一リットルもあったホワイトガソリンですが、毎日使っているともう残り少なくなってきました。
そこで再びホームセンターに買出しに。
するとハクキンカイロ用の純正ベンジンを売っているのを発見しました。
500ミリリットル入り、六百円です。買ったのでレビューします。
まず、ホワイトガソリンは臭いがかなりしたのですが、こちらはほとんどしません。ジッポオイルもほとんど臭いませんでしたが、それとタメを張るくらい。
それから燃料の持ちがすごく良いです。
そして熱い。というより、ホワイトガソリンがちょっとぬるいくらいだったので、ちょうど良いといったところでしょうか。
逆にホワイトガソリンが良い点と言ったら、安さと火の付きが良いことくらいですかね。
そう、もうちょっと安ければ言うことないんです。
月別アーカイブ: 2009年2月
新潮カセット文庫
たまたま手元に新潮文庫100冊のCD‐ROMがあったので、暇つぶしのつもりでインストールしました。
テキストばかりではなく、朗読も何タイトルか入っていて、見てみると、前から読んでみたいと思っていた、中島敦の「山月記」が。
良い機会なので朗読とともに読んでみました。江守徹によるものです。
これがすばらしかった! 硬質な漢詩の世界と声とが実にマッチしていました。
難しい漢字がいっぱい出てくる作品でもあるので、調べなくとも良いというのも助かりました。
山月記が良かったので、ほかにも無いかと近所の図書館に探しに行くと、あります。
新潮カセットブックがずらっと揃っていました。CDではなく、カセットなのが時代ですが、我がままは言えません。
「罪と罰 上下巻」と志賀直哉の「小僧の神様・城の崎にて」を借りてきました。
先にドストの方を聴きます。これは縮約版で原作の長い長い話を二時間くらいにまとめてあります(原作ではマルメラードフの猥談がうんざりするほど長かった思い出がある)
おかげで展開が早く、スリリングな面白さを再発見できました。
江守徹の朗読は、豪快なルックスに似合わず、主人公の神経質で、線の細いキャラクターに寄り添った演技でした。
また老若男女たくさんの登場人物が出てきますが、器用に演じ分けていました。
良かったです。志賀のほうも楽しみです。
羽田五十間鼻
関東では春一番が吹き、二十度を超える陽気になりました。
わたしも春の気配に誘われるようにして、久しぶりに多摩川をジョギングしました。
普段は大師橋でUターンするのですが、今日は浮かれた気分も手伝って羽田のほうまで足を伸ばしました。
大師橋を過ぎた当たりから河岸の様子が変わり、遊漁船の船着場が間隙なく並びます。 左手には玉川弁財天が見えます。
さらに進むと、海老取川との合流地点に突き当たります。ここはちょうど鼻のように多摩川の河口に突き出していることから、「五十間鼻」と呼ばれているそうです。
さて、その鼻の先端には、川の中にコンクリートの土台をを盛り上げて、水難者のための小さな祠が建てられています。
なんでも、関東大震災のときに多くの被災者の遺体がここに流れ着いたそうです。
その無縁仏たちの霊を慰めるために建てられたものなのだそうです。
堤防の上からスロープを渡って参拝することができました。
近くで見ましたが、何とも形容しがたい、実に異様な空間でした。
こんな不思議スポットを見つけられてラッキーでした。足を伸ばした甲斐があったというものです。
写真に収めたかった! カメラを持ってこなかったのが悔やまれます。
初日の出の隠れた名所でもあるそうですよ。
神保町
今日は本の街、神保町に行ってきました。
上京して十年くらい経ちますが、訪れるのはこれが初めてです。以前から行ってみたいなとは思っていたのですが、なんとなく、きっかけがなかったのです。
重い腰を上げたのは、須田一政の「風姿花伝」を手に入れようと決心したからです。
昭和53年に朝日ソノラマから出版されたこの本は、須田先生の初写真集ですが、すでに絶版で手に入りません。
代わりに、古本市場で高値で流通していることはネットで調べて知っていました。
ずっと手に入れたいと思ってきましたが、値段がネックとなり手が出せないでいたのです。
そこでサイトにアップされている画像を眺めて、やり過ごしていました。
しかし我慢は体に良くない。
ついに俺の金をどう使おうが俺の勝手だと、半ば逆上し、実弾(たま)をいくらか用意して、戦場に乗り込んだのです。
向かったのは白山通り沿いにある、「魚山堂」という古本屋です。
なんでも写真集を専門に取り扱っているそうです。ビデオ屋の二階という非常に分かり辛い場所にありました。
新宿の海賊版レコードショップに近い雰囲気でした。わたしが小心なせいでしょうか? 一見さんお断りの空気が濃厚に漂っているように思えました。
うなぎの寝床のような狭い店内でした。壁一面を本が覆っています。
入り口のそばにはガラスケースが置かれ、篠山紀信なんかが置かれていました。
客はわたし以外には誰もいなかったので、つかつかとレジに座っている店主のところに行って、にこれこれこういう本は無いかと尋ねました。
「ネットで見たのか?」と訊かれたので、そうだと答えると、もう売れてしまったとのこと。ガッカリ……。
しかし、ちょっと待ってと引き止められます。海外向けにストックしている在庫を調べてみると言います。おじさんはパソコンとなにやら格闘を始めました。その間、店内を興味深く眺めていました。
内藤正敏の「東京」が置いてありました。思わず手に取ります。いい写真集でした。さて、お値段は?と見てみると、二万円……でした。くわばら。
突然、背にしていた方の本棚が動き出します。びっくりしましたが、可動式の保管用書庫だそう。
その中からほうれん草色のカバーの本を取り出して来ました。ついに憧れの本との対面でした。
三十年前の本と考えれば、カバーは日焼けも少なく、よい状態でした。ぱらぱらとめくってみると、中は汚れもなく大変きれいでした。裏には白抜きで、「1800円」
「おいくらですか?」
「550ドル」
そうかあ、須田先生は海外にもファンがいらっしゃるのか。やっぱり偉大だなあ。などと思考が空回りします。
「いまのレートが92円だから」店主は電卓を叩き、「50600…、5万円でいいよ」
思わぬ円高の恩恵を受けることになりました。
放心状態で店を後にして、しばらくあてどもなく歩いてしまったのですが、今日はもう一つお目当てがあったのでした。
「風姿花伝」の翌年に出された「わが東京100」です。
次に向かったのは、岩波アネックスビル2Fに京都便利堂と一緒に入っている秦川堂書店。かなりこざっぱりとした店内でした。
レジに座るおじいさんに訊くと、店内から運んできてくれました。値段は四千円。先ほどの店に比べるとかなり常識的な値段です。これはよい買い物でした。
その後は街をぶらぶらとゆっくり見物しました。
うず高く本が積まれた店先。本当にどこにもない、独特な街でしたね。気に入りました。
次は特に理由がなくても出掛けてしまうかも。
仕事のやり方
近頃仕事で大いに反省させられることがありました。
お客さんに頼まれてデータを取っていたのですが、「やり方が悪い」と注意を受けたのです。もっと要領よく、少ない手数でやれるはずだと。
確かにその仕事はまだ不慣れで、いまいち要領が掴めないでいたのです。そこで組み合わせの数だけ網羅的にやるやり方を取ってしまいました。
しかし、「もっと上手いやり方はないだろうか?」と少しでも考えてさえいれば、そんな贅肉だらけの方法を取るはずもありませんでした。それで思慮の浅さを大いに恥じた訳です。
そのお客さんは人使いが荒く、わたしは内心不満を抱えているのですが、技術者としては本物です。
彼の指示に従っていると、最初は「そんなに短い時間でできるはずがない」と思ってしまうような仕事でも、ちゃんと予定通りにできてしまうのです。
物理の博士号を持っているような人が、半年かけても完成できずに投げてしまったようなプログラムを一ヶ月あまりで組んでしまったこともあります。
まるで魔法の様だと感じます。その指導力は認めざるを得ません。
その秘密は何なのだろうかと考えてきました。
彼は実際の作業に着手する前に、綿密な設計書や計画表を出させます。そういう計画的な仕事の仕方が良いのだろうと思っていました。
でも、今考えると、本当に大切なのは、「どうしたらもっと効率的に作業が行えるのだろう?」と常に考える姿勢ではなかったかと思います。
先月「北村薫の創作表現講義」の感想を書いたときに、釈由美子のエピソードを引用しました。まさにぴったり当て嵌まります。
「《どういう風にやったら》というのを、《自分で》考える。それが勉強」
「《どういう風にやったら》というのを、《自分で》考える。それが仕事」
ガツンと衝撃を受けましたね。
自分は真に仕事ということに値する仕事をしてきたのだろうかと考えさせられました。