秋の写真

この秋に撮った写真をズラズラと貼っていきたいと思います。

この間、イルフォードとケントメアというフィルムを買ったという記事を書きましたが、その直後に水元公園を訪れて撮ったのが↓です。

これはイルフォードのブローニーフィルム。
ISO感度が50という今までにない低感度フィルムだったので、用心しすぎて露光時間を長めに撮ってしまいましたが、それが仇となり、白潰れしてしまった作画が多数…。
ISO100のフィルムに対して気持ち長めくらいで良かったような気がします。
上のは黒々してるじゃん?と突っ込まれそうですが、それはスキャナーで取り込んだ後、フォトレタッチソフトで階調を調整しているためです。
デジタル万歳!


この二枚は135フィルム。
まだ残っていた富士フィルムのネオパン400で撮ったものです。
これが最後のネオパンになると思うと感慨深いものが。



これもまだネオパンですね。
上のは近所を流れている中川沿いの団地です。
真ん中と下は谷中霊園の近くです。

これもネオちゃんだったはず…。
日暮里付近の路地でウロウロしながら撮った一枚。
ネオパンは高感度ながら、黒のヌラリとした階調の美しさも出せるフィルムだったように思います。

ここからイルフォードの135フィルムに。
晴れた週末に荒川で撮ったものを何点か。



川べりのススキ。
何の変哲もないですが、なんかこう風にそよいでいるものを見るとそそられてつい撮ってしまうんです。

あと子供も親の目を盗んで撮る。

空の表情。
縮小するとそうでもないですが、やっぱりツブツブ感は強い。
でもネオパンとそう大差はないかなと思います。

北千住の路地を撮ったもの。
基本的にシャッキリしたドライな絵になると感じます。
ネオパンはしっとり、日本的?

作例見ても違いが分からないぞという方、ごもっとも。
私が好きなように階調を弄っているので、そんな繊細な違いはパソコンの画面には出せないんですね。

↓は参考までにほとんど同じ位置からコンデジで撮ったもの。

ここから11月頭に訪れた上野公園。

グリーンプラザ前のこの花のバスケットは見るたびに撮ってしまいます。


噴水の回りののどかな昼下がり。

上野東照宮前の売店。


不忍池へ回ります。
池は朽ちた蓮の茎で黄金色に輝いていました。

池の周囲の公園で遊ぶ子供たち。


ぐるっと回って弁財天に到着。
外国人が多かったです。


ここから家の近所編です。
中川公園の入口そばに咲いていた立派な皇帝ダリア。


中川公園は下水処理場の上に作られた公園で、広大な敷地にサッカーコートやアスレチック遊具、学校菜園などがあります。
また林のごとく木が生い茂っていて、下水処理場の上にあるということを忘れてしまいそう。

近くにはUR都市機構の大谷田団地があります。

これは隣接している大谷田南公園。
子供が喜びそうなミニ鉄道が敷設されています。

亀有駅のそばの見性寺です。
私の家にも近い。
寺なのに鳥居とはどういうことでしょうか。
しかし空の青、木々の緑、銀杏の黄色、鳥居の朱色と原色の取り合わせが美しい。

境内の本誓観音。
夕方になると奥の鐘を突く音がゴーンと聞こえてきてしてなんかしみじみします。


これはどこだったか…?
たぶん図書館に行く途中で撮ったもの。
味のあるアパートが多いんですね、やたらと。

今回まだケントメアまで手が回りませんでしたので、次回はその作例を載せられたらと思います。

クラガンモア

また久し振りにシングルモルト紹介シリーズです。

この間久し振りに御徒町を訪れたところ、長らく工事していた「吉池」がリニューアルされているのを発見しました。
ここの二階にあったお酒売り場は凄い品揃えで、他所では見たこともない銘柄を取り揃えてあり、本当に夢のある空間でした。
それがリニューアルでどう変わったのかと、期待に胸膨らませつつ店内へ。
以前はすこし煤けた感じの店内でしたが、ピカピカに生まれ変わっていました。
そしてお酒売り場は地下二階になってました。

