RE:浜名湖

 しかしなんということでしょう、すでに門が閉ざされ人影は無くなっていました。そこにはショックな掲示が。ななななんと、三ヶ日のターミナルは営業は四時までだというのです。渚園で貰ったパンフレットには営業時間のことなど何も書いていません。それならどこも同じ営業時間だろうと考えて当然じゃないですか?!
 わたしはなんとか取り繋いでもらうべく隣接する駅の窓口に向かいました。しかしさらなるショックが待っていました。駅の窓口も四時に閉まってしまっていたのです。
 助けを求めて、渚園のターミナルに連絡を入れました。担当のおじさんも三ヶ日が四時に閉まることは知らなかったらしく驚いていましたが、それなら気賀に返すように言われました。うふふ無理。ここから気賀まではゆうに一時間以上かかり到底まにあう筈がありません。それでも一応連絡してみることにして、気賀に電話を入れます。
 『おかけになった電話番号は現在使われておりません』
 なんだそりゃ?
 おじさんに気賀に繋がらないことを伝えると、ならば待っててやるから渚園まで戻ってこいと心温まる提案をしてくれました。渚園からここまで四時間以上かかっています。今から戻っても着くのは夜九時。そのことを告げると「万策尽きた」という感じで唸るのみでした。そこで明日返しに行ってはどうかと提案すると「しょうがねぇな」という感じで了解してもらえました。
 とは言ったものの、これからどうするのか、明日返しに行くとして今日はどこに泊まるのかノーアイディアでした。
 しばし地図とにらめっこして策を練ります。考えた末、このまま浜名湖の西の海岸沿いを下って東海道本線の鷲津駅まで行き、自転車はいったんそこに置いておくことに決めました。そして電車で浜松まで出ればどこか泊る場所が見つかるに違いありません。
 そうと決まればぐずぐずしてはいられない。もう日も暮れかかっています。わたしは鷲津を目指してひた走りはじめました。とにかく暗くなる前に着こうと必死だったので、ここから先の道のことは細かくは覚えていません。いくつか風景を挙げるなら、浜名湖レークサイドプラザの作り物じみたリゾートや、尾奈駅の空虚さ、三〇一号沿いの大きな写真を掲げたカラオケ店などが印象に残っています。なんだか華やかな東岸に比べるとうら寂しい感じがしました。