腕時計の修理

 普段肌身離さず付けている、父親の形見の腕時計があるのですが、月の頭ごろに止まってしまいました。
 三年くらい電池交換せずに使っていたので、たぶん電池切れだろうと思って時計屋で交換して貰ったのですが、なんと動かない。
 耳に当てると、中から「カチッ、カチッ」と規則正しく音が聞こえます。どうやら電池切れではなく故障だったようです。
 セイコーに修理の見積をとってもらったところ、なななんと二万円もするとのこと。しかも古いものなので、修理の内容によってはお断りをする可能性もあるという解答でした。
 大切な時計ですが、とてもそんな額は出せないので、悔しいけれど諦めるしかないかなと考えていたのですが、最後にダメもとのつもりで試してみました。
 ベンジン浴です。
 腕時計の裏蓋を開け、ベンジンを注いでしばらく放置するという荒業です。これにより歯車の運動を妨げていりゴミが取れるのではないかと期待しました。
 しばらく経って時計を逆さにし、ベンジンをティッシュに吸い取らせます。ベンジンは文字盤まで回っていましたが、すぐに乾きました。
 果たせるかな、時刻をあわせてリュウズを押しこむと、おおお!ちゃんと動くではないですか。
 十分、二十分とズレていないか確認しましたがずれなく正確に動きました。
 困ったときのベンジン浴。これはありかも知れません。