東京都写真美術館

しばらく改修工事で閉館していた東京都写真美術館ですが、この間リニューアルオープン後初めて訪問しました。

この前行ったのは2013年に行われた、須田一政の「凪の片」、なので3年以上前になりますか…。
その時の印象でも、すごくきれいな施設だったので、果たしてドコに改修が必要だったのか? 疑問です。
それにしても、リニューアル後の愛称「TOPミュージアム」は少し尊大ではないかと思ったのですが、「TOkyo Photo」の略称でもあるそうです。

立派なエントランスですがー、前も確かこんなだったはず。
中の様子で気づいたことは、前に1Fにあったショップが2Fに移っていました。
で、元ショップだったところはカフェに。
それからエレベータの中の照明が雪明りのような凄い間接照明になっていて、これには驚いた!

ともあれ開館20周年にあわせた改修事業だったようで、記念の展覧会が2本行われていました。
「TOPコレクション 東京・TOKYO」と「東京・TOKYO 日本の新進作家vol.13」
要するに東京をテーマとして、東京都写真美術館の収蔵コレクションと、新進作家との二本立てで行こうとということらしいです。

前者のTOPコレクションのほうを観ました。
展覧会は写真NGだったので、印象深い写真をパンフレットとともに振り返ろうかと思います。

この展覧会は東京都写真美術館の貴重なコレクションを「どや、すごいやろ?」する展覧会なので、時代は終戦直後から始まります。
冒頭に、あの銀座のバーで飲む太宰治を撮った有名な写真(教科書とかにも載ってましたね)が登場。
で、戦後復興期の写真がズラズラ並びます。作家は東松照明、石元泰博、高梨豊ら。

時代は下って、80年代からバブル期の作品となり、アラーキー、森山大道、土田ヒロミ、鬼海弘雄らの作品が見られます。
初めて知った作家の印象深い作品もたくさんありました。

これは島尾伸三の「生活 1980-85」から。
私も当時このくらいの子供だったので、この家具や本棚の感じが当時を思い起こさせてくれます。
そしてよくマジックで落書きして怒られたな…。

これは中野刑務所。撮影は宮本隆司。
83年だそうですが、中野に刑務所があったとはー。

2000年に「TOKYO NOBODY」で話題になった中野正貴の撮った渋谷(1991年)
今とは色々違っていて興味深いです。

これは小林のりおの「ランドスケープ」より、1984年の作品。
右の写真にはハッとさせられてしまいました。
これは八王子の南大沢ですが、2000年ごろ近くの大学に通ってたんです。
時代は違うのですが、バブル崩壊の影響で建てかけで放っておかれたマンションがたくさんあり、まさに写真の光景が広がっていました。

そして須田先生ッ…。相変わらず黒い。
「東京1980」から。
何枚か展示されてましたが、どれも縦に撮ったものだったのが不思議。

2000年以降の作品群では、なんといってもホンマタカシ推しがすごかった。

印象に残ったのはコラージュで東京を再構築した、西野壮平のDiorama Map Tokyo(2004年)
こうして見るとなんのこっちゃゴチャゴチャして分からないのですが、実際に会場で観ると(80cm四方ある)本当に細かく、丹念に組み合わされていて、その労力に頭が下がります。

さて最後のブースはなぜか写真撮影OKでした。

まるでジオラマのような独特な手法で撮る、本城直季の東京タワー。

ジャンプしてる「私」を撮る林ナツミの作品。

著名な作家の作品が見れたのもさることながら、近年の新進作家のユニークな作品にも触れることができてよかったです。

この日は、恵比寿ガーデンプレイスのウィンターイルミネーションの最終日だったので、駅に戻りつつスナップしました。