タイトルだけで手に取った本でした。しかしこれはすごい。面白かったです。
実際に起こった軍の雪山遭難事故を題材にした小説です。大量の犠牲者を出した青森五連隊と、八甲田山を制した弘前三一連隊。明暗分かれた二つの部隊を対照的に描きながら、いかにして悲劇は起こったのかを活写してみせてくれます。
それにしても青森五連隊に降りかかる死亡フラグのオンパレードには驚くを通しこして呆れました。彼らはなすすべもなく死の運命に飲み込まれていったのです。そんな道しか選ばせてくれない、冬の雪山という極限の環境に心底身震いしました。