ところがエスカレーターで地階に降り立った私の目に入ってきたのは、以前の半分ほどに縮小された売り場。
それも雑貨売り場と同居という残念な姿でした。
あれほど色々な種類のボトルを揃えて目を楽しませてくれた売り場はどこに行ったのでしょうか?
どういう経営判断があったのかは判りませんが、東京の台所の御徒町に相応しく、「ここに来ればどんなお酒でも手に入る」という信頼感を残して欲しかったですね…。

しかし、はやり吉池で、品揃えは並の酒販店以上はあります。
そして「クラガンモア」という渋いウィスキーが特売されているというのも面白い。
ちょうど探していたところなので、渡りに船と購入して帰りました。

クラガンモアは「スペイサイド」というスコットランド北部の蒸留所が密集しているところの産です。
で、何かの格付けでスペイサイドの「クラシックモルト」に選ばれたとかいうことが、化粧箱に誇らしげに書いてあります。
他の地域のクラシックモルトの名前を上げて(いずれも有名な銘柄)、「どうだこいつらと同列なんだぞ」という感じで書いてあるので、ちょっとその態度が「クラシック」に相応しいのかと危ぶんでしまいます。
とはいえ、本当の評価はボトルの中身でしかありえません。

色は紅茶っぽいゴールドですね。
香りは甘く、奥ゆかしい感じがします。しかし何と形容してよいか分からない。
「紅茶のような香り」という人もいます。

味は穏やかでサッパリしています。
とはいえ例の紅茶のような香りはしばらく口中に残ります。
スコッチによくあるピート臭はまったくありません。
複雑な香りを持つ事で有名だそうで、ナシや青りんごの匂いという人もいるそうですが、ちょっと自分には判りませんでしたね。

オールド・パーの原酒だそうで、数年前に飲んだかすかな記憶を辿ってみると、確かにこんな後味だったような気がします。
ただ、もっと色んなモルトをブレンドしてゴージャスに仕上げていましたね。
それに比べるとやはり玄人好みの酒なのでしょう。
「クラシックモルト」と評されるのも、むべなるかなと言ったところでしょうか。

墓マイラー

著名人のお墓を巡ることを趣味にしている人たちの事を「墓マイラー」と言うそうです。

二年位前、谷中霊園に行って鏑木清方のお墓を見てきたことを記事にした記憶がありますが、この頃再び同地を訪れて、「お墓参り」に対する興味が再燃してきました。
とは言え、私の「墓マイラー」としての関心は主に写真を撮ることにあります。

「地面の上」
つまり故人を偲ぶことではなく、もっと即物的に墓石自体、卒塔婆、供物、そして墓地という場所そのものにあります。
墓地というのは考えようによっては、写真を撮るのに理想的な場所ではないでしょうか?

第一にとても静かで、落ち着いた気分になれます。
谷中霊園という都心にほど近いところでさえ、ほとんど人気がありません。
ファインダーを通しての被写体との会話をだれにも邪魔されずに済みます。

そして墓石はどれも同じようでいて、その実個性に富んでいます。
形状もそうですが、新墓の御影石のヌメリとした質感や、年を経てザラリとしてきた肌理などが写真にどう写るかというのは、写真愛好家にとってはとても興味深い点です。
時刻によって変化する光の中で、墓石がどう見えるかを追求するのも面白いテーマでしょう。
灯籠や、つくばいといった脇役も目を愉しませ、飽きることがありません。

また墓地は、意外にも自然に溢れています。
谷中霊園は桜で有名ですし、この時期だとイチョウも見事です。
あまり手入れのされていない墓所では草葉が繁茂していて、それが無機質な墓石に対して際立って見えます。

ここから私が実際に撮った写真を紹介しながら、こだわりのポイントなどを説明していこうと思います。

この墓石ごとの肌理の違い。いいですよね?
卒塔婆の梵字も妖しい魅力を放っています。

これは宝塔というタイプか?
サイドの梵字がカッコイイ。


やはり動かないので、デッサンのように光と影の当たり方について色々と試すことが出来るのが魅力のひとつかも。


谷中霊園といえば、墓所の一等地。
それで、まるでマンションのような集合墓地すらあります。
これは新たな分譲地か?



日暮里駅前のタワーマンションがよく見えるのがシュールな感じです。
あとスカイツリーも。



生命力溢れる樹木が墓石と好対照を成しているようです。

見事なイチョウ。

墓地に咲き誇るコウタイダリア。

墓を覆い隠さんばかりに繁茂してる野草。

遠くからでもすごく目立っていた白樺の木。
傍らの墓石にも白樺の意匠が施されていました。
一体どういう所以が……?


これは無縫塔というタイプの墓石で、僧侶の墓だそう。
密集して建ってるのをよく目にしました。


卒塔婆…いい。

墓地に隣接する民家。
どんな感じだろうか…?

おお! 朽ちぬ花よ。

好きなタイトル

きょうブックオフで何気なく文庫本の背表紙を眺めていたら、「サイズ12はでぶじゃない」という本をみつけ、いいタイトルだなとニヤリとしました。
もちろんダイエット本ではなく、ミステリーのタイトルだったからですが。

タイトルが良いからといって必ずしも良い作品な訳でもなく、すべての名作が秀逸なタイトルな訳でもありませんが、タイトルは言わば「本の顔」
手に取るきっかけになったり、そのために好きになったりもします。
そんなイケメンな本を紹介してみたいと思います。
ただ、読んでない本もありますので悪しからず。

『沈黙の春』(レイチェル・カーソン)
「春」といういかにも楽しそうな語に、「沈黙の」という形容詞を付けることで、得体のしれない不安感を感じさせる秀逸なタイトル。
内容は、DDT等の化学物質による環境汚染を訴えたもの。
中学生のころタイトルに惹かれて読んだ記憶があります。

『水の中の八月』(関川夏央)
映画化もされたはず。
水泳に打ち込む、ちょっと屈折した青春恋愛小説。

『こんな夜更けにバナナかよ』(渡辺一史)
イイッ!!
こんなにそそられるタイトルはない!
でも未読。
介護のノンフィクションらしいです。

『ようこそ女たちの王国へ』(ウェン・スペンサー)
表紙とあわせてあざとすぎるが思わず読んでしまったので…。
内容は男子の出生率が物凄く低い世界を描いた、SF(?)、冒険譚です。

『イカはしゃべるし、空も飛ぶ』(奥谷喬司)
イカの雑学を載せた科学新書本のタイトル。
「しゃべるし」というのが、女子高生のようなノリを感じさせ、やや堅めの内容を和らげているようで良い。

『八甲田山死の彷徨』(新田次郎)
絶望そのもののようなタイトル。
中身もそれを裏切らずに凄い。

『春にして君を離れ』(アガサ・クリスティー)
「沈黙の春」同様、「春もの」ですね。
こういう逆接的なのに弱いのかも知れません。

『悲しき熱帯』(レヴィ・ストロース)
これも「逆接もの」か?
素っぱだか同然で暮らし、「何の苦労も無いんだぜ〜」って感じで川魚を獲ってる連中の「いや〜これでしんどいのよ」という思いがけない吐露に「そうか…」とホロリとさせられるーー、そんな感じでしょうか(意味不明)
これが「楽しき熱帯」だったら、氏の名声も虚しからんことになったでしょう。
文化人類学の名著と言われ、一度は挑戦してみたんですが、どうも文章が合わず読めませんでした。
「顔」だけじゃ相性は分からない、そんな好例を生んだ一冊。