新潮カセット文庫

 たまたま手元に新潮文庫100冊のCD‐ROMがあったので、暇つぶしのつもりでインストールしました。
 テキストばかりではなく、朗読も何タイトルか入っていて、見てみると、前から読んでみたいと思っていた、中島敦の「山月記」が。
 良い機会なので朗読とともに読んでみました。江守徹によるものです。
 これがすばらしかった! 硬質な漢詩の世界と声とが実にマッチしていました。
 難しい漢字がいっぱい出てくる作品でもあるので、調べなくとも良いというのも助かりました。
 
 山月記が良かったので、ほかにも無いかと近所の図書館に探しに行くと、あります。
 新潮カセットブックがずらっと揃っていました。CDではなく、カセットなのが時代ですが、我がままは言えません。
 「罪と罰 上下巻」と志賀直哉の「小僧の神様・城の崎にて」を借りてきました。
 
 先にドストの方を聴きます。これは縮約版で原作の長い長い話を二時間くらいにまとめてあります(原作ではマルメラードフの猥談がうんざりするほど長かった思い出がある)
 おかげで展開が早く、スリリングな面白さを再発見できました。
 江守徹の朗読は、豪快なルックスに似合わず、主人公の神経質で、線の細いキャラクターに寄り添った演技でした。
 また老若男女たくさんの登場人物が出てきますが、器用に演じ分けていました。
 良かったです。志賀のほうも楽しみです。