篠田節子「家鳴り」

 最近読んだ、篠田節子の「家鳴り」という本が結構面白かったです。
 七編の短編が収められていて、どれもぞくっとするような怖さがあるのですが、冒頭の「幻の食糧危機」が白眉かと思います。
 東京を大地震が襲い、難民化した都民が食糧を求めて周辺の地域に流れ込み、在住民と果てしないトラブルを巻き起こすという内容です。
 おそらく阪神大震災を念頭に置いて書かれた作品だと思いますが、東日本地震が置き、首都圏直下地震への危機感が高まっている今読むと、強い説得力を感じます。
 本当の備えとは何なのかということを考えさせられました。