秋分を過ぎて、めっきり秋めいてまいりました。朝晩は寒さが身に染みるようです。
さて三連休の中日は好天に恵まれ、絶好の行楽日和となりました。そこで、前々から行こうと考えていた三浦半島東端、観音埼灯台へ向けて自転車旅行を決行することにしました。
実はこの旅行のきっかけとなったのは、乗り過ごして汐入まで行ってしまい、歩いて帰る羽目になったあの出来事です。あの時はひどい災難だとうんざりとした気分だったのですが、日が経つにつれ横須賀の港の美しい夜景や、田浦あたりのトンネルだらけの独特な風景が懐かしく思い出されてきたのでした。今度は日中に訪れて、ぜひ写真に収めたいものだと考えるようになっていました。
さらにもう一つ背中を押すものが。それは温泉です。
今年の四月に馬堀海岸に面して、「横須賀温泉 湯楽の里」というスーパー銭湯がオープンしたのです。どうもその泉質は絶品らしく、スパミシュランでも5つ星が付けられていました。なかなか首都圏で5つ星というのはありません。これは是非とも訪れなければと強く念じていたのです。
十一時ごろ文庫を出発しました。
青空に絹雲たなびく秋晴れです。陽射しはちょっと強いですが、風が爽やかで長袖でも暑くなりません。十六号線沿いに八景、追浜と進みます。
追浜の街を抜け、田浦に近づくにつれ、左右に法枠で固めた山肌が迫って、息苦しいような道となります。田浦の商店街も活気に乏しく、どこか陰気な雰囲気のするところです。
船越街で東芝の工場を左手に九十度のカーブを曲がり、景徳寺のそばのトンネルを通過します。
田浦教会と郵便局の並びの先にまたもトンネルがあります。しかも二又に分かれているのですが、どちらを選んでも長浦町交番前の交差点で合流するので大丈夫です。交差点を右手に折れると安針塚駅へと向かう道になります。それにしてもこの付近はトンネル銀座と呼びたいほどトンネルだらけで、しかも歩道がすれ違うのも困難なほど狭く辟易させられました。そして交番を過ぎるとふたたび道は二又に分かれ、また新たなトンネル…。