きました。
土日でかじりついて即完読!
限界ニュータウンが抱える様々な問題が整理されて載っているので、分かりやすくスーッと内容が入ってきます。
それだけに「ヤバイでしょ?」「もう詰みじゃない?」という感想しか出てきません……。

お勧めしたい本なのですが、書いてる内容はYouTubeと同じなのでまずは動画を見た方がとっつきやすいかも知れません。
動画の方が分譲地が放置されて、ボウボウに荒れてたり不法投棄の餌食になっている様子がより鮮明に伝わります。

本にも上のような感じで写真が載っていますが、やはり白黒なのでインパクトがいま一つですね。

一章「限界ニュータウンとはなにか」、二章「限界ニュータウンで暮らす」はYouTube動画の内容をほぼなぞったものなので、それほど目新しさは感じませんでした。
しかし三章「限界ニュータウンを活用する」は目新しい内容で「おっ!」と思わされます。
もはや進退窮まったかと思われる限界ニュータウンにまだ活用法があるという……。
何名かの事例(親子二代での活用、リタイア後の定住地として、YouTuber)が紹介され、それぞれ容易ではない感じはしましたが、応援したくなりました。
他にもコラムで、限界分譲地を扱う不動産屋さんの話や、限界ニュータウンで育った人の話があり、これらは動画には出てない話だったので大変興味深く読みました。

YouTubeの教養系チャンネルはゆっくり茶番劇的なものばかりだと思っていましたが、資産価値ZEROはしっかりと取材しかつエンタメとしても面白い稀有なチャンネルだと思います。
お仕事関係の愁訴がブログやこの本の中でもチラリと見えたりしますが、これからも素晴らしい動画を作り続けて頂きたいと願っています。

アントニオ猪木逝去

10月に入ったところで急な訃報に驚きましたね。
入院して激やせした映像が出た時には「いよいよか」と思いましたが、それから持ち直したように見えたんですけどね。

中高生のころ、下あごを突き出して「元気ですか?」「何だコノヤロウ!」などモノマネして遊んでいたものですが、現役の頃の試合を見た事は無かったです。
東京ドームでやった引退試合が地上波放送されたので、それを見た事があるくらいですね。

私が熱心にプロレスを見始めた、2000年頃ではプロレス界のみならず格闘技界全体のドンという感じで君臨していました。
その功績は新日本プロレス旗揚げ、モハメドアリとの異種格闘技戦、北朝鮮でウン十万人の前で試合するなど偉業に枚挙のいとまがありません。
しかし山高ければ谷深しではありませんが、毀誉褒貶半ばするところがあるようです。

私としてどうなのかな~と思うところは、格闘技ブームのころ、オーナーの力で新日本プロレスのトップレスラー達をK-1やらPrideやらの選手たちと戦わせて見るも無残な負け方をさせた事ですね。
それでプロレスラーへの幻想が潰えてしまって、暗黒期と言われる低迷の時代を長引かせることになったのだと思います。
しかし、イベントの最後に出てきて「1・2・3ダァー!」とやると大盛り上がりで、しっかりと締まってしまうという……。
実に憎いというか、この人はこういう人なんだと周りは納得するしかなかったと思います。

そういう苦い思い出を経て、新日本プロレスは棚橋選手を中心に脱イノキズムを進めて、幅広い層に受け入れられるような明るく楽しいプロレスを追求して人気を盛り返してるんですよね。
なので、新日本プロレスにとってみればアントニオ猪木は確かに偉大な親なんですが、「毒親」ということだったんでしょうね。