日光旅行~やしおの湯編~

バスで中禅寺温泉まで戻って、そこからこの日の宿まで歩きます。
夏場とはいえもう周囲は薄暗い。
チェックインが17:30だったので、遅れないように急いで移動しました。

泊まったのは中禅寺湖のすぐそばに建つ、「ペンション レークス日光」
日光旅行は連休直前に思い立ったので、このペンションは残り一部屋のところをギリギリ滑り込みでGETしたのでした。
見るとマスターが入口で待っていて下さっていたので、なんだか申し訳ない気分。
ともかくなんとか時間通りにチェックインできました。

食事は18時から、という事で部屋に上がってシャワーを浴びます。
う~ん、しかしお湯の出が悪かった…。
標高が高いせい?

一階の食堂に降りると、奥の窓際のテーブルに案内されました。
窓の外は大雨(!)
遅れていたらヤバかった…。

他のお客さんはカップル一組と、男性客一名が見られました。
浴衣に着替えてるのはわたしだけだったので、ちっと恥ずかしかった…。
でもお風呂入ったらもう浴衣でしょう?

食事は洋食のコース料理でたいへん美味しかったです。
この日はベッドに入ってすぐ寝ました。

翌日。18日(日)
雨止んでいていてくれないかなーという淡い期待は打ち破られます。
上がっていれば中禅寺湖南岸をハイキングするつもりでした。
食堂で恨めし顔で雨に煙る中禅寺湖を眺め朝食をいただきます。

どうもこの日は望みがなさそうだったので、屋根のある施設に移動することにしました。
それは温泉ッ!
日光にはいっぱい温泉が湧いてるので、入らない手はないのですが、市営の「やしおの湯」がリーズナブルなので目を付けていました。
なので、中禅寺湖にはさっさと見切りをつけていろは坂を下ることに。
ただ、折角なので雨の中ですがペンション周辺の湖を散策しました。

中禅寺湖バス停に行くと次の日光駅行が出るまでしばらく間があったので、周囲のお土産屋をぶらぶら見て回りました。

ここは男体山のすそ野で、この日の山の頂は雲に隠されていました。
日光自然博物館の付近の交差点から山の手に登っていく道があり、暇に任せて歩いてみると小学校がありました。
もちろんこの日は日曜なので、グラウンドには人影がない…ハズ! だったのですが、ななななんと校庭を横切っていく鹿の姿が!!
颯爽とプールの裏手の茂みに消えてゆきました。
とっさに反応できずカメラに収めることができなかったのですが、思いがけず日光の自然に触れられて良かったです。

日光駅行きバスに乗り込み、いろは坂を下ります。
古川電気工業の工場の近くの清滝一丁目で下車。
ここから徒歩10分くらいで着くそうですが、大雨のせいで道が川のようになっていて難儀します。

国道の下のトンネルでは、出口が滝のようになっていて、一体何の罰ゲームかと頭を抱えましたよ。

川を渡りしばらく道なりに進むと、ついに「やしおの湯」に到着です。

入浴料は¥500。市営なので日光市民だと¥300で入れます。
こんな天気ですがわりと混んでいました。
中は内湯と露天風呂、サウナがあります。
お湯は無色透明で、特に匂いもありませんでした。

お湯から上がった後は、畳敷きの休憩室でのんびりします。
お茶のサービスもあり、至れり尽くせり。

本数は少ないですがここにも定期バスが通っています。
雨足は収まってきましたが、先ほどの道を歩いて戻る気にはなれなかったので待つことにしました。
しかし例によってバスが来ない。
前日も西参道で待たされたので「またか」と思いながらも、ほんとーに、不安になるほど来ませんでした。
やっと来たのは30分も遅れてのこと。
う~ん、これはちょっとした「事故」ではないか?
それとも東京のせわしない生活に毒されているだけでしょうか?
ここではバスのダイヤはアテにしない方が良いとだけ忠告させていただきましょう。

目的のやしおの湯にも入ったので、もう特に思い残すことはなく後は帰るのみとなります。
ただ、行きはスルーしてしまった東武日光駅から神橋までのお食事処とお土産屋の並びをよく見ておきたいと思ったので、バスで駅まで行かず神橋で降りました。

神橋ではちょうど新郎新婦が記念撮影をしていました。

レトロな雰囲気の漂う「日光物産商会」に入ります。

一階はお土産屋で、二階が食事処となっています。
すごく雰囲気のある…、というより妖しい領域の店でした。(国の登録有形文化財だそうです)

