RE:三浦半島への旅

 横須賀に入るとぱっと視界が開けて、明るくなったような感じがします。建物も新しく清潔な感じです。
 横須賀港を望む臨海公園でしばし写真撮影。接岸した軍艦や潜水艦を見るにつけ、軍港であることが意識されます。それは道行く人々を見てもなんとなく分かります。おそらく米軍関係者だろうと思われる家族連れの姿が目に付きました。
 さて、ここ汐入まで文庫を出て一時間ほどで着きました。やっぱり自転車は速いですね。
 横須賀中央へと向かうにつれ、周囲の景色は繁華街に。横須賀の街、初めて足を踏み入れましたがとっても繁栄していますね。有名などぶ板通りは、アメリカ人向けの飲食店や土産物屋、不動産屋などが軒を連ねています。なんともエキゾチックな雰囲気でした。
 
 広大な横須賀の街も県立大学付近になると息切れをはじめるようで、シャッター通りや寂しです。
 とちゅう、猿島を望むうみかぜ公園に立ち寄りました。大勢の釣り客で賑わっていました。
 ふたたび16号に戻ります。ソテツの立ち並ぶ馬堀海岸を進みます。しばらくすると左手に、今日の目的地のひとつである「湯楽の里」が見えてきました。海岸から道をひとつ道を隔てたところにあるので、「海が見える露天風呂」の謳い文句は間違いないものと思われます。
 
 走水を過ぎると東京湾をぐるりと取り囲む国道16号もついに力尽き、県道209にバトンタッチします。いかにも漁村という土地で、道に面して海産物を売る店や食事処などがみられますが、いずれも粗末な作りです。それに比べて近くにある横須賀美術館のモダンなデザインが対照的でした。

三浦半島への旅

 秋分を過ぎて、めっきり秋めいてまいりました。朝晩は寒さが身に染みるようです。
 さて三連休の中日は好天に恵まれ、絶好の行楽日和となりました。そこで、前々から行こうと考えていた三浦半島東端、観音埼灯台へ向けて自転車旅行を決行することにしました。
 実はこの旅行のきっかけとなったのは、乗り過ごして汐入まで行ってしまい、歩いて帰る羽目になったあの出来事です。あの時はひどい災難だとうんざりとした気分だったのですが、日が経つにつれ横須賀の港の美しい夜景や、田浦あたりのトンネルだらけの独特な風景が懐かしく思い出されてきたのでした。今度は日中に訪れて、ぜひ写真に収めたいものだと考えるようになっていました。
 さらにもう一つ背中を押すものが。それは温泉です。
 今年の四月に馬堀海岸に面して、「横須賀温泉 湯楽の里」というスーパー銭湯がオープンしたのです。どうもその泉質は絶品らしく、スパミシュランでも5つ星が付けられていました。なかなか首都圏で5つ星というのはありません。これは是非とも訪れなければと強く念じていたのです。
 
 十一時ごろ文庫を出発しました。
 青空に絹雲たなびく秋晴れです。陽射しはちょっと強いですが、風が爽やかで長袖でも暑くなりません。十六号線沿いに八景、追浜と進みます。
 追浜の街を抜け、田浦に近づくにつれ、左右に法枠で固めた山肌が迫って、息苦しいような道となります。田浦の商店街も活気に乏しく、どこか陰気な雰囲気のするところです。
 船越街で東芝の工場を左手に九十度のカーブを曲がり、景徳寺のそばのトンネルを通過します。
 田浦教会と郵便局の並びの先にまたもトンネルがあります。しかも二又に分かれているのですが、どちらを選んでも長浦町交番前の交差点で合流するので大丈夫です。交差点を右手に折れると安針塚駅へと向かう道になります。それにしてもこの付近はトンネル銀座と呼びたいほどトンネルだらけで、しかも歩道がすれ違うのも困難なほど狭く辟易させられました。そして交番を過ぎるとふたたび道は二又に分かれ、また新たなトンネル…。