店の奥には民芸品やアンティークの類が積まれています。

神棚?
さらに陽根を象った「道陸神」なるものが祀られており(載せられない…)プリミティブな香りにクラクラしました。

店の前の時代を感じさせる電話ボックス。
子供の格好の遊び場となっています。

日光物産商会は日光に来たら必見じゃないでしょうか?
わたしはこの店でお腹いっぱいになってしまいましたが、日光駅までの通りには他にもアンティーク店や、由緒ありそうな旅館などが立ち並んでいて目を楽しませてくれました。

これで天気に恵まれていたらさぞや--でしょうが、かなり楽しめていい思い出になりました。
機会があればまた訪れたいですね。(東照宮の修理が終わった後かな?)

帰りの足はきぬ128号
400ヘクタールの戦場ヶ原を、東照神君の宮を、まばらに刈り取られた栃木の田園風景をあっという間に小さくして東京に舞い戻ったのでした。

日光旅行~戦場ヶ原編~

西参道のバス停で中禅寺温泉行のバスを待っていたのですが、待てど暮せど来ない!
たっぷり10分以上経ってやっと坂を上がってくるのが見えました。
バスの中は超満員で、通路席を出してる人もいれば立ってるひともいます。
わたしはどうにか最後尾の席に腰を落ち着けることができました。

ここから中禅寺湖までは結構距離があり、時間も30分以上かかります。
途中のいろは坂、立ち乗りした人には辛かったでしょうね。
終点のバスロータリーでパスモをかざすと千円弱引かれました。ありゃ、うかうかしてると足りなくなってしまうぞ。

ここから程なく華厳の滝があります。
すぐに湯元温泉行バスが出そうでしたが、一本遅らせてまずは滝を見に行くことにしました。

付近のお茶屋には華厳の滝を一躍自殺名所として有名にした藤村操「巌頭之感」の写真が飾ってあり、不謹慎さにゾクゾクします。
滝には下から見れるようにエレベーターがあるのですが、例によっておマネーを徴取されるので、展望台から眺めるだけにしました。

う~ん、よくあそこから飛び込んだものだ…。

さて、中禅寺温泉バス停に戻り湯元温泉行に乗ります。
バスは中禅寺湖北岸の日光ロマンチック街道を走ります。
湖畔にはおしゃれなペンションやレストランが並んでいていい感じです。

街道は菖蒲ヶ浜付近で湖から離れて、戦場ヶ原方面に向かいます。
すこし進んだ竜頭の滝で降りました。

滝の側には茶屋があり、なかなか良い雰囲気でした。

そのまま上流に向かって歩いていきます。

豪快な流れが目を楽しませてくれます。

竜頭橋まで登るとほぼ平坦となります。
国道120号線を横切って、笹林の中に踏み入ってゆく。
熊出没注意の看板がとってもコワイです…。

竜頭の滝付近とはうって変わって、川の流れは緩やかです。

しかし林の中にはところどころ倒木があり、険しい一面も見せています。

しばらく行くと遊歩道が現れ、同時に視界が開けて400ヘクタールの湿原、戦場ヶ原に入ったことが分かります。

向こう側で雲に隠れるようにしている男体山まで、モヤシのように頼りなげに生えてる数本の木以外は、ずっとスゲやカヤの草叢が続くばかりです。
その風景は茫漠そのもので、心に空っ風が吹くようです。
若木に見えても実は樹齢50年を超えているものも珍しくないそうで、それだけ過酷な環境のようです。
ただ一部で早期の林を形成しつつある箇所があり、そこでは白樺の若木が競うように生えていました。

その景色にはたいへん心打たれるものがあり、来てよかったとしみじみ思ったものでした。
ただ、あまりしみじみしていられないことには、日が傾いてきて空模様がかなり怪しくなってきました。
そこで当初は湯ノ湖まで足を伸ばすつもりでしたが、泉門池付近で折り返すことにしました。

戦場ヶ原を光徳に向かう形で横断します。
かなり焦っていたのでここではあまり風景を楽しむゆとりはありませんでした。
120号線のタイヤの音が聞こえてきた時はホッと胸をなでおろしましたよ。
果せるかな、すぐそばに光徳入口のバス停が。
そして並んでる人がいる!
天に感謝を捧げたい気持ちでした。

日光旅行~東照宮編~

最近、デイヴィッド・ミッチェルの「出島の千の秋」を読んで江戸時代に関心を寄せています。

これまで江戸時代って封建時代だし、鎖国だし閉鎖的なイメージがありました。
まぁそのイメージ自体は変わらないのですが、当時の世界情勢を考えると日本だってインカやアステカみたいに攻撃されてもおかしくはなかった。
島原のキリシタンは可哀想だと思いますが、当時のカソリックは「戦争の道具」とまでは言いませんが、スペイン人たちの植民地事業の一部にガッチリ組み込まれていたように思えます。
そう考えると、徳川家康の鎖国とキリスト教禁止の政策には深慮が隠されていたのかも知れません。

そんな風に安定政策で260年もの太平の時代をもたらした東照神君に敬意を表すため--ではもちろんなく、単に手ごろな距離なので、この間の連休に日光に行ってきました。
そのレポートを写真とともに載せます。

初日、9/17(土)
8時くらいに北千住に着いてまず特急券を購入します。
利用する東武鉄道では特急券の予約は旅行代理店を通さなきゃならないそう。
面倒なので当日に券売機で買いましたが、確実に窓側の席に座りたかったので早めに済ませました。
料金は北千住-東武日光で、¥1,440
乗車料金は¥1,358で、こっちはICカードで精算します。

構内のてんやで朝食を摂り、コンビニで昼食を購入した後、時間をつぶすため駅の周囲をブラブラしました。
この時間はまだ晴れていて、すばらしい旅行になることを期待させるものがあった…。

定刻が近づいてきたので、東武線の特急専門ホームに移動して電車を待ちます。
やはり連休、家族連れが目立ちました。

9:42発のけごん7号に乗って出発。
窓側の席を倒して長くなり、早くも旅情に浸ります。
埼玉から栃木に近づくにつれ次第に田園風景が濃くなってゆきます。
刈入れが済んだ田とまだの田がまだらに広がっていました。

11:17、終点の東武日光に着きます。
ぞろぞろと降りる観光客に混じって外に出ます。
最初の目的地は東照宮です。

ここからはバスが足なので、駅前のバス停に並びます。
もう長蛇の列ができていました。
世界遺産めぐりのバスが定期的に回っていて、派手なラッピングが目を惹きます。
ただ「神橋」で降りるつもりだったので、乗るのはどれでもよく、最初のバスは混み過ぎていたのでパスしました。

次に入ってきたバスに座って乗車。
国道119号を東照宮に向かって登っていきます。
道に面して旅館、食事処、お土産屋などが目につきます。

10分くらいで神橋に到着しました。
降りる時はパスモでピッ! 便利ですね。

神--の名に恥じぬ鮮やかな姿。
ちょっと道路に近すぎるのが難ですが。
大谷川の水がすごく澄んでいるのにも感動します。

日光ロマンチック街道を見下ろす感じで東照宮へと登っていきます。
途中になんか工場みたいなのがあるな…と見ていたら、2018年まで修理中という三仏堂だそう。

「今は絵で我慢してね」という事でしょうか?
お金を払えば修理中の様子を見れるみたいでしたが今回はパスです。

表参道の様子

五重塔の広場にある拝観券の販売所でチケットを買います。
大人一人¥1,300です。た…高くない?
ただここまで来て観ない訳にはいかないので購入します。

山門でチケットをもぎってもらって境内に。

山門から五重塔の広場を眺めたところです。

東照宮に来るのは2回目で、最初はもう20年以上前に小学校の移動教室で来たのでした。
(そういえばこの日も小学生の団体が来ていた)
当時の記憶はほとんど無いのですが、なんとなくここの境内の感じは覚えていて懐かしさを感じました。

出たッ!三猿!
う~ん、でもこんなのだったけ?

陽明門の階段を登ろうとしたところで。
「アレ?!」
なんと工事中(2019年まで)
東照宮と言えば陽明門でしょうがー?!
知らずに来たわたしが抜けてるだけですが、なんか結構ガッカリしました。

陽明門から境内を望んだところです。
門をくぐって右手に家康墓に続く坂下門があり、そこに有名な眠り猫があります。

しかし思っていたよりもずっとちっちゃ!
この辺はみんな必ず写真を撮るのですごく渋滞していました。

唐門をくぐって拝殿に入ります。
ここも修理中ですね。

廊に並んで順番を待っていると、しばらくして大広間に通されます。
50人くらい入るでしょうか?
いっぱいになると後ろの人はまたしばらく並んで待つことになります。
畳に着座して、住職の説明を聞きます。
拝殿の中は薄暗く、ひんやりとした湿った空気が漂っています。
建物の意匠やふすまなどの調度品について色々と話されていました。
その後、ぞろぞろと移動して奥の部屋にまわり本尊を拝みましたが、正直暗くてよく分かりませんでした。

本殿の中は撮影禁止だったので、建物の周囲のすばらしい木彫りをお目にかけます。

東照宮を出て、つぎは二荒山神社を目指します。
ところで世界遺産とだけあって、外国人観光客がかなり目に付いたのですが、特にインド人が多かった…。
この日はたまたまだったのかも知れませんが。
年配の女性の方でも露出しているサリーを来ているのでビックリしました。

上新道に建つ「楼門」

境内の様子。

本殿。
東照宮に比べると空いていましたね。

裏手から見た様子。
この坂は日枝神社に続くようです。

ここまでで東照宮周辺の観光を終えました。
あと家光墓のある輪王寺大猷院が残ってたのですが、別料金要るのでお見送りです。
中禅寺湖方面に向かうため西参道に向かって山を降りていきました。

坂の途中には食事処やお土産屋があり、なかなか雰囲気がありました。
一旦ブレイク。

サフィールノワール

ちかごろ雨ばかりで憂鬱になります。
今日もせっかくの休日だというのに東京は一日中、雨のしと降るお天気でした。
こんな日は外出するのも億劫なので、家で靴磨きに精を出しました。

五月に買ったパラブーツのローファー「コロー」を一度もお手入れしていなかったので、シュークリームを準備してキレイにしました。
準備したのは艶やか仕上がると評判の高い、「サフィールノワール」のダークブラウン。
メイド・イン・おふらんすで、ややお高かった(アマゾンで¥2,160だった)ですが、コロー君の忠勤(?)を労う意味で。

フタを空けると蜜蝋の匂いでしょうか、とても良い香りがします。
シュークリームによくあるケミカル臭ではなく、ナチュラルなものです。

コローは四カ月の間、週に2、3回のペースで履いていたので、買った当初に比べて色が落ちてきました。
特に小指の付け根あたりと、踵の退色が強いです。
また、全体的に葉脈のような皺が目立ってきています。

靴磨きにはいつも、古いシャツを端切れにしたものを使っています。
布に少量つけて素早く塗り広げます。
クリームは油性だそうですが、非常にサラっとした感じで、革に吸い込まれていく感じです。
なので、手際よく塗らないとムラになってしまいそう。
ある程度なじませたら豚毛ブラシで仕上げます。

ブラッシングすると、噂通りの深みのある光沢が出てきてニンマリします。
まるで生まれ変わったようで、また明日から履くのが楽しくなりますね。

上の写真の左がお手入れ前、右がお手入れ後です。
一目瞭然ですね。

小指の付け根あたりと、踵のところもこのくらい目立たなくなりました。

う~ん、楽しい!
何かお手入れするためにもう一足革靴が欲しくなってきましたよ(それじゃ逆か?)

カズオイシグロ 「忘れられた巨人」

好きなんですよね。カズオイシグロ。
長編はすべて読んでます。

「好き」と言ってる割には、刊行されてからしばらくたってしまいましたが、「忘れられた巨人」を読みました。
前作の「わたしを離さないで」から10年…。
作家ってそんなに儲かるんですか?(; ゜Д゜)

本を開いてビックリ(――いや知ってたけどね)
今回はファンタジーですか?!
あまり奔放なイマジネーションを繰り出すタイプじゃないと思っていたので、意外です。
前作も軽くSFチックだったから、実はそうでもないのかな?

相変わらずの流れるような文章に酔わされる…。
とは言え翻訳なので、訳者の力かもですが:-P
そう言えば原著では古語っぽい文体だそうです。
日本語でエミュすると、候節か? あるいは「てふてふ」とか書くか?
いや、読みにくいので変にエミュしなくて正解だったと思います。

カズオイシグロ作品特有の緊張感がたまらない。
ひとつひとつの言動に伏線が張り巡らされていて、まるでミステリーのようです。
最後のページを繰って「アー、すっきり!」ということはもちろんなく、眼前に晒された様々なテーマ、人間心理の捉えがたい動きに沈思を誘われます。

メインテーマに夫婦愛があり(老夫妻が主人公)、ある意味婚活している人に読んでもらいたい本です。
ただ、婚活を止めてしまうほどのインパクトがあるやもしれません。(;´∀`)

最後に、ガウェイン最高にイケメンだったぜ